プロローグ
連載再開でございます!
毎日更新は色々ときついので、取り敢えず三日置きに定期更新します。
感想は何時でも、なんでも、一言からどうぞ♪ ……と言うか欲しい。
――それと、日常編なので暫く、のほのほしますが、シリアス系が好きな人はお許しを。
……物語り後半からシリアスもありますので。では。
――何故、こうなったのか?
それは一先ず置いておくとして、
『ゴメンっ! アイリスちゃん。俺、やっぱり、マリカちゃんが好きなんだ!』
『……で?』
『君とは結婚出来ない!』
『……』
十二月。アルザリア帝国東部にある大聖堂で、タレムは、花嫁姿のアイリスに土下座していた。
今、正に結婚式が始まろうとしている時にである。
この時ばかりはアイリスも目を丸くして数瞬、思考が止まり……。
直後、
――ビリビリッ!
アイリスは、着飾られたウエディングドレスのスカートを乱暴に破り捨て、真顔でタレムを睨み、
『ひぃぃっ!』
『そう……。ならとっとと失せなさい』
『あれ? 殴らないの? それはそれで……悲しいんだけど? 殴って良いよ? ほら、殴って、殴って。カモン。へいへいっ』
『……。利用価値の無いゴミにかまけている暇は無いわ。それに……アンタにもやるべき事があるのではなくて? げろ野郎。死んで欲しいわ』
思いの外、落ち着いた声でそういった。
『ありがとう。……ごめん。必ず、埋め合わせはするからさ』
『……』
言葉と共にタレムの姿は忽然と消える。
……それから、暫く無言でタレムが消えた虚空を眺めていたアイリスは、
『うふふっ。……バッカみたい』
色っぽく笑い、
『イグアァァァ――スッ! 来なさい! 早く! ぶち殺すわよ!』
『……』
参列していたイグアスを呼び付けた。
そんな声にイグアスが嫌そうに従って、アイリスの前に出る。
『なんだ? 俺もタレムに付いて行きたいんだが、な?』
『アンタなら、今の私の気持ち、わかるでしょ?』
『いや……わからん』
『ムラムラするのよ』
『……おう。そうか』
嫌な既視感を覚え、イグアスが顔を引き攣らせて一歩後ずさるが、アイリスは先を読みイグアスの胸元を掴んでグイッと引き寄せた。
『うふふ。ねぇ? イグアス』
……顔を寄せて甘く吐息を拭きかける。
『私たち……って、どんな関係だったかしら?』
『ただの赤のた――』
『幼なじみ。以外なら、……殺すから。私、アンタの事は特別にしてあげているのよ?』
因みに、普段、タレムに言っている半分本気の言葉ではなく、本気。
『幼なじみ……か、ま、お前が、それで良いなら間違いではないな』
『そう。……み、なら』
『……ん?』
『うふふ。たまったこの欲望、お馴染み。なら、受け止めて、くれるわよね?』
恐ろしいほど綺麗な顔で恍惚と、扇情的に微笑むアイリスは……
『と・り・あ・え・ず。一発で良くてよ。……少し、痛いかも知れないけれど、すぐに快くなるわ。因みに……断ったら敵認定だから』
『……またか』
『死ねぇえええええええええええええええ――っ!』
――ドォオオオスンッ!
『ごふっーー!!』
イグアスのみぞうちを、衝撃波が生まれる威力で殴り飛ばしたのであった。
『うふっ。うふふっ、ふぅ……っ。全然、物足りないけれど、まあ、アンタ程度じゃ、この私を満足させられる訳もないから勘弁してあげる』
『うぐ……ぐぅ……っ。それは……光栄だな……くそっ。やり過ぎ……っ。何処が……少し……ぐぅ』
そして、沈痛に地を這って呻くイグアスにゴミを見る目で、
『何しているの? 早くあの馬鹿を護りに行きなさい。タレムを殺していいのは、私だけなんだから』
『……くっ。お前、絶対、良い死に方しないからな』
『ふんっ。上等よ』
薄く笑って言うアイリスが、西の空へ視線を向ける姿は、何処か儚く美しい物があったが、イグアスは何も言わずに立ち上がり、そのままタレムの事を追いかけた。
そうして、女の子なら一度は憧れる結婚式で、花婿に逃げられたアイリスは、独り哀しく佇み続ける。
――さて、何故、こんな事になったのか、それは、約三ヶ月前から始まった。




