26話 ギャルゲーを買ってみた
ここはとある、ゲーム専門店。そこに、ギャルゲーを求める1人の男が現れた。その名も井上正一。そう、彼こそが1人の女しか射止めることができなかった、とんだ恋愛下手な男である。
「これください。」
俺は、ギャルゲコーナーにあった『パッとしない女とパッとしない男のドタバタ物語』というかなり長いギャルゲーを指差しながら、そう言った。店員はそれをひっくり返しバーコードを読み取る。次に、それは袋に入れられ俺に渡された。俺はそれを持って、外へ出る。
「まいどありー!」
という店員の声も聞こえてきた。
そして、自宅に着いた。俺は、すぐさま自分の部屋へとかけあがり、そこにあるモニターでゲームを始めた。
「チョートリアルを見ますか?」
いきなり、可愛い声が聞こえて、俺は興奮してしまう。俺は「はい」を選んだ。次に、ゲーム画面に現れたのは何度と思う?ねぇ、何だと思う?わからないよね?美少女じゃないよ?それは、何と!ただのイケメンだったのだ。
「なんか腹立つ!何か腹立つ!あっ、大事なことだから2回言いました。」
しかも、よりによってイケボで、
「まさか、美少女が出てくると思ったのかい?バカだなぁ!」
と、無駄にカッコイイ口調で言っている。
(あぁ、腹立つ!)
そんな思いで、俺はソイツのチュートリアル説明を聞き、それが終わってやっとゲーメは始まった。そのイケメンは、最後に
「君を花園へ誘ってやろう。」
と言っていた。
(くそっ!腹立つ!チュートリアル、見なきゃ良かった!)
俺は深く後悔した。
「先輩!このままじゃ、唇がついてしまいます!」
ゲームの途中、あのパッキーゲームをするシーンに入ると俺は興奮が押さえることができなかった。あっ、ちなみにパッキーとは細い棒状のお菓子のことだ。そして、3つの選択肢があった。それが、これだ。
「パッキーゲームの本質はそこだ」
「大丈夫だ、問題ない」
「そんなことