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雪火桜  作者: 猫乃
24/52

代理遠征軍

今回、地味ーに厄介事を押し付けられます。

襖を開け、入ってきたのは伝達係の一つ目小僧、一ノ(いちのまる)だった。一つ目小僧でピンと来た方もいるかもしれないが、一ノ丸は藤の意中のお相手なのだ。

「どうした?一ノ丸」

「はい。清白様から伝達を承りました」

「清白殿から!?」

あまり・・・否一度も無いこの事態に一同は動揺を隠せないでいた。清白は大物中の大物。その様な妖怪から伝達が来ることはまず無い。来るとすれば・・・よほど何か良くないことが起こったに違いない。

(何だか・・・嫌な予感がするねぇ)

「一ノ丸、申してみよ」

「はっ。(あやかし)の世界の北の方角にある氷妖山(ひょうようざん)で『闇』が大量発生した・・・・とのことです。清白様は腰を痛められ・・・・えーつまり「ぎっくり腰」になられ・・・」

「え?」

「遠征軍に参加出来ず、他、古強者(ふるつわもの)の方々も何かと都合の悪い方が多いので、岩大様らにお願いしたい・・・・とのことです」

「な・・・・なるほど・・・・」

「どーせ他の奴らも腰痛だのぎっくり腰だの・・・まったく歳よりは困るぜ」

「闇・・・・・大量?・・・・」

「?」

岩大は九炎の様子がおかしい事に気付くと、納得した。恐らく()()()()を思い出してしまったのだろう。闇の大量発生・・・・このシチュエーションはあの時とぴったり重なる。岩大は多かれ少なかれ、九炎の過去をしっている。だから辛い思いはさせたくないと思った。

「吾輩は行く。だが九炎は着いて来るな。烏もだ」

「なんで?」

「何故も何も無い!」

「フ・・・・・ボクも見縊られたものだねぇ。ボクは1人で行くよ」

九炎は嫌われ様と、反感を買おうと、もう親しい者達を亡くしたくはないと思った。九炎は前に大量の闇を前に敗れ・・・・・弟を無くしてしまった事があった。

だから、もう同じことは繰り返したくない。


そして、どうせ消えるのなら


独りで消えたい


そう思った。


それに今の九炎の実力で、闇を蹴散らすことは大いに可能だ。だから最後、力尽きても任務成功に違いはない。と言う勝算もあった。

「安心しなよ。ボクにはちゃんとした勝算があるんだからサ」

「生存率」

岩大はポツリと呟いた。

(生存率・・・?)

「生存率はあるのか?」

「・・・・・・あるよ」

九炎は口角を上げて言った。

「・・・・・」

岩大は九炎の瞳を暫く覗き込んだ。九炎は大して動じる様子もなく、一枚の絵を眺めるような虚ろな瞳になった。

「どうもお主の言葉は信用できんな。一ノ丸!」

「はっはい!」

「期限はいつだ?いつまでに済ませれば良い?」

(ふもと)の村へ下りて来る事を考えると、最低・・・五日。良くても六日程では?つまり、五日間のうちに登山、下山、退治を済ませなければならなくなります」

「うむ・・・」

場に思い沈黙が流れた。岩大、九炎の表情が強張る。そうすると、自然と皆も同じような顔になる。

「な・・・なんだ?オメーら」



全く・・・お歳よりはこまりますねぇ。

しかし・・・

どうで消えるならって、どういうことなんでしょうか!?

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