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マルティナ・アルドベリ

特に何も起こりませんね、はい。

 12/29日。親父から謎のメッセージを受信した3日後。

 俺と葉月はリビングで待っていた。

「おにい、いつ来るかな?」

「わからん。何歳だろうな」

「お父さんなんにも言ってないよね。語尾に♡付けただけで」

 あのメッセージを受信した後、俺は

『キモいメッセージ送ってくんな。で、何でまた急に?』

 と、親父に疑問をぶつけていた。

『昔イタリアに旅行した時に知り合ったやつがな?日本に来るって言ってるんだが、娘の方はインドア趣味だから家で預かるぞ?って言ったわけよ』

 なるほど、わからん。

『で、俺らに面倒見ろと?』

『そゆこと。ああ、言葉は日本語で平気だぞ。娘は日本語ペラペラらしいからな』

 それから、会話が続くことはなく、俺と葉月は頭を抱えていた。

「あの親父……急に決めやがって……」

 無論、俺らに拒否権はなく、娘さんがどんな人なのかを想像しているところだ。

 それに、いつ来るかわからないので、余計に緊張する。

「遅いね。まだかな?」

「そうだな。そろそろ来て欲しいな」

 俺ら兄妹はせっかちだ。楽しみなことや、気になることは我慢出来ず、そわそわする。

 そうして、待っていると、なんの前触れもなくインターホンが鳴った。

「……来た。行くぞ」

「うん。行こう」

 初対面の人と会うのはなかなか緊張するものだ。

 高鳴る鼓動を抑えながら、鍵を開け、ドアノブを回す。

「どうも!川崎さんの家でよろしいですか?」

 鮮やかな金色の髪をしていて、目は碧色。いわゆる金髪碧眼というやつだ。

 ショートボブで、顔立ちも幼い。

 身長は140cm前後で、なかなか可愛い。

「ぐ……は……」

 幼女の破壊力に、立ちくらみがする。

「そうだよ。ここが私達川崎の家だよ」

 そんな俺の代わりに、葉月が答える。

「良かったです!あ、マルはマルティナ・アルドベリです。初めまして」

 幼い声で、聞いていて抱きしめたくなる。

「歳はいくつかな?」

 辛うじて正気を取り戻した俺は、そう質問した。

「この前10歳になりました!」

 元気よく俺の質問に答えるマルティナ。

「立ち話もなんだし、中で話そ?マルティナちゃん、上がって」

 葉月が優しくそう言う。

「あ、マルはマルでいいですよ〜」

「じゃあよろしくね、マルちゃん」

「はいっ!」

 葉月が名前を呼んだら、満面の笑みで答えていた。

 それを見た俺は、再び立ちくらみがした。


 リビングに移動した俺らは、マルティナにお茶を出していた。

 俺はと言えば、ソファーに座って、親父と連絡を取っている。

『マルティナはそっちに着いたか?』

『ああ、着いたよ』

『そりゃ良かった。じゃあ5日間よろしく頼むわ。俺らがいないからって犯罪すんなよ?』

 俺をなんだと思っているんだよこの親父。

 確かに、俺はロリコンだけどさ。

 でも、真のロリコンはロリには手を出さないものだ。愛でるのだ、全力で。

 ソファーでそんなことを考えてる俺の目の前に、突然マルティナが現れた。

「悠眞、さん。街案内してもらえませんか……」

 上目遣いで、モジモジしながらそう言うマルティナ。

 断る理由なんてない。

「もちろん。少し待っててくれないか?」

 だが、俺だとコミュ力に不安を感じるので、小鳥遊を呼ぶことにした。体格とか近いし。

 なので、俺は電話をかけることにした。

「……もしもし?小鳥遊か?」

『うんそうだよ。何か用?』

「暇か?」

『めっちゃ暇』

「ちょっと俺ん家に来てくれないか?」

『おっけー。5分後にそっちに着くね』

 ……え?無防備すぎないか?まさか承諾されるとは思いもしなかった。

 まぁいいや。とりあえず準備しよう。


 準備をすませた俺は、小鳥遊が来るまでの間、時間を稼ぐことにした。

 でも、その必要はなかったようで、そう思った瞬間にインターホンが鳴った。

「マルティナ、行くよ」

 鳴らしたのは小鳥遊なので、マルティナを呼ぶ。

 怖がらせてはいけないので、なるべく優しくだ。

 すると、準備は出来ていたのか、マルティナがリビングからひょいっと出てきて、ぱたぱたと駆け寄ってくる。犬みたいな少女だ。

「あの……悠眞さん」

「ん?どうした?」

「マルって呼んでください……」

「ああ、ごめん。じゃあ行こうか、マル」

 しかし、マルは俺を怖がっている節がある。

 恐らくそれは気のせいではないと思う。

 全く身に覚えがないので、とりあえず保留だ。

 ドアを開いて外へ出ると、寒気が全身の熱を剥ぎ取っていく。

 でも、冬にしては暖かい方で、散歩するなら今日が最適だろう。

「よ!来たぞ悠眞」

 小鳥遊が目の前にいた。何にも知らせていないので、俺の隣にいるマルを見て、首を傾げている。

「悪いな小鳥遊。いきなり呼び出したりしちゃって。この女の子はマルティナ・アルドベリ。親父の知り合いの娘だ」

 俺は小鳥遊にマルの事を軽く紹介した。

「初めまして。マルです!マルって呼んでください!」

 礼儀正しくも、元気なマルを見て、俺は微笑ましい気持ちになった。今どきの若者って礼儀正しいな。

「お、元気がいいね!あたしは小鳥遊凛花だよ!凛花って呼んでね!それと、悠眞も凛花って呼んでね」

 マルには柔和な笑顔を浮かべていた小鳥遊……もとい凛花は、俺に対しては鬼のような顔で睨んでくる。

「わかったよ、たか……り、凛花」

 改めて名前で呼ぶと恥ずかしいものだな。

「じゃあ、自己紹介も終わったことだし、散歩しようか」

 そんな気を紛らわすために、俺は本題を切り出した。

「「おー!」」

 幼女達の……いや、1人は高校生だったな。

 そんな2人の元気な声を聞いて、俺は歩き出す。

 急に呼び出して散歩に行くぞって言っても文句の一つも言わない凛花に感謝して後で温かい飲み物を奢ってやろう。


 歩き始めて数分、俺らは近所の公園に来ていた。

「マル、ここが公園だよ」

 凛花は公園を見ると一目散に走っていき、取り残された俺とマルは園内に入り、遊具を眺めていた。

「意外と広いですね」

 俺ん家の近所にある公園の中では1番大きく、休日は多くの子どもたちで賑わっている。

 しかし、今日はいつもより静かだ。

「えっと、悠眞さん。なんか向こうからこっちに向かってるんですけど……」

「え?」

 そう言われたので、前方を確認するとものすごい勢いで何かがこっちに向かっている。

「あー、あれは――」

 俺が正体を暴くより先に、それ・・が俺らの前で静止した。

「はぁー、スッキリしたぁ」

 そう、凛花だ。

「凛花さんすごい!速い!」

「えへへー。でもね?そこにいる悠眞の方が速いよ」

 おお、なんか凛花が頼れるお姉さんみたいに見えるぞ。

「悠眞さんすごい……」

 凛花が俺の事を過大評価してくるもんだからマルに尊敬の眼差し向けられたじゃねーか。

 まぁ、こんなに可愛い娘にそんな眼差しを向けられたら普通に嬉しいけど。

「じゃ、次行こっか」

 そう言って、俺らはまた歩き出す。

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