第89話 許嫁 後編
イワネツは、ヘルを拉致しようとした正体不明の虚無僧と対峙する。
「なるほどな。俺が屋敷にいなかったから、かわりに、このメスガキさらって人質取る気だったか?」
虚無僧は、無言で隠し持っていた小太刀を左手で抜くと、ヘルに刃を向けた。
「困るんだよ、そのガキさらわれて死なれたりでもしたらな。それにこの前来たヒットマン連中と違い、真っ昼間に単独で俺の屋敷に乗り込んで来るとは。なかなかいい根性してやがる。そういえばお前さ」
イワネツは人差し指を上に向けると、虚無僧の視線も上を向き何もないことがわかり、視線を戻した瞬間、イワネツはレスリングタックルのように、一気に謎の虚無僧まで間合いを詰めると、両手で掬い上げるように宙に投げ飛ばす。
「!?」
気を失っているヘルをイワネツはジャンプして抱き抱え、風の魔法を使い体の軌道を変えた。
「度胸だけは褒めてやる。だが死ね」
空中で虚無僧の頭に飛び回し蹴りをヒットさせたが、水の魔法の障壁が全身を覆い、ダメージを軽減するが蹴りの風圧だけで吹き飛ばされた。
「雑魚じゃねえようだな。あれか、ニンジャってやつか?」
イワネツはヘルを庭の垣根に放り投げ、虚無僧の吹っ飛んだ方向に、風の魔法で体を加速させて一気に間合いを詰める。
虚無僧は空中に浮遊しながら右手で印を結ぶと、炎の渦が発生し、蛇のようにイワネツの体に炎が纏わりつくつくも臆する事なく、イワネツは虚無僧忍者に抱きつく。
「なかなかニンジャっぽい事してくれるじゃねえか。知ってるか? 俺の前世じゃアメリカやロシアって国でニンジャは超人気でよ。俺も刑務所で漫画読んだが、N●RUT●ってガキ向けのアニメに、大人もハマってんだ。NYのブロードウェイでその芸やれば、アガリでビルが建つだろうぜ? なあ!」
イワネツはそのまま地面に急降下し、反転して相手を頭部から地面に叩きつける、垂直式DDTのようなプロレス技のようにも見える、滅茶苦茶な投げ技を虚無僧に繰り出す。
忍者は風の魔力で押し戻そうとしたが、地面に衝突し、あまりの威力と衝撃で悶絶した。
しかしすぐに跳ね起きるように宙に浮き、イワネツから一気に間合いを離して、右手の人差し指で印を結ぶと今度は庭の砂利や石が浮き、次々とイワネツに向けて意志を持ったように石が襲い掛かる。
石つぶてはイワネツの体に当たると砕け散り、全くダメージを与えることが出来ず、今度は庭園の大岩を虚無僧忍者が魔力で持ち上げ、イワネツに風の魔力で放り込むも、右の裏拳一発で粉砕された。
「チッ、俺の庭を。本来だったらぶっ殺すんだが、誰が送り込んできたか吐かせねえとな」
イワネツは左足で地面を蹴って風の魔力で一気に加速し、虚無僧の懐まで入り込み人差し指と親指に魔力を集中させ、指と指の間に分子同士の摩擦を起こすと、真っ青な稲光が光り輝き高圧電流を流すスタンガンのような魔法を具現化する。
虚無僧は、迎え撃つ形で左手に握った小太刀をイワネツの喉に向けて突くが、イワネツの方が先に電極に見立てた親指と人差し指を虚無僧忍者のに押し当てて、筋肉を強制的に収縮させ失神させた。
「手間取らせやがって、俺の庭が無茶苦茶だ。どれツラ拝んでやろうか」
イワネツは虚無僧の深編笠を剥ぎ取ると、うら若き黒髪の美しい女性だった。
「こいつは驚いたぜ、女っ気のねえ格好してやがったから、どこの野郎かと思ったが、上玉のズベじゃねえか。このイワネツ様に生意気な事しやがって、これだけの上玉なら金になりそうだが、その前にお仕置きが必要だな」
