スーパーアイドルお姉様!
定期のトロちゃんの餌集めに行こうと、レオンたちはギルドに立ち寄った。
いつも通り――
ギルドの中は、むさ苦しいおっさん達の匂いで満ちている。
……はずだった。
「ん?」
レオンが鼻をひくつかせる。
何か、香水の香りがする。
ギルドには似つかわしくない、甘い香りだ。
「来たわね!」
突然、声が響いた。
受付の上――二階からだ。
「待ってたわよ!去勢のレオン!」
現れたのは――
金髪ツインテール。
ピンクと白のフリフリ膝丈ドレス。
赤いハイヒール。
そして。
割れた顎。
「……え?」
さらによく見る。
身長、二メートル超え。
「えぇ??」
どう見ても――
おっさんだった。
「うわー!変態だー!衛兵ー!」
レオンが叫ぶ。
「失礼ね、子猫ちゃん♡」
ゾワッ。
全身に鳥肌が立った。
「私の名前はオネイ・ロスよ」
「オネイ様かオネイさんって呼んでね♡」
レオンに抱きつきながら自己紹介してくる。
「……マジで誰?」
「離れてください!」
アリスが慌てて引き剥がそうとする。
その時。
「ホッホ、待ちなさいお嬢さん」
低い声が響いた。
アリスの前に立ちはだかったのは――
巨大な老人。
しかし。
着ているのは、女性用の赤いバッスルドレス。
普通なら動きづらいはずなのに、まったく問題なさそうだ。
「うっわ……何この人たち」
ミリアがドン引きする。
カツッ、カツッ。
ヒールの音が響く。
すると――
次々と、女装したおっさん達が現れた。
そして。
なぜか全員、踊りながら自己紹介を始めた。
さっきの優しそうな老人が、突然巨大なハンマーを振り回す。
「咲かせた薔薇は数知れず――」
ニヤリと笑う。
「見せてあげる、私の薔薇」
「副リーダー!」
「マダム・ローズ・ハンマ!」
「マダムって呼んでね!」
ビシッとポーズを決める。
次に出てきたのはメイド服の男。
花の装飾がされた大盾を振り回す。
「掃除の時間です」
「マリーゴールド・シールド!」
シャキーン!と効果音が聞こえた気がした。
白のロングドレスの男が槍を振り回す。
「突く!突く!」
「貴方の槍で」
「突かれた~い♡」
「リリィ・スピアよ!」
ティアードロングドレスの大男が巨大な戦斧を振り回す。
ブンッ!ブンッ!
「ヒールの高さはプライドの高さ!」
「アイリス・アックス!」
今度は二人同時だった。
異国の服装だ。
片方は黒い牡丹柄の着物。
もう片方は派手な花柄――どう見ても遊女風の衣装。
しかも胸元が大胆に開いていて、胸筋がすごい。
「……射る」
「ピオニー・ボウ」
踊りながら、片方が弓を放つ。
もう片方が剣でそれを弾く。
「わっちが来んしたえ」
「サクラ・カタナ」
シュタッ!
二人同時にポーズを決めた。
そして。
突然、ギルドの中が暗くなる。
スポットライトのように、光が一か所に集まる。
そこには――
オネイ・ロス。
くるくると回りながら、中央へ。
ポーズを決めているメンバーの中心に立つ。
「綺麗は我慢から」
「リーダー、オネイ・ロスよん♡」
両手を広げる。
そして全員で叫んだ。
「冒険者パーティー!!」
「「「「「「「戦場の花園!!」」」」」」」
……
……
……
ギルドの中にいた全員が固まった。
完全に沈黙である。
ギルド中が静まり返る。
誰一人として拍手しない。
レオン「……はぁぁ?」




