一難去ってまた一難?
やっと夏休み終わりました…
ここからはゆっくりした生活を書いていこうかと思います。
大悟をふった私は、そのまま悠眞のもとへ向かう。
「なんかあったか?」
こんな時だけ鋭いなんて。
「特に何も無いわ」
「ふーん、そか」
目を細めて、見透かしたように見てくるが、やがてまぁいっかと言い、別の屋台へ行く。
悠眞はいちご飴、チョコバナナなど、甘いものを買っていた。
甘いものが好きなのか、果物が好きなのか。あるいは両方?
またひとつ、悠眞について知れた気がする。
それが嬉しくて。
「何笑ってんだよ。甘いのと果物が好きなんだよ悪いかよ」
「悪くないわ。ただ、なんか同じだなって思って」
私も甘いものと果物が好きだ。
「へぇ、美咲希もか。まぁ、わかってたけどな」
そう言って私達は花火大会まで適当に時間を潰した。
最初に異変に気づいたのは葉月だ。
「2人とも、何かありましたか?」
そう、なんか大悟と凛花の距離が一気に縮まったというかなんというか。
「い、いや別に?何もないよ?」
大悟の慌てようから、葉月は気づいた。
「隠さなくていいんですよー?正直に言ったらどうですか?」
にひひ、と笑いなが言う。
その言葉に、凛花が
「えへへ、わかっちゃう?実はね、あたしたち付き合ってるんだ!」
やっぱりか。知り合い2組がリア充だとは。
そのうちの1組はおにい…なんか劣等感。
「へぇ、これで皆さんリア充ですね!私も頑張らないと……」
16年間非リアだったおにいに比べ、私は中学上がってすぐに付き合った。
それから今まで合計4人と付き合った。
一番長く続いたので1年。短くて3ヶ月だ。
昔はよくおにいにクソビッチだとか爆ぜろリア充だとか色々言われた。
だが実際まだ処女だからビッチではないんだよなー。
そんなやりとりをしているうちにそろそろ花火が打ち上がる時間になってきた。
『そろそろだよ。さっさと来て』
メッセージを飛ばして10秒後、既読がついた。
『はいはいわかったわかった』
腹立つメッセージが送られてから30秒後、おにい達はやってきた。
葉月からメッセージを送られた時には既に集合場所の近くにいた。
「久しぶりだなお前ら」
「何が久しぶりだな、だよ。さっき別れたばっかじゃん。あほじゃないの?」
「お前ネタ通じないの?なんなの?」
俺と葉月のいつも通りのやりとりを見ていたみんなが笑う。
この雰囲気は好きだ。いつまでもこの雰囲気が続くといいな。
そこで、俺は異変に気づく。
「ん?お?なんだなんだ。面白いことになってるな」
「なんだよお前。何に気づいたんだよ」
大悟がはやく教えろと急かす。
「んー?いやさー、お前らそういう関係なのか」
にやりと笑いながら言った俺の言葉に大悟は照れくさそうに
「ま、まぁ、うん。てかお前ら兄妹鋭すぎるだろ」
「それに、大悟は小鳥遊のことめちゃくちゃ好きらしいな。お前が美咲希に向けてた以上の好意だなこれ」
すると今度は小鳥遊がぽかんとして。
「え……?」
理解しがたいと言った顔を見せてくる。
「お前どうしてそんなことわかるんだよ……あ、そういえばそうか」
俺は昔から相手の雰囲気、威圧感などからオーラに近いものがなんとなく見えたりわかったりする。
ほんとになんとなくだが。
もう長い付き合いになる大悟が向ける好意に気づかない方が難しい。
「ま、そゆことだ。よく俺から隠し事ができると思ったな」
まぁ、このオーラ的なやつは俺が意図的に見ようとしても見れないからほんと、たまにうっすらなんとなく見える程度。おそらくだが、相手の強い気持ちがないと見れないのかもしれない。
と、まあこんな雑談をしているうちに花火は打ち上がった。大小様々な花火が打ち上がり、とても綺麗だった。
その場の雰囲気に少し流され、俺は美咲希と手を繋ぐ。そんな俺らの隣でも大悟と小鳥遊が手を繋いでる。
それを後ろで見ていた葉月がぐぬぬ、と悔しそうにして
「くそっ、おにいの気持ちが少しわかった気がするよ」
と言っていた。
次の日の朝、俺はいつもより早めに起きた。
時計を見たら8:00。今日何しようかと思い下に降りると、そこには、二人いた
制服を着た葉月と、もう1人、腰まで伸びてる黒い髪をポニーテールにしている美女。
誰だこの人?と一瞬わからなくなる。
「新学期初日から大した度胸ね。早く準備して学校行くわよ」
ああ、この人小野塚美咲希だわ。
「まて、まさか今日新学期?」
「ええ、そうよ?もしかして、忘れてたわね?」
やっべぇ!まじかよ!
遅刻ギリギリのところで俺はまず状況を確認する。
葉月の方を見ると、何か作っている。
「葉月、それ俺の分ある?」
「この優しい葉月ちゃんがおにいのために作っています」
朝ごはん確保。見た感じパンだな。あれならすぐに食べ終わる。
次に美咲希を見る。
「今日自転車か?」
「そうよ」
おっけー。
そして携帯を見る。
俺はiPhoneを使っている。
右上に100%という数字を見てから、LINEを開く。
『ごめん寝坊した。先行っててくれ』
大悟にそう送る。
それから俺は歯を磨き、急いで制服に着替え、親切な葉月が作ってくれた朝ごはんを5分で食べ終わる。
そして今は8:15。ギリギリ間に合いそうだ。
「美咲希、行くぞ」
夏休み始まってすぐに宿題はいつも使う鞄に入れてある。その鞄を持ち、急いで家を出る。
「葉月も遅れんなよ!」
そう言い残して俺は家を出る。
慌ただしい新学期の始まりだ。
思ったより早めに学校に着いた俺らは、ホームルーム開始10分前に教室に入った。
「新学期初日から死ぬかと思った……」
「あなた、余裕無さすぎでしょ。もう少し緊張感持ったら?」
「はい……以後気をつけます……」
そんな俺らのやりとりを聞いていたクラスのみんなから、好奇の視線を向けられた。
そして、二ヶ月ほど前一緒にプレーをした野球部の坊主が
「おい悠眞。お前小野塚さんとどういう関係なんだよ?」
その言葉をきっかけに、今いるクラスの男子全員に俺は一斉攻撃を受けた。
「えっと、まぁその、あれだ。うんあれ。恋人関係?」
その瞬間、なぜかやたらテンションの高い男子がうおおおおお!!と騒ぎ、それをきっかけにほかの男子も騒ぎ始める。
ちらっと美咲希の方を向くと、あっちも女子が集まってきゃーきゃーやっている。
「なんの騒ぎだこれ……」
そこへやってきた運の悪い大悟。まぁ、あいつの事はめんどくさいから放っておこう。
大悟は、小鳥遊と一緒に登校していた。
そして、標的を俺から大悟へと変えた男子達がまた騒ぐ。同じタイミングで、女子達も小鳥遊の方へ寄る。
そして数分後
「なんの騒ぎだ?ホームルーム始めるから席につけー」
新学期初日、かったるそうにして担任が告げる。
そして、絶対に退屈のしない新学期が幕を開けた。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。
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