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クリパ⑩

投稿遅れました……暖かい目で見ていってください。

 大悟達と別れた後、美咲希と葉月は川崎家のリビングのソファーでくつろいでいた。

「美咲希さんって怒ると怖いですね」

 苦笑いを浮かべてそう言う葉月。

 それに対して、美咲希は

「私も怒ったのはあれが初めてよ」

 と同じように苦笑いを浮かべている。

「ほんと、びっくりしましたよ」

 先程の光景を思い出したのか、少し恐怖に怯えてるように見える。

 その様子を見てか、美咲希の視線がテレビから葉月へ移り、抱き寄せた。

「ごめんね……」

 その声は優しくて、葉月の恐怖心を取り除くには十分だった。

「美咲希さん……」

 抱き寄せられている葉月は、とても嬉しそうで、頬が緩んでいた。

「許します。でも、その代わり1つお願いしていいですか?」

「お願い?私に出来ることならいいわよ」

 2人の声色は優しくて、落ち着いた空気が流れている。

「膝枕してくれませんか?」

 美咲希は不意をつかれたのか、一瞬、目を見開いていたが、すぐに理解して

「いいわよ。私でよければいつでもしてあげるわ」

 と、言った。

「えへへ……失礼します」

 はにかみながら、葉月は美咲希の膝へ倒れ込む。

 それを、美咲希は優しく受け止める。

「なんか、恥ずかしいですね。でも、心地いいです」

「そうね、女子同士でやるといけない雰囲気出るわね」

 そう言って、2人ははにかんでいる。

 その数秒後、葉月はすぅすぅと寝息を立てて眠った。



 高木と高嶺、こいつらといると時間が短く感じる。

 楽しいからか、それとも時間に過ぎ去って欲しくないと無意識に思っているか、あるいはどちらもか。理由はわからない。ただ、あっという間に4時間ほど経過していたのだ。

 中学時代の思い出。またどこか遊びに行こうと言う約束。どこにでもありそうな会話。

 それでも、俺にとっては掛け替えのないもので。そんな時間が過ぎていると知ると悲しくなって。

 昔はあれほど近かった存在なのに今は滅多に会えなくて。

 だから、成長したなと思う。

 それぞれ違う道を歩んで、夢を見つけて、それに向かって真っ直ぐに。

 時に挫折したり寄り道したりするかもしれない。でもきっと、ここに集まってる人はそれを乗り越えて自分の夢を掴むだろう。

 何年後になるかわからない。だけど、夢を掴んだらまたこうやって集まり、今と同じように昔話をしているだろう。

 俺の夢は――夢を掴んだこいつらの話を聞いてやること。そして、俺のもう一つ(・・・・)の夢を語ること。

「じゃあ……そろそろ解散するか」

 大体、遊びに誘うのは俺で、解散を告げるのも俺だ。

 もう陽は西に傾いていて、風がより一層冷たくなった。

「そうだな。寒くなってきたし、帰るか」

 高木が便乗してそう言う。

 そして、俺らは解散した。

 楽しい時間は過ぎ去り、残るのは静寂のみ。

 その感覚に、俺は少し悲しくなる。

 それを紛らわすために、俺は自転車を進める。


 家に着いた俺は、自転車を止め、玄関の鍵を開けた。

 時間はよく確認していないが、18:30頃だろう。

 辺りはもう真っ暗で、街灯も付いている。

 玄関を開け、家の中に踏み出すと、俺は

「ただいまー」

 と、でかくもなく、小さくもない声で言った。

「おかえりー」

 返事は、ほとんど返ってくるので、構わずにリビングへ向かう。

「意外と早かったじゃない。もっとかかると思っていたわ」

 艶やかな黒髪。透き通るような声。

「美咲希!?てっきりもう帰ったのかと思ってた」

 そう、美咲希がいた。

「靴で気づかなかった?」

 あー、そう言えば靴がなんか多かったような気もしなくはなかった。

 ……正直覚えてない。