イワネツは女の忍をだき抱え、お姫様抱っこしながら鼻歌交じりで自室まで連れて行くと、目を覚ましたヘルが後を追う。
そして女を自室の寝室の布団に雑に転がし、頬を軽く張って起こす。
「よう、この俺が誰だかわかるな? お前はどこの回しもんだ女?」
戦闘時の鬼のような形相とは違い、一見すると優男風な顔をしたイワネツをぼーっと呆けるよう女が見つめると、緑の瞳の瞳孔がカッと縦に開き、顔を真っ赤にして胸元に隠し持った小刀を抜く。
「無礼者め! そなたこそ私をどこの誰だと心得る! 私は……ひっ」
イワネツは舌打ちして女の蓑を剥ぎ取ると、蝶の柄の振袖が露わになった。
「だから、今それを聞こうと思ってんだ。知ってるぜ? クノイチって奴だろ? 日本のスケベなアダルトビデオで見たことある。今からお前の体にそこんとこ……」
ヘルは顔を真っ赤にしながら、イワネツの頭に飛び蹴りをくらわした。
思いのほか重い一撃に、イワネツの脳内にまるで火花が散ったような衝撃が走る。
「犯罪だわ! 同意のない男女のそ、そういうのは犯罪だわさ! こいつの心を読んだら巳濃という国の姫だわさ」
「いってえなあ。ん? ほうそうか、このズべが俺の許嫁ね。あとメスガキ、お前は寝てろ」
イワネツはヘルの腹にボディブローを入れて気絶させ、巳濃の姫の方を向くと、土魔法で金属の鎖を具現化して手を縛り上げ、小刀をひったくる。
「これからガキには、大変教育上よろしくねえことするからな。俺はアレをガキに見せつけて、興奮するような性癖はねえ。クレムリンにいたベリヤだかロリヤだか言う、変態のクソ野郎じゃねえからよ。さて……」
巳濃の姫はイワネツを睨みつけるが、これを無視してイワネツは鼻歌交じりで、自室のタンスから、大きさの異なるロシア人形風の、マトリョーシカを模したこけし二つを取り出して、右手と左手に持ち、巳濃の姫へにじり寄る。
「これな。こっちの世界で作ったんだが、戦国時代って事で、人口減少に領民共が頭悩ませてたっつうから、俺が作ってやったのよ。そしたら、めでたくみんな子宝に恵まれやがったぜ。ホレ、魔力流すと先端が自由自在に動くんだ。面白いだろ?」
「や、やめろ。痴れ者め! くっ、殺すなら殺すがいい!」
「お前、確か俺と結婚する予定の許嫁ってやつだろ? じゃあ親同士の同意とれてるから、別にかまいやしねえよな?」
イワネツはいやらしい笑みを浮かべて、振動するこけしを巳濃の姫に向けた。
「しかし道山のやつ、許嫁のこいつを暗殺者として送り込んでくるとはな。さすが俺が認めた盗賊だけはある。自分の娘を道具にして、神や俺の命を盗みに来るとは、恐れ入った。奴は筋金入りの盗賊! ならば俺は、同じ盗賊としてこの戦利品で楽しんでやるぜ」
「ひぃっ!」
ぶぶぶぶぶと、音が鳴って振動する大小のこけしを見た巳濃の姫は、思わず短い悲鳴を上げて恐怖した。
一方で織部の国の隣国、巳濃の国。
稲波山城本丸殿の大広間にて、髪を全て剃り上げ、瞳の色が緑、縦長の大きな瞳孔をして、魔族の血がうっすらと入った、袈裟姿の中年男性が数珠を持ちながらあぐらをかき、目を閉じて精神を統一していた。
乱世の梟雄、佐藤道山である。
――あれほど言ったのに、お蝶のうつけめ。織部のうつけはワシに任せよと言ったのに、あやつ置き手紙など残して勝手に織部へ。憲長は、あのうつけは頭がおかしいのじゃぞ!? もしもあやつが手傷を負うこととなり、お蝶が捕縛され、ワシの娘だとバレれば奴に国を滅ぼされる。
