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転生したら楽をしたい ~召喚術師マリーの英雄伝~  作者: 風来坊 章
第三章 英雄達は楽ができない
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第90話 暴走族 前編

 道山は、織部憲長(おりべのりなが)ことイワネツと謁見に向けて、聖徳神社周辺に町人に化けた忍の配下や、チーノ大皇国から密輸入され、八州の大名達がこぞって作った魔力式小銃、多根が島を装備させた鉄砲隊を神社を囲むように配置させる。


「大殿様、危険でございます。アレは野獣、まるで知能を持った凶暴な熊のような輩」


「会談は反対いたします」


「然り、ご一考をお館様」

 

 道山は配下の家臣を蛇のような瞳で睨みつけると、蛇に睨まれたカエルの如く家臣団が硬直する。

 

「憲長が大たわけのうつけなら、うぬらは考えなしの阿呆じゃ。これでワシが姿を見せぬと、巳濃は滅ぶのだぞ!」


 ニュートピア世界の覇権国家であった、今は亡きチーノ大皇国をして、悪魔の棲まう蛮族の集まりと呼ばれたジッポンの、仕えた主人全てを裏切り、今の身分まで成り上った下剋上の体現者、佐藤道山の気迫と、圧力、そして魔力はジッポン有数の戦国武将にして忍者の頭領。


 しかしこの圧力に抗うように、身長190センチを超える、鹿のような角を生やす、毛深い顔をした若者が立ち上がり、道山を見下ろす。


「親父殿は臆病風、いや慎重であらせられる。織部の大うつけなど、力が強いだけのただの阿呆ではないか? なんなら俺が行って奴を討ち取り……」


「うつけはうぬじゃ辰興(たつおき)! うぬは国の守護として南北朝の戦に出征せなかったからわからぬのじゃ! お前など知力も魔力も膂力も憲長の力の足元にも及ばぬわ!」


 国一の天才忍者にして、道山の子でもあり胡蝶姫の兄、佐藤辰興が道山から嗜められると、反抗的な顔をしてジロリと睨むも、道山の蛇のような眼光に、それ以上何も言わずに押し黙った。


「皆の衆、用意せい! ワシの合図で織部の大うつけを何時でも殺せるよう、仕掛けを施すのじゃ!」


 内心、この化物を殺すのは不可能だろうと、合理的思考の塊である道山は結論済みだが、殺せぬまでも、巳濃の存続に至らせるくらいの、こちら側の気概や忍者としての力を見せつければ、勝てるやもしれぬと道山は考えた。


「ははー!」


 一方、イワネツは勝鬨城の天守閣にて自身に恭順する家臣団を呼び、指を顎にあてて、濃い髭を撫でながら眼下から東山道から巳濃の方を見つめる。


「おう、鬼髭。ただの行進とか面白みねえからよ、なんかもう派手なパレードして巳濃ビビらせる行進してえわけだ。こっちが上だって見せつけて、できる事ならそっくりそのままあの巳濃を奪いてえわけよ。戦争で丸焼けとかにしねえでな」


「なるほど、つまり戦わずして勝つと言う事でありますな。さすがイワネツ様」


 先代の織部家から仕える旧臣にして、地獄の鬼のような容貌の柴木勝英は、イワネツの考えを読み賞賛を贈る。


「おう。そうすりゃすぐ、巳濃一帯のアガリとかカスリとれるだろ? そっちのほうが、費用効果も経費もかからねえ。俺も、縄張りにと考えた旧ユーゴスラビアで、西側のアホ共にボスニア戦争されて丸焼けにされちまった。俺が痛い目を見た苦い経験よ」


「は? え? ぼすにあ? 御意」


 国同士の戦争だろうが、犯罪組織間の戦争だろうが、全面戦争となると、どんなにうまく戦っても味方にも必ず損害が生じ、国や組織の衰退を招きかねず他の組織からの介入を招くのも、ソ連を崩壊させる原因となったイワネツは良く知っていた。