 大悟と小鳥遊は既に帰っている様で、この部屋には葉月と美咲希、それに俺がいる。

 俺は先ほどのことを思い出し、

「ごめん」

 と謝っていた。

「高木君と高嶺君でしょ?大悟から聞いたわ」

 持つべきものはいい友人だな、と俺は心から思う。

 後で大悟にはお礼の言葉を送ってやろう。

「そっか。ありがとな」

 でも、まずは目の前にいる彼女に感謝しないとな。俺のことを許してくれたんだから。

「べ、別にお礼を言われることなんてしてないわよ」

 そう言って、照れている。

「俺が言いたいだけ」

「何よそれ……意味不明」

 それから、一呼吸置いて、

「謝るのは私の方よ。急に怒ったりして」

 深々と頭を下げる美咲希。

「許さないわけないだろ。お互い様ってことにしようぜ」

 このままだと収拾がつかなくなると感じた俺は、そう提案する。

 そんな俺の意図を読み取ったのか、美咲希はうん、と頷く。

 それから、俺らはリビングで思いっ切りくつろいだ。


「おにい。もう美咲希さん怒らせちゃダメだよ?」

 あれからしばらくして、美咲希が帰った。

 俺と葉月は見送りして、暖房をつけたリビングで録画していたアニメを見ていた。

「なんで?」

 半ば考えることを放棄している俺は、反射的にそう答えていた。

「めっちゃ怖いじゃん。おにいあの時泣きそうな顔してたよ?」

 その言葉に、流石に俺は反応し、

「いやいや。泣きそうな顔なんてしてないんだが」

 と、反論していた。

「泣きそうな顔してなかったけど、声震えてたよ?緊張してたし。ほんとは怖かったんでしょ?」

「……バレてたか。流石だな妹よ」

 葉月の言ってることはほとんど事実だ。

 伊達に15年間兄妹をやってる訳じゃないな。

「ほんと、気をつけてよね?」

 何度も念を押してくる葉月。

 心配してくれるのは有難いが、流石に少ししつこい。

「わかってるよ。すっげー怖いもんな。母さんの次に怖いかもしれない」

 普段優しい人が怒ると怖いよな。母さんと美咲希もその部類に入る。今度から気をつけないとな。

 やがて、アニメを見終わった俺達は、少しまどろんで来たので、風呂に入って寝ることにした。


 俺は、突然の尿意によって目覚めた。

 目を開けると、視界がぼやけていた。

 そんな寝ぼけてる状態で、俺は真剣に、

(やべぇ。漏れる)

 と考えていた。

 ただ、今は布団に潜っているが、外は寒い。

 なので、布団から出るのが至難の業になる。

 陽は上っているので、早朝ではない。それでも、12月の下旬による冷気が日光の暖かさを打ち消す。

 もう1度寝付くことが出来たら幸せだろうなと思ったが、尿意がそれを許さない。

 結構真面目に漏らそうだったので、急いで1階のトイレへ向かう。

 葉月は既に起きているようで、キッチンから皿を洗ってる音がする。

「おはよう……」

「あ、やっと起きた。寝すぎじゃない?」

 葉月にそう言われて、俺は時計を見る。

 時刻は10:30を表示していて、自分が結構寝ていたことに気づく。

「うわもうこの時間……冬休みの1日を無駄にした気がする」

 実際無駄にしているのだが。

 そして、俺は用を足して、ソファーに座ろうと――した瞬間に、携帯が鳴る。

「誰だよ俺にメッセージ送ってくるやつ」

 愚痴をこぼしながら、携帯を開くと、差出人が親父だと知る。

 まぁ、親父から送られてくるメッセージは下らないものがほとんどなので、適当に返事をすればいいかと思い、トークルームを開く。

 そこに書かれていたメッセージに俺は驚愕した。

『12/29~1/3まで、昔イタリアで知り合ったやつの娘が俺らの家に泊まることになったからよろしく♡』

「……は?」

感想、アドバイスなどお待ちしています。

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