一ヶ月近く前に手練れの忍者を使い、憲長ことイワネツを暗殺する計画を立てたが、悉く失敗。
そして暗殺で放った忍者たちが、まるで赤子がするおしゃぶりのように、切り取られた陰部を口に咥えさせられた状態で、国境の境川に晒された件を聞き、乱世の梟雄はイワネツの残虐性に、意味が見出せず理解ができずにいた。
理解が出来ない得体の知れぬ存在は、恐怖を生む。
合理的な論理を持つ、国盗りと言われた乱世の梟雄は、自身の経験則から考えてもイワネツと言う男を、全く理解できずにいた。
――暗殺者を手打ちにして、首を刎ねて見せしめに晒すならばまだ道理は通る。しかし陰茎を口に咥えさせて首を辱める意味がわからぬ。こちらはなんとも思わんが、真意がわからぬぞ? 意味がない事この上ないし、頭がおかしいとしか思えぬ。
見せしめならまだ道理は通るが、イワネツの残虐性に乱世の梟雄も理解が及ばず、伝え聞く織部の国の様変わり具合や、南北朝の戦場で実際に見た力も相まって、人間以外の化物のように道山は震え上がる。
まるで数百年に一度、定期的に東の海からやってくる、ジッポンの歴史上何度も内戦を迎えたとしても、この戦国の世でも大名各国が結託して討伐に当たらざるを得ない、厄災じみた化物達のような底知れぬ恐怖を道山は感じていた。
そして恐ろしくなった道山は、イワネツの父である織部の虎こと憲秀より、自分の18歳の娘胡蝶との婚姻の申し出があり、道山はこれを受けたのだ。
暗殺や武力では、イワネツこと織部憲長に絶対に勝てぬと悟ったからである。
ならば自身に引き入れ、益となれば盟を結び、もしも力だけのうつけならば、他に跡取りのない織部ごと、長い時間をかけて奪えばいいと思っていた。
なぜならば、道山は純粋なヒトではなく、長命なオニと呼ばれた魔族の血が入っているため、寿命がくれば先にヒト種の方が早く死ぬからである。
しかし結婚を猛反対した娘の胡蝶はというと……。
「父上、蝶はうつけとは結婚したくございませぬ。我が家は代々忍びの家系ゆえ、差し違えてもうつけを討ち取りに織部へ参ります」
という置き手紙を残して姿を消した。
道山こと本名の勘九郎は、元は魔法技術を修行によって身につけた香賀の忍の出である。
ジッポンの魔法使いは、神官、僧侶以外は忍者と呼ばれ、大名各国お抱えの傭兵集団という意味合いが強い。
このニュートピア世界の人々は、基本的には日常的な魔法技術であれば、使用方法を国や代官に申請すれば使用できる。
領主や代官によっては、魔法の使用方法を限定している地域もあり、身分制度が厳しいフランソワでは身分及び職業別に、使用魔法を限定しており、共和国になってからもこの法律は改正されていない。
しかしフランソワを遥かに超える、身分制度社会の東方ナージア、その中でも東ナージアのヒンダス、チーノ、そして東の果てジッポンでは、魔法や呪術は争いを生む悪しき技術とされ、朝廷より許可を得ない者の使用の一切を禁じられている。
このため公に使用出来るのは、ジッポンの場合、皇族、公家、官職を持つ守護大名、神職や僧侶などに限定される。
下級武士、農民、漁民、職人、商人のいわゆる士農工商にあたる身分のものが、たとえ己の魔力に優れようが、魔法を使えば最悪死罪か狐憑き呼ばわりされ、殺されるか幽閉されてしまうが、現在の戦国の世ではこれも形骸化され始めてきた。
そして忍者はこの身分から外れた、いわゆる被差別階級の者達。