 いくら自分の力が強くとも、周りは自分よりも強くはないことも熟知しているし、相手の縄張りは、なるべく無傷で手に入れたほうが、大きな収益を手っ取り早くモノにできることも。


 旧ソ連で生まれ、全世界から史上最悪の暴力団と恐れられた、盗賊根性が骨の髄どころか、魂に刻み込まれた男はよく理解していた。


 イワネツは、転生前は自分と同じロシア出身でマフィアのブラトワだった前島犬千代、犬のニックネームを持つ、ジッポン人にしては長身の犬耳の若者を手の甲を見せて、4指を下から上に曲げ、仰ぐようにする欧米式の手招きする。


「おい、犬。お前、そういや前世で俺の組織に入る前の小僧だった時、ソ連親衛隊(グヴァールヂヤ)にいただろ? 俺はソ連時代そういうの興味ねえし、パレード最中とか手下に命じてスリとか、かっぱらいとかさせてたからよく知らんが、軍事パレードってどんな感じよ」


「はい、あれはオレが前世で19の小僧だった時、1990年の赤の広場、10月革命記念か戦勝45年記念だったんですが。オレは当時ずっと立ちっぱなしで、前向いてただけで苦痛だった思い出しかないですね。ただ、フランスの傭兵時代ならパレードにきちんと参加しました。その時の話ならできます」


「ほう? フランス式か。派出そうだな、どんな感じだ」


 犬千代は、転生前ニコライ・ソバキンと言う名で、ソ連親衛隊空挺のエリート部隊に従軍。


 ソ連崩壊後はフランス外人部隊で空挺コマンドー下士官の経験を持ち、コソボ戦争にも参戦した現代戦のスペシャリストでもあり、元漁師でもあり、末端組織の幹部だった。


「はい、あれは忘れられない思い出でしたね。何回か参加させてもらったが、まず騎兵隊が馬に乗って行進するんです。ナポレオン時代より前の、軽装鎧に身を包んだサーベルを持った騎兵です。その後、憲兵(おまわり)達の車両や、バイクに挟まれて、大統領と大臣、将軍たちがジープに乗って手を振る。あとはライフル持ったオレみたいな外人部隊とか歩兵が行進するんです。それが終わったら戦闘機やヘリがスモーク焚きながら空飛んで、戦闘車両(テクニカル)戦車(タンク)が行軍って感じです」


「それは派手でいいな。他には?」


「はい、行進曲みたいな音楽とか鳴らすといい感じです」


 ひとしきり聞いたあと、イワネツはもう少し斬新なインパクトが欲しいと考えた。

 

 整然に行進して圧力を加えるというよりも、もっと荒々しい感じ。


 例えば、雪の降るロシアの白い大地に、鮮烈な赤の絵の具やペンキを、現代アートのように塗りたくるような、斬新な何かを欲しがった。


「他に意見を述べる野郎はいるか?」


 しかし、これ以上案が無いとなると、少し不満ではあるが犬千代の案でゴーサインを下そうとする。


「そういえば、新顔の猿。ヒデヨシですがヤクザする前は、バイクで暴走族やってたって言ってました」


「ほう? そうか犬。猿の野郎は、モーターサイクルギャングなんかもしてたのか。確か俺が知ってるのは、西側だとオランダのクラークってのがケツモチの一人で、俺のヘロインのビジネス相手だった。けど、野郎は確か、イタリアマフィア共のアガリをケチってぶっ殺されたっけか。ケチは良くねえよな、男らしくねえからよ」


 イワネツの言う暴走族とは、日本とは様相が全然違い、欧米で活動するバイカーギャングの事である。


 欧米では、有名な暴力団と知られており、少年達の暴走行為が主な目的ではなく、大人の犯罪者たちのグループで、殺人請負、強盗、麻薬製造、麻薬密売、売春管理など生業にする、白人至上主義の秘密結社、いわゆるネオナチやKKKとも一部繋がりがある、凶悪な集団とされている。


