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2.影の足跡を追って

*前回までのお話*

ラブタームーラの町に、夜な夜な恐竜が歩き回る、そんな噂が広がる。タンポポ団はさっそく、その究明を始めるが……。

 クビナガリュウは、あっと言う間に通りの向こうへと行ってしまっていた。

「あれじゃ、もう追いつけやしねえ」浩は地団駄を踏んだ。

「なんたって、足の長さが違うもんね。向こうは普通に歩いているんだろうけど、あたし達が必死に走っても追いつけるかどうか」と美奈子。

「しかも、暗がりだから、あっと言う間に見失っちゃうよ。どこに行ったかなんて、わかりっこない」和久もがっくりと肩を下げる。

 けれど、元之だけは違った。クビナガリュウが歩み去っていった辺りを、まるでイヌが匂いを探るようにして調べていた。

「あきらめるのはまだ早いようですよ」元之はみんなを振り返った。「よくご覧なさい。うっすらと影のような足跡がついています。もっとも、ほんの数秒で消えてなくなってしまいますが」

「足跡か!」浩が叫ぶ。

「たどっていきましょ、消えないうちに」


 タンポポ団は足跡を追っていった。クビナガリュウと違って、こちらは少なくとも数秒は待ってくれるので、もたもたしない限り、歩いて追跡ができた。

「カエデ通りを真っ直ぐ行ってますね」クルマの通らないカエデ通りを、一同は足元を見ながらついていった。

 しばらく行くと、途中で逡巡したのか、足跡がぐるぐる回っていた。そこは小学校の近くだった。

「ここで何か探してたみてえだな」浩はそう分析した。 

「そうよ、きっと何かを探してるんだわ。それで夜中になると歩き回るのね」

「その何かって何?」和久が聞いた。

「さあ、それはクビナガリュウにきいてみないことには」と元之。


 その後、足跡はまたカエデ通りに続いていた。

 途中で思い出の小路に交差するところがあり、今度はそちらへ向かっていった。

「どうやら、カエデ通りにはお目当ての者が見当たらなかったようだな」

「なんにしても、道なりに歩いてくれているのは助かるわ。相手は実体がないんでしょ? その気になれば建物でもなんでも突き抜けていってしまうじゃない」

 美奈子の言う通り、クビナガリュウの足跡は常に道を選んでついていた。

「美奈子君、いいところに気がつきましたね。そう、あのクビナガリュウは常に道沿いを進んでいます。そこにヒントが隠されているように思うのです」


 思い出の小路を入ってすぐのところで、足跡がまた行き来していた。

「ここでも何か気になるものがあったらしいな」浩は足跡をじっと見つめた。

「ここは図書館の近くですね。小学校、図書館、何か関連があるのでしょうか」元之はうーんと考え込んでいる。

 思い出の小路には、銅像やオブジェがいくつも並んでいる。足跡の様子から、どうもその1つ1つに興味があるらしく、その場にとどまった形跡が見受けられた。

「クビナガリュウが芸術鑑賞か。案外、おれ達よりたいしたやつなのかもな」と浩。

「ええ、少なくとも確かめたいことがあったのは間違いありません。それがなんであるか、わたし達にはまださっぱりわかりませんが」

 グズグズしている暇はなかった。足跡は数秒で消えてしまうのだ。さらに先を追わなくてはならなかった。


「おれ、思うんだけどさ。奴は宝物を探してるんじゃねえか? ほら、ドラゴンとかって、宝物を集めてるだろ? ってえことはだ、あいつのあとをついていけば、おれ達も宝にありつけるってわけだ」浩がそう言う。

「宝物!」和久が目をぱっと輝かせた。「それって、金貨だったり魔法の剣とかかな。それとも、ルビーとかサファイアとかダイアモンドかもしれないよ」

「あまり期待しない方がいいでしょう。そんなものが道端にほいほい転がっているとは、とても思えませんしね」それが元之の見解だった。

「たぶん、クビナガリュウにとっての大切な物なんじゃない? あたし達にはきっと、無用の長物よ」

「わたしもそう思います。ともあれ、先に進みましょう。足跡がどんどん消えていきますよ」


 足跡はその後も、銅像の前で立ち止まったりしながら、どんどん先へと続いていった。

「いったい、どこに向かってるのかしら」

「この先は森の中ですね。森にでも帰るのでしょうか」

 思い出の小路は森の中を通り、隣町へと続いていた。てっきり、そこへ行くのかと思いきや、ふいに左にそれる。

「おや、この先は――」元之が言いかける。

「博物館だわ!」

 その通り、足跡は博物館へと向かい、門の向こうへと消えていった。

「なるほど、だんだんと見えてきましたよ。あのクビナガリュウは、我々の掘り出したナナイロサウルスの霊体だったのです」

「霊体って?」和久が聞いた。

「つまり、幽霊ってことです」

 


*次回のお話*

3.ナナイロサウルスの捜し物

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