身分から隔離された彼らが、ジッポン社会で生き残るために技術を磨き身につけた、いわば生きる術であった。
この被差別階級出身だった、佐藤道山こと勘九郎は、元は香賀中忍の身分であったが、大名達や上忍から汚れ仕事ばかり請け負うのを煩わしく思い、自身の忍の王国を作ろうと、忍びの諜報術と自身の頭脳で国盗りをするに至る。
極めて合理的な思考を持ったこの道山は、使い方次第で便利なこの魔法を、身分で限定するのは馬鹿馬鹿しく非効率であるとして、領民全てに忍びとしての魔法技術を叩き込んだ。
結果、家臣のみならず町人や商人農民全てが忍者であるという、戦闘能力が極めて高い特異な国が、このジッポンで生まれることとなったのだ。
これが、巳濃の国が新興の大国として台頭した理由である。
――お蝶め、あやつは確かに忍びとしての才はある。隣国に嫁がせるための、姫にしておくのは勿体ないくらいに。じゃが女の身のゆえ、南北朝の戦争に参加してないから、そんな阿呆な企てを考えるのじゃ。
道山は南朝八州で行われた戦場で、イワネツの力を垣間見た。
八州の強力な武士団が単騎のイワネツに蹂躙され、戦場の大地や砂浜が真っ赤に染まった事を思い出す。
――アレは化物じゃ。人智を超えたいにしえの神、如流頭の力を宿してるとしか思えぬような何か。じゃが、不意討ちならば勝機はなくもないか?
すると、水晶玉から通信が入った。
胡蝶からの着信だったが、もしかして織部のうつけに手を出すのを思いとどまったのか?
道山が通信に出ると、肉を打つ音と女の艶っぽい喘ぐような声が聞こえて来る。
「おう、毒蝮さんよお。やるじゃねえか、さすが一流の盗賊だ。お前の娘だが、いい女で大したタマだぜ。俺の妹をさらった後、この俺をぶっ殺そうとする根性は認めてやる。なかなかの上玉だが、クノイチだっけか? 楽しませて貰ってるぜオラァ!」
憲長ことイワネツからの着信だった。
自分の娘の艶っぽい声に、絶句した道山の手から水晶玉がポロリと転げ落ちる。
人質を取るのは理解できるし、背後関係を探るため、下手人に拷問や攻め苦を与えたり、女人なれば辱めるのも道山は理解出来る。
だが、その様子の音声を流しながら、自分をまるで褒め殺すように称えてくる状況を、意味がわからないと道山は恐怖する。
「ったくよお、ホレ、もっと良い声で鳴けってんだよ、親父の前だぞオラオラ。そんでよ、俺はあんたを同じ盗賊として、尊敬してんだ。国盗り道山よお! ならば俺も盗賊の端くれとして、この女売女にして、チーノに売りつけてやってもいいんだが、どうすんだ!?」
「な、何が目的じゃ! うぬは何を一体」
「うーんやっぱダメだな、この上玉はもう俺のモノだ。そうだ、俺からこいつ奪い返しに俺と戦争してみっか? 同じ盗賊のよしみで大歓迎するぜおめえをよお! あ゛あ!?」
――な、なんということじゃ……こやつやはりうつけじゃ、頭がおかしいにもほどがある。しかも胡蝶はワシの血を色濃く引き、並の忍以上の力を持った天才が、あっさりと人質にされて……。かくなる上はワシがこの化物を吟味し、隙を見つけて殺すか取り込むしかない……がどうすべきか。
「死が全て解決する。人間が存在しなければ、問題も生じない。そんな事言ってたキ●ガイが昔いた。だが、たしかにスターリンのイカレ野郎が言った事の道理は通ってる。つまりはだ、同じ盗賊だからって、この皇帝と呼ばれた俺に調子のってっと……。お前の国ぶっ潰して、この前送りつけてやった生首みてえに、お前も突っ込んでやるぞ! お゛う!? 豚野郎!!」