「よおし、じゃあ犬。お前、猿こっち呼べ。つまらねえ話をしやがったら、猿もろともお前もぶん殴るぞ」


 織部の国の団子屋で、犬千代から恩給が出るまで金を借りたヒデヨシが、竹串の団子を頬張りながら、巳濃への軍事パレードについて概要を聞いた。


「そういうわけなんだ猿。君の経験とアイデア、イワネツ様が欲している。推挙したオレにとってもチャンスだし、君にとっても悪くない話だろ? それに日本の暴走族、なんかのニュース映像でも見たが、なかなか面白いことをしてるなあと思ってさ」


「えっと、犬ちゃんさあ。確かに俺は族の事なら大体わかるよ、ヤクザやってた時もそれシノギにもしてたし。うーん、派手でインパクトのある感じかあ。バイクや車なんかこっちにないしなあ……」


 ヒデヨシは転生前は国は違えど同年代で、こちらの世界でも前世の記憶を思い出した者同士で、同年代の犬千代に好感を持っていた。


 そして何より、上に上り詰めたいという気概に、前世の自分もかつては功名心を持っていたことを思い出す。


「戦車はあるよ。馬車改造した奴で、空飛ぶドラゴンも、いろんな生き物が交じり合ったキメラみたいな鵺というのもいるし。簡単な車輪はこっちでも作れるしね。暴走族の仕組みってそもそもどんな感じなの?」


「ああ、だいたいが10代のガキだよね。みんなお揃いの革ジャンとかドカジャンとか、特攻服を纏うじゃん? 俺が現役の時はだいたい特攻服が多かったけど。特攻服ってのは、色々種類あるけど動きやすい上着って感じ。先輩らから受け継がれたり、各人思い思いの刺繍してるわけ。世代が下のガキらはジャージとか、よくわかんねえヒップホップのだぼっとした服とか着てやがったけど」


 ヒデヨシは暴走族の組織について説明する。


「トップは総長。同世代の中で目立ちたがり屋で、喧嘩が上手くて人望あって、地元で有名な奴がやる。けど、組織の頭だし、他のチームから狙われたりサツからパクられる確率が高いから、一番根性と責任感がいる。次が副総長で、これはチームにもよるけどだいたいが、パクられた総長の代行や頭脳役だね。次が特攻隊長で族の花形だ。特攻隊率いて喧嘩になると真っ先に先陣切って突っ込んだり、走る時も先導役でコール切って交差点で車止めたりするし、一番気合と度胸がいる」


「なるほど、この織部では全部イワネツ様がやってる事だね」


「え? そうなの? ま、いいや……続けるぜ。チームの隊旗持ったハタモチと、最後尾を任されるケツモチってのがいる。これは両方兼ねるチームもいて、ケツモチは殿(しんがり)役で単車でサツを巻く囮やるのが役割だね。基本は運転テクがうまい奴がやるけど、パクられてもいいパシリにやらす場合もある」


「ケツモチってそう言う意味なの? オレが聞いてた話は、暴走族のケツモチってヤクザって話だったけど」


「ああ、それは面倒見の事ね。だいたいのガキは、どこそこのヤクザがバックについてるって意味の言い方する。族で言うケツモチは役割分担ってやつ。それで、大きな所帯になると親衛隊を率いる親衛隊長ってのがいて、これは、総長の護衛チーム。次に遊撃隊。奇襲隊って名前の所もあるが、喧嘩の時に相手の目立つやつを、どんな手使っても潰しに行くヒットマンチーム。それでもっと大きくなった連合クラスだと、各地域一人一人が総長の集まりの支部長ってのが出来る感じ」


「へー、で結局何するの?」


 何をするのかの問いに、ヒデヨシは思わず唸った。


 それは地元チームの方針にもよって違うし、先輩らやOBの意向にも影響される。


 しかし共通するのは……。


「先輩からの誘いだったり、喧嘩目的だったり、遊ぶ金欲しさだったり、女にモテたいとか色々あるけど、みんなで馬鹿やって土曜の夜に集まって走るのさ。同世代の地元の仲間と、かけがえのない青春ってやつ。だいたいが、勉強なんざロクにできねえ奴らや、家や学校や社会に居場所のねえ奴ら同士とつるむじゃん? そんなもんだよ」


