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呪いの効果


「嘘だろ……もう、どうにも出来ないじゃん……」


 レオンの手が震える。


 唯一の武器――去勢魔法。

 それが、通じない。


 ただそれだけで、戦う意味すら崩れ落ちていく。



「レオンちゃんは下がってなさい!」


 オネイが前に出る。


「トロちゃん、護衛!――後は私たち【花園】に任せなさい!」


「「「はい!お姉様!」」」


 ――だが。


 ガキン!!


 刀が、弾かれる。


 槍が、弾かれる。


 斧が、弾かれる。


 ドラゴンの鱗は、あまりにも硬すぎた。


「……っ、傷一つ……?」


 誰も口にしない。


 だが、全員が理解していた。


 


 ――勝てない。


「諦めろ」


 低く、重い声。


「その小僧以外に用は無い。素直に差し出せ」


「はぁ!? 何でレオンちゃんにこだわるのよ!」


 オネイが睨みつける。


「その呪いは――この世界にあってはならない」


 一瞬の沈黙。


「……お前達は、知らなくていい」


「貴方……何か隠してるわね」


「もうよい」


 ドラゴンの眼が細まる。



「死ね」


 

 ――次の瞬間。



 花園を“無視”して、一直線にレオンへ。


「トロちゃん!!」


 トロールたちが壁となる。


 だが――


 ズダァァァン!!


 肉が裂ける音。


 骨が砕ける音。


 巨体ごと、吹き飛ぶ。


「……あ……」


 レオンの視界が揺れる。


 終わる。


 そう思った、その時――


『レオン君!!』


 空気が震えた。


 聞き慣れた声が、戦場に響く。




□ □ □


 ――時間は少し遡る。


 研究塔・地下。


「違う……これでもない……!」


 アーヴィンの手は血に塗れていた。


 解剖されたオークが、無惨に転がる。


「どこだ……差はどこにある……!」


 一体は“アーヴィンが手術した個体”。


 一体は――“魔法で去勢された個体”。


 二体は外見から違った。手術された個体は見た目の変化は無い筋肉の塊だ。だが、魔法で去勢された個体は筋肉は衰え肥満と言える状態になっていた。


「……魔力の流れ?」


 アーヴィンの指が止まる。


「あった……これだ!!」


 狂気じみた笑み。


「なるほど……そういうことか……!」


 彼の手にあるのは――


 空になった魔石。


「魔物の“魔石”は……繁殖器官と連動している……!」


「魔法で去勢されたオークには臓器が一つ消えている!この臓器は魔石と繋がっている臓器だ!」


「だからか!魔力を作れず、魔石の残りの魔力を使いきってしまい強化状態が維持できなくなって筋肉が衰えたのか!」


「あぁ、ゴブリンやオークの繁殖の疑問がとけて来たぞ!」

 

 呼吸が荒くなる。


「去勢魔法とは……単なる去勢じゃない……」


「――“繁殖に関わる全ての臓器の消滅”だ!」


 


 


□ □ □


 


『レオン君!!よく聞いて下さい!!』



 風に乗った声が、戦場へ届く。


 

『対象の“睾丸”ではなく――“繁殖器官そのもの”を意識してください!!』


「余計なことを!!」


 ドラゴンが咆哮する。


 ブレスが放たれる。


 ――ゴォォォォォン!!


 城壁が、崩壊する。


「ミリア!!アリス!!」


 レオンの叫び。


 だが――視線を戻す。


 目の前には、“死”。


(……違う)


 レオンは、息を吸う。


(今までの俺は……認識が狭かった)


「クソドラゴンが……」


 震えていた手が、止まる。



(睾丸じゃない――)


 


(“繁殖器官”……)


 


(“命を繋ぐ機能”そのもの……!!)


 


 魔力が集まる。


 これまでとは、明らかに違う感覚。



「ドラゴンの――」


 


 低く。


 


「繁殖器官を――」


 


 強く。


 


「潰す!!」


 


 


 一度。


 


「潰す!!」


 


 二度。


 


「潰す!!!」


 


 三度。


 


 


 確信が走る。


 


 


「――イケる」


 


 


 レオンの目が、完全に覚醒する。


 


 


「発動――」


 

 魔力が弾ける。




 【ヘラの呪い】……『対象を去勢する…対象:守護対象外の生殖機能に関わる臓器』


 


「くたばれ!!クソドラゴン!!!!」


 


 



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