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ある滑稽で臆病な鶏の話  作者: ナッツ
23/28

第2章12部 マルチタスク

今後にも言えることですが、クラスメートに関しては、ちょくちょく登場します。

第1章7部 “新”友 内のクラス名簿を参考に

読み進めることをおすすめします。

第2章12部 マルチタスク


ゴオーッ…!


「最後に記念写真を撮ります。クラス関係なしで良いので並んでください」

がやがや…

「城谷くん、ぼっちしてた?」

そう言って俊明がこちらに向かってきた。

「どうだろうねー」

つい、濁してしまったが、濁す必要がないほど今の俺はいい気分だ。

「まぁ、メンバー的にぼっちだな」

「なんだよそれ。こっ……相川とか話してくれたぞ」

今日、元々仲がいい友人と話すのが初めてだった事にやっと気づいた程、小林さんと話すのが楽しかった。

考えてみれば女子と会話すること自体久しぶりだった。

「撮りまーす」

パシャッ!

「もっとみんなこっち見てください」

「もう一度撮りまーす」

パシャッ!


「珍しいね、写真嫌いの城谷くんにしては」

「なんで?」

「なんでって…めっちゃいい笑顔だからさ!」

「あっ…」

「写真だからいいと思うけどね。

それよりさ、あの3人一緒じゃないんだね」

「えっ…あの3人って?」

「上野さんと小林さんと村上さん」

俺が彼女らのいる方を向くと、上野さんと村上さんが一緒にいて、小林さんだけ少し離れた所でカメラに向かってピースしていた。

「どうしたんだろうね…」

「まあ、きっと大丈夫だよ……」

パシャッ!

「あっ…」「あっ」

俺達の横顔は、記念写真として残ってしまうだろう。


ざわざわ…


バスの中は声が籠っていつもよりうるさい。

窓の外は薄暗く、並木道には街灯がぼんやりと光っている。

「相川くん!この後の係別会議さー…」

「神野さんは何係だっけ?…あっ、食事か。あれめんどくさいよね…」

なんだこいつら。付き合ってるのか…?

小林さんは行きと変わらず俺の前の席に座っているが、特に何も喋らない。

よし、話しかけて見よう。

「あっ、あの。小林さん…」

「……」

ビビってしまって大きな声が出なかった。

さすがに聞こえなかったんだと思うが、聞こえたのに無視をしているとしたらこれ以上話しかけない方がいいのかもしれない。

そんなことを考えていて、すぐに声をかけることができなかった。


……。


やっぱり話しかけよう。

「あのー、こっ……。」

何故か声がこれ以上出ない。

自分の臆病者さに苛立ち、腹が煮えくり返ったが、それでも話しかける勇気は湧いてこない。


チラッ…


相川は疲れからか、眠っていた。右前の席では神野さんも寝ている。もしかしたら、小林さんも寝ているのかもしれない。

もう諦めて俺も寝てしまうか…


ぎしっ…


「……!」

間違いない、前の席からだ。

きっと小林さんは起きている。

やっぱり今声をかけよう。

「んっ…んっ……」

喉の調子を整えて…

「小林さん。」

ぎしっ

「うん?」

「あっ…あのさ。さっきの話なんだけど」

「あー、ケンカしちやったって話?」

「うん。誰とケンカしちゃったのかなーって…」

「ケンカ…って程でもないけどね。言い争いみたいな」

「あ、言ってたね。誰と言い争っちゃったの?」

「それがさ、村………」

「もうすぐ宿に着きます。荷物をまとめて降りる準備を…」

「あっ、もうすぐ着くね。また今度に…」

「村って、村上さん?」

俺がそう言うと、少し苦い顔をして小林さんは頷いた。

そうして、眠っている神野さんを揺さぶった。

「…相川も起きろー。」


おー!

