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ピクニック

最近、サブタイトル決めるのに苦戦しています

 幸せとは、今の状況のことを言うのではないのだろうか。

「ふぅ、たくさん食べた……」

 そう発したのは凛花。その腹は少し膨れている。要するに食べすぎだ。

「お前食いすぎだろ……太るぞ」

 一応忠告するのだが、俺も食べすぎたので人のことは言えない。

「悠眞説得力ないよ」

 ま、そうなるわな。一緒にめちゃくちゃ食べてた奴には言われたくないか。

 俺らだけではなく、大悟も、美咲希も、マルも、それに葉月もその場から動けないほど食べていた。

 誰1人動けないので、俺はカーペットが敷いてある床で、美咲希とマルは俺の隣で、葉月はソファーで寝っ転がっている。大悟と凛花は椅子に座ってぐったりしている。

「やべ、このまま寝そう」

 そう口にすると、睡魔は更に襲ってきて、まだ風呂にも入っていないのに意識を手放しそうになる。

「そうね……一層の事寝たほうがいいんじゃない?」

 美咲希さん、それはまずいっすよ。

 だが、俺に反論をする体力はなく。

「それもありだな。じゃ俺風呂入ってくる」

 肯定しながらも、このままの状態でいると普通に寝てしまうので、何とか体を起こしふらついた足取りで風呂場へ向かう。

「くっそだるい。さっさと風呂はいって寝よう」

 特別疲れるようなことはしていないが、みんなとはしゃいでいるうちに体力は削られていたのだろう。いわゆる精神的に疲れたというやつだ。

 そうして、俺は風呂へ入った。


「次、入る人どぞ」

 湯船に浸かったことにより、更に眠気を増した俺は、最後の力を振り絞って言った。

「じゃ、私が入るわ」

 てっきり葉月が次に入ると思っていたので、美咲希が答えたことに少々驚いた。

 なんでお前が? と聞きたかったが、だるすぎて言葉も発せない。

 そんな俺の様子を読み取ったのか、美咲希は

「さっき親に今日泊まるってメッセージ送ったら承認してくれたわ。葉月ちゃんもOKしてくれたし」

 準備良すぎるだろ。てか、美咲希の親は放任すぎないか?

 そんな疑問を投げつける前に、美咲希はリビングを出ていった。


 それからの記憶はなく、目を覚ましたら見慣れた天井があった。

 いや、見慣れてはいないか。だってリビングの天井だし。

 静かに鳴り続けるエアコン。小窓から差し込む光。時折流れ込んでくる冷たい風。

 徐々に覚醒していく脳と同時に、なぜここで寝ているのだろうと言う疑問が湧いてくる。

 そんな時、俺の左側で何かが動く気配がした。

 なんだと思い、掛かっていた毛布を持ち上げ、中の様子を確認する。

 ……そこにいたのは寝ぼけたマルで、金髪がくしゃくしゃになっている。そんな姿も可愛いのだが。

 問題はそこではなく、俺の腕を抱いているということにある。

 そんなことをされると理性を保つのが難しくなる。なので、俺はひたすら無になる。

 だが、俺の耐久レースは秒で終わった。右隣にも人がいることに気づけなかったのだ。

 そう言えば、毛布何だかでかかったな。

「全く……あなたはハーレムでも作り上げるつもりなの?」

 呆れた声でそう言う美咲希。そんな彼女に、俺は全力で否定する。

「そんなつもりは断じて無い」

「マルちゃんに抱きつかれて鼻の下伸ばしてる人に言われてもなんの説得力もないわよ」

「伸ばしてねっての!」

「……そう。ならいいんだけど。その代わり、少しじっとしててくれる?」

 じっとしているだけでいいのなら、別にいいかと思った俺は、要求通りにしていた。

 結果的に、両腕を抱きしめられたのは言うまでもない。


「なんちゅー朝だよ……」

 ソファーで寝ていた葉月が起きたことで、連鎖的にマルが起きた。

 マルはすぐに俺のことを解放してくれたのだが、美咲希はなかなか離してくれず、時間がかかった。

「うぅ……ごめんなさい」

 申し訳なく思っているマルは素直に謝ってくる。気にしてないし、許さない理由もないからもちろん許すのだが。

「いいよ。気にしてないし」

 怒っていないことを証明するため、柔らかな笑顔で言う。

 その様子を見てか、マルはほっと浅いため息をついて胸をなで下ろしていた。

 怒っているとでも思っていたのだろうか?

 まぁ、美咲希には少し反省してほしいのだが。

 あれから、全く反省している様子が見られない。

 しかし、そこが美咲希らしいと言うか、なんというか。怒るにも怒れない。

「それにしても、天気いいわね。外に出たい気分だわ」

 話をそらすように、美咲希がそういう。

 確かに、差し込む日光は暖かく、外に出たくなる気持ちもわかる。

「じゃあピクニックしましょう!」

 テンションが上がっている葉月が、提案をしてくる。

 断る理由がないので、みんな首を縦に振る。それを見た葉月は、嬉しそうにしてリビングへ向かっていった。

 そうして、俺達のピクニックは始まった。


 場所は公園。枯れた木の下でレジャーシートを広げ、弁当箱を中心に置いて、俺らはその周りを囲んで座っている。

 てっきり、大悟達も誘うのかと思ったのだが、葉月曰く「今日は少人数がいいから大悟さん達には申し訳ないけど誘わない」との事だ。

 まぁ、落ち着いて物事が進行するし、大悟達なら許してくれるだろう。

「少し寂しいな」

 冬場の昼時なので、子ども達の姿はない。それに、枯れた木がより一層寂しさを醸し出している。

「たまには、こういうのもいいんじゃない?」

 美咲希の言う通りかもな。

 たまにはこうして、落ち着いて過ごすのもいいかもしれない。

「ピクニックなんて初めてです!」

 ここに騒がしいやつもいるしな。マルと凛花は何となく似ているし、揃うと面白い。

 見ていて飽きないと言うか、保護欲が掻き立てられると言うか。

 たった3日で、マルも俺の日常に干渉してきた訳で。自分がどれほどマルのことが好きなのか痛感する。

「じゃ、そろそろ食べましょう。皆さん朝から何も食べてないですよね?」

 確かに、起きてから何も食べていない。

 一刻も早く食べたいぐらいだ。

「食べようぜ。何作ってきたんだ?」

 俺の問に、葉月は弁当箱を開けながら答える。

「春巻とか卵焼きとか酢豚とかいろいろ」

 ……もしかしたらこいつが一番腹減ってんじゃないのか? だって、弁当から目を離さずにそう言ったんだぜ?

 そこはどうでもいいとして、今は飯だ飯。

「いい匂いがします……」

「そうだな……余計に腹が減る」

「わざわざ口に出さないでくれるかしら? もう倒れそうなんだけど」

 軽い言い合いが始まる。

 美咲希は口調こそ悪いものの、言葉に棘はなく、純粋に今この時を楽しんでいるようだった。

 それを見て、俺も言い返す。

 もちろん、相手が怒らない程度で。

「そんな食べると太りますよ美咲希さん」

 俺の挑発は、なんの効果もなく、

「あらあら、人のこと言えないんじゃない?」

 言い返された。

 そんな俺らを見て、葉月は静かに告げる。

「準備できましたよ」

 そして、俺らは弁当を美味しく、味わいながらいただいた。

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