代理遠征軍
今回、地味ーに厄介事を押し付けられます。
襖を開け、入ってきたのは伝達係の一つ目小僧、一ノ丸だった。一つ目小僧でピンと来た方もいるかもしれないが、一ノ丸は藤の意中のお相手なのだ。
「どうした?一ノ丸」
「はい。清白様から伝達を承りました」
「清白殿から!?」
あまり・・・否一度も無いこの事態に一同は動揺を隠せないでいた。清白は大物中の大物。その様な妖怪から伝達が来ることはまず無い。来るとすれば・・・よほど何か良くないことが起こったに違いない。
(何だか・・・嫌な予感がするねぇ)
「一ノ丸、申してみよ」
「はっ。妖の世界の北の方角にある氷妖山で『闇』が大量発生した・・・・とのことです。清白様は腰を痛められ・・・・えーつまり「ぎっくり腰」になられ・・・」
「え?」
「遠征軍に参加出来ず、他、古強者の方々も何かと都合の悪い方が多いので、岩大様らにお願いしたい・・・・とのことです」
「な・・・・なるほど・・・・」
「どーせ他の奴らも腰痛だのぎっくり腰だの・・・まったく歳よりは困るぜ」
「闇・・・・・大量?・・・・」
「?」
岩大は九炎の様子がおかしい事に気付くと、納得した。恐らくあのことを思い出してしまったのだろう。闇の大量発生・・・・このシチュエーションはあの時とぴったり重なる。岩大は多かれ少なかれ、九炎の過去をしっている。だから辛い思いはさせたくないと思った。
「吾輩は行く。だが九炎は着いて来るな。烏もだ」
「なんで?」
「何故も何も無い!」
「フ・・・・・ボクも見縊られたものだねぇ。ボクは1人で行くよ」
九炎は嫌われ様と、反感を買おうと、もう親しい者達を亡くしたくはないと思った。九炎は前に大量の闇を前に敗れ・・・・・弟を無くしてしまった事があった。
だから、もう同じことは繰り返したくない。
そして、どうせ消えるのなら
独りで消えたい
そう思った。
それに今の九炎の実力で、闇を蹴散らすことは大いに可能だ。だから最後、力尽きても任務成功に違いはない。と言う勝算もあった。
「安心しなよ。ボクにはちゃんとした勝算があるんだからサ」
「生存率」
岩大はポツリと呟いた。
(生存率・・・?)
「生存率はあるのか?」
「・・・・・・あるよ」
九炎は口角を上げて言った。
「・・・・・」
岩大は九炎の瞳を暫く覗き込んだ。九炎は大して動じる様子もなく、一枚の絵を眺めるような虚ろな瞳になった。
「どうもお主の言葉は信用できんな。一ノ丸!」
「はっはい!」
「期限はいつだ?いつまでに済ませれば良い?」
「麓の村へ下りて来る事を考えると、最低・・・五日。良くても六日程では?つまり、五日間のうちに登山、下山、退治を済ませなければならなくなります」
「うむ・・・」
場に思い沈黙が流れた。岩大、九炎の表情が強張る。そうすると、自然と皆も同じような顔になる。
「な・・・なんだ?オメーら」
全く・・・お歳よりはこまりますねぇ。
しかし・・・
どうで消えるならって、どういうことなんでしょうか!?