 犬千代は、社会に居場所のない非行少年達のグループ活動と言うのがだいたい理解が出来た。


 しかし問題は、イワネツの画策する軍事パレードである。


「で、相手側や見てる側を威圧するにはどんな感じにすればいいのかな?」


「道路で、世間一般が蛇行運転って言うようなローリングかましたり、コールを鳴らすのさ。クラッチ切ってアクセル高速でいじってね。三連ホーンで曲奏でたりなんかもいいよね」


「なるほど、じゃあそこんところイワネツ様に話に行こうか」


「え゛? 今から!?」


 犬千代は、夕日が差し込む勝鬨上の天守閣まで、ヒデヨシを連れてイワネツの元に戻る。


「なるほど、面白そうじゃねえか。お前、そのコールだとかホーンだっけ? やってみろ」


 扇子を手に持ち、運ばれた椅子にドカッと座ったイワネツは、跪く犬千代とヒデヨシを見下ろす。


 眼光と気迫とオーラに、ヒデヨシは気圧されそうになるが、じっとイワネツを見据える。


――えぇ……やるって言ったって、口真似すりゃあいいのか? お笑い芸人じゃあるめえし。いや、このお方に認められるためには、やるっきゃねえ。鬼コールを!


「失礼します!」


 ヒデヨシは立ち上がると、バイクに跨ったようなポーズをとり、左手でクラッチを握った感じにして、右手をアクセルを握った感じにし、高速で右手を動かす。


「ブォン、ブォン、ブォーン! クォンカッカッカッカッカ、クォンカッカックォンカッカッカ! ヴォン、ヴォヴォヴォヴォヴォ、ヴォンヴォンヴォーン! ヴォンヴォヴォーン、ヴォンヴォヴォン、ヴォンヴォヴォンヴォヴォーン! パラリ、パラパラパララララ〜♪」


「お前! 俺を馬鹿にしてんのか馬鹿野郎(ブリャーチ)! なんでミッ●ーマウスのマーチとゴッドファーザーのテーマなんだよ阿呆(アショール)!」


 扇子を額に投げつけられたヒデヨシは、頭の中に火花が飛び散り、昏倒しそうになった。


「あ、いえ。これバイクのアクセルコントロールでやるようです。イワネツ様」


「ん? なんだそうか犬。結構芸術性が高いじゃねえか。早く言え馬鹿野郎(ブリャーチ)!」


――痛ぇ……めっちゃ手が早いよこの人。怖えよ、ヤクザの親父さん連中よりおっかねえ。もうなんていうか、目が怖いっていうかブラックホールみてえな目付きしてんよ、ロシアンマフィア怖すぎだろ。


 ヒデヨシは、ヤクザ時代に見ていた兄貴分や親分、そして様々な親分衆を思い浮かべる。


 その中で、これはやばいとヒデヨシが思った親分が、わざわざ関東の有名な親分の葬儀まで足を運んできて、自分が他の若衆たちと整列して頭を下げながら、ちらりと一度しか見たことがない、6代目極悪組組長の清水正義。


 車から降りる佇まいや歩く姿は、人の姿をした悪魔のような暴力じみた圧倒的なオーラや存在感を出しており、自分みたいな小物とは一線を画するような、隙の無い他を寄せ付けない雰囲気を持っていた。


 しかしイワネツの場合は、それを上回るような圧力と、何より人間としての光が一切ないような、漆黒の瞳にヒデヨシは恐怖する。


 冥界の女神であるヘル、神ですら恐怖するイワネツの圧倒的な覇気であった。


「それで、お前。他に何か面白い話聞かせろ、どんなバイク使ってるんだ?」


「へ、へい! なんか書くものと紙を願いやす!」 


 ヒデヨシは、紙に筆で水墨画のようなバイクの絵を描く。

 

 彼は暴走族時代、ステッカーデザインやバイクの塗装や改造については、先輩や後輩からも一目置かれており、自身は死ぬまで気づかなかったが、絵の才能やバイクいじりなど手先の器用さは、本来ヤクザ稼業などやらずとも、それだけで食っていける才覚があった。


「こ、こんな感じですぜ。自分、ホンダのホークⅡに乗ってやしたが、外装パーツや直管マフラーに替えたりして色々弄れます。カウルとかはロケットカウルだとか、タレ風防なんかいい感じです。あと、ハンドルを絞って鬼ハンだとかにしたり、テールをエビっぽくしたり、シートを椅子みてえに革の三段シートに変えればゴージャスです」


「ほう? なかなか芸術性もあるし面白い形だ。バイクはどうやって調達してやがった?」


「あ、いえ……先輩のおさがりとか、貰いもんもありやすが、敵対チームやそこらへんの停めてあるやつかっぱらったり、廃品工場やスクラップ置き場みてえなのから盗む場合とかありやす」


 ヒデヨシの答えに、イワネツは頷く。


「なるほど、お前は盗賊の才能があるな、気に入った。もうちょっとインパクトがある改造とか外見が手軽にかわるようなのは?」


「へ、へい、一番目を引くのはアレですぜ。自分ら夜に集まって暴走(はしり)始めるんですが、やっぱインパクトがあって安上がりなのは、電装系ですぜ。電飾して光らすと、夜の公道で映えるんですわ。リレーってやり方なんですけど、バッテリーから配線ポン付けしてとった電気で豆電球光らせるんです」


「ほう? 光らせるのか?」


「へい! バイクの他に4つ輪、車の場合も色々できて、大抵は車高低くしたシャコタンや、マフラーいじって竹やりにしたり、出っ歯っていうオーバーフェンダーつけたり、ホイール替えたり、それから……」


 イワネツは上機嫌に、ヒデヨシの族車の話に聞き入る。


 ロシア、いや旧ソ連には、車文化は当初あまり根付かず、西側の車文化や日本の改造車の歴史などソ連やロシアに無かったので、イワネツはこういった話に強い興味を持つ。


 車と言えば、戦車や軍用トラックと言った感じで、ジグリやヴォルガと言う名の大衆車も、ある事はあったが、ソビエト時代からのロシア車は命の危険もあるので冬眠させるなどと、ロシア人は自国の車など全く信頼していなかった。


 すなわち冬には車は乗れないという意味である。


 これはロシア車は故障が多いので、極寒の冬に故障したら凍死する可能性があったためだ。


 共産党高官が乗るGAZ(ガズ)と言われる国営メーカー製、チャイカという車があるが、西側の高級車やVIPカーと比べると、武骨でやぼったく安っぽい。


 ソ連崩壊後、西側の車に目を付けたのがイワネツだった。


 特に日本車はソ連崩壊後のロシアで人気が高く、SUV車が新興の成金達に飛ぶように売れる。


 欧米でも同じ現象が起きたが、日本車は持ち前の信頼性でロシアの車事情を大きく塗り替えたのだ。


 転生前のイワネツは手下に命じ、清水正義などの日本のヤクザ達を仲介に、SUV車の中古車を買うか盗んでこさせた事もあり、前世でニコライと言う名前だった犬千代は、そのビジネスに大きくかかわっていた。


 イワネツも、欧米の車よりもトヨタや三菱、日産のSUV車を最も好んで愛車にした経験がある。


「よおし、方針は決まったな。猿野郎! お前に命令を下す。そのお前が言う族車だったか? 明日の朝までにお前が監修のもと、軍事パレードの装飾を施せ! 部下共は、ヒデヨシに協力してやれ!」


「ははー!」


 こうして、イワネツの巳濃への軍事パレードの準備が始まる。


 地球とは異なる異世界ニュートピアで暴走族が生れた瞬間だった。

続きます

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