それぞれの部屋に着いた。

男子8人共同部屋になっていて、二段ベットが4つ置いてあるだけ。

だが、それがワクワクする。


美味い夕食を食べ、賑やかな入浴を済ませ、

俺達は薄手の布団の中に入った。

午後9時30分。

午後10時消灯なので、もうすぐ電気が消される。

正直10時なんていつも家で本を読んだり、テレビを見ている時間なので、全く眠くない。

「おい、お前ら。わかってるよな」

「あぁ。もちろんよ…」

ヘッヘッへッ…


小学生とは思えない悪意に満ちた笑いを上げるルームメイトを背に、俺は寝ようと努力した。

俺は努力した。



「えっ、じゃあさ、小月が好きなのは1組の宮野なの?」

「がっつくな…城谷。実はそうなんだよな……!」

ヘッヘッヘッ…

「ちなみに、お前はどうなんだ?江口。」

「僕はね…伊藤さん!」

「伊藤さんは天上人だろ?俺らなんかにはな…」

「まぁそう言うなって。」

ヘッヘッヘッ…

「俺も伊藤さん好きなんだよ…」

「小宮もかよ。なんかみんな伊藤さん好きだな。

さすがうちの学年のマドンナだな…!」

ヘッヘッヘッ…!


ガラッッ!


「今何時だと思ってますか…?」

ガチ怒りした山田先生が部屋に入ってきた。


………


「11時14分!」

ブチッ…

「…よせっ、バカ!」


体育会系の山田の堪忍袋の緒が切れる音が頭の中に響いた。

隣の部屋の奴らが起きるくらい大きな声で叱られたが、

これもまた1つのいい思い出になるだろう。


ガラガラ…スタッ……



ふーっ、と一息。

「とんだジャマが入ったな」

「ほんと。相川いい加減にしろよ」

「だって時間聞かれたから答えてやっただけだし。」

「お前ってやつは…」


「伊藤さんいいよな…」

「ところで、城谷は誰が好きなんだ?」


「それがさー、つまんないけど俺も伊藤さんなんだよね」


は?


そんな雰囲気が部屋中に広がり、しばらくしてお調子者が口を開いた。

「いや、意外にアリかも。」

「予想外のペアリング的な?」

「ね…!意外とあるかもな」

「えっ……」

「しかもさ、城谷同じ電車班だったよな?」

「おー、面識はバッチリだな」

「いや、そんな話してないし…」

「そんなの関係ないよ、しかも明日伊藤さんはお前と行動班一緒だろ?」

「え、お前そんなのどこで聞いたんだよ」

「僕は伊藤さんのことはよく知ってるからね」

「うわっ、キモいな」

「キモいってなんだよ…、まぁ、城谷。お前チャンスだろ。」


「明日、中禅寺湖で告ってこいよ」


「いや、それはさすがに…」

「いいだろ?お前はチャンスなんだから」

「いいよ、別に告ったりは……」

「は?」

「……やれそうだったらな」

「よし、明日の夜また報告な」

ヘッヘッヘッ…

「おい、もう明日じゃなくて今日だぞ」

「そんなんどうでもいいよ。

城谷、しっかりやれよ」

「やれそうだったらだからな。」


俺が好きなのは小林さんなので、そんなことしない。


それより、明日の班は随分めんどくさい。

俺、小林さん、伊藤さん、村上さん、小月の5人班だ。

メンバー的には素晴らしい。

だが、もし小林さんと村上さんの(いさか)いが本当なら、

かなりめんどくさいメンバーに早変わりするだろう。

ましてや伊藤さんと小月がいるせいで告白の件も

気を遣わなければならず、やることばかりだ。

あぁ、俺の2日目が…


そうして、俺の小林さん接近大作戦1日目は終わった。

3月13日、ついに「ある滑稽で臆病な鶏の話」が

500PVを達成しました。本当にありがとうございます。

新長編「この物語はフィクションですか?」の連載を決定致しました。

新長編も、週一ペースで上げていきます。

この度は本当にありがとうございました。

今後とも、よろしくお願いします。

────ナッツ

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