↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
90/91

「ホワイトサーベルによるとそのアンクレットからは幸福の感情があふれでているそうだ」


「幸福の?」


キルギア王国、夏の昼下がり、王城の最上階の夫婦の寝室に造られたバルコニーでつかのまの平和を楽しんでいる二人がいた。


今日の午後はラインハルトが執務を引き受けてくれたので結婚以来初めて、夫婦水入らずで昼から休暇を楽しんでいる。


外はさわやかな風がそよいでおり、小さな鳥たちがさえずり飛んでいる。

ふかふかのソファをバルコニーに置き、シュミーズドレスを着たシェリアがゆったりと腰かけた膝の上には大分肋骨の完治も近いデュランダルが頭をのせていた。


「魔王であるドラゴンがシェリアを攻撃できなかったのはそのせいだと言っていた。魔王は負の感情が増大したものだから幸福の感情には近づけないそうだ」


「聖獣たちは大丈夫なんですか?」


「彼らは、負の感情を浄化させている。だから幸福の感情を理解はできないようだが、近づくことは可能だそうだ。ちなみにその浄化させたものこそが魔晶石らしい。負の感情があるからこそ人間は幸せに喜びを感じることができる。だから魔晶石はこんなにも美しい」


デュランダルが懐から黄色く輝く石を取り出した。


「まぁ」


希少な石、魔晶石。日によって色が違うという。


「ホワイトサーベルにもらった」


「そうだったんですね」


「キルギアの針葉樹林に長く住む彼ら聖獣は、昔からキルギア人と共存してきた。おそらく低級魔獣たちは知能を持たず、単純な負の感情でできている。人は低級魔獣を殺すことで負の感情を自ら浄化しているんだ。中級以上の魔獣たちは低級を人間があやめることについては否定しない。彼らは人間が自らが生み出した負の感情と戦い浄化することを見守っている。そして自らも負の感情を針葉樹林にためて石として浄化させてくれている。そういう生き物だったんだよ。彼らは」


「キルギア人は長い歴史の中で魔獣との関係性を守り続けていた。キルギアは他国の人々からの鬱積した負の感情を浄化する役割を持っているんですね」


「ああ」


「誇りを持つべきです」


「誇りか…」


「この話をキルギア人ひいては世界中に拡散すべきですわ」


「そうだな。では童話として拡散するか?」


「まぁそれはいい考えかも」


「だろう?俺も愛を知って少しずつ人の機微な感情を持てるようになってきたってことかな?」


「まぁ」


今はドレスに隠れて見えないが、肌身離さずつけているアンクレット。

オルベリアにいたころは首飾りとして加工していたものだ。


シェリアは少し腰をかがめるとアンクレットのホックをぱちりと外した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。