道山はもはややむなしと決意した。
「……盟を結ぶ」
「あ゛ぁ?」
「同盟を結ぼう……明日の朝、巳の刻4つ時に我が領土国境の聖徳神社に参れ。そこでワシとサシで話し合いたいのだが如何に?」
水晶玉の音声から胡蝶の喘ぐ声しかしなくなり、イワネツは長考しているようだった。
「なるほど親父殿の許可がいるな、日取りはそれでもいいが我が親父次第だ。正式に決まるまでに、お前の娘は俺の戦利品だからよお、たっぷり可愛がってやるぜ。なあ? 許嫁だもんな胡蝶よお!」
娘の嬌声が響き渡り、水晶玉の通信が切れると、道山はイワネツの無軌道さに一言だけ呟いた。
「アレはうつけじゃなく、大うつけじゃな……」
イワネツは事が済み、着物が乱れて恍惚の表情を浮かべ、口から二つに分かれた舌を出し、涎を流す痴態を晒して失神した胡蝶を、縄で縛り上げて自室から出る。
一部始終を薄目を開けて見ていたヘルは、顔面を真っ赤にしながら奇声を上げて、イワネツの自室を後にして与えられた自室に閉じ籠る。
イワネツは、勝鬨城から少し離れた領主邸宅に赴く。
憲秀に謁見すると、今回の件をイワネツはこの世界で最も尊敬する父親に報告した。
「うつけ者が! 巳濃の姫を手篭めにし、人質にした挙句佐藤めを脅迫するなどと! なぜワシに確認を取らんで事を進めたのじゃ! 大たわけ!」
織部憲秀は、イワネツの頬ゲタを思いっきり殴りつけたが、拳が痛めただけでイワネツへのダメージはゼロである。
「ああ、親父殿。許可を得ねえで勝手にやったのは申し訳ねえ。そんでよ、向こう側から同盟の申し出をして来やがった。明日の巳の刻、国境の聖徳神社だ。行っていいか?」
「行くなとワシが申しても、どうせお前の事だから行くのだろう。この件は、お前に一任するゆえ、ワシの名代として佐藤めに謁見せよ。おかしな真似をすれば、その場で殺めても良い! その方が、我が織部が巳濃の国へ侵攻する、大義名分になるじゃろうて」
――さすが虎と呼ばれた親父殿だ。喧嘩のやり方をよくわかってやがる。相手がヘマして、こっちに危害を加えてきたって事にすれば、強奪する理由になる。そしてこっちが、相手の身内の身柄を、戦利品として抑えてる以上、圧倒的に有利なのが俺達。道山が俺の盗賊としての威光に屈服して傘下に加わればよし。そうじゃねえならぶっ殺した上で、親方がいなくなった混乱に乗じて、巳濃を奪っちまえばいい。そういう事だな。
イワネツは、憲秀に頭を下げる。
「かしこまった。親父殿の名代で、奴らの国をぶん盗ってやる。親父殿は、国の守備を固めていただけるか? 今田の馬鹿どもからこの前、西側の軍艦をかっぱらってきたから、取り返しに来るかもしれねえし」
――こやつっ! 見たことない大型艦船の報告があったと思ったら、同盟を結ぶために交渉中の、副将軍家今田にも、何かやらかしたのか? ワシに黙ってこの大うつけがああああああ!
などと思い胃痛に耐えながら、憲秀はイワネツに威厳たっぷりに頷いた。
イワネツが自宅に戻ると、顔を真っ赤にして目線を逸らしたヘルを、怪訝な顔で一瞥すると、水晶玉を取り出した。
「おい、鬼髭。兵隊集めろ、道具も戦車もだ。ああ? 明日朝、巳濃まで軍事パレードすっから。ついでに巳濃も強奪してやろう。兵隊共も見栄え良くしとけ」
自身の軍団を引き連れ、国盗りと呼ばれた男に会うのを楽しみに、織部と巳濃の境、聖徳神社に赴く事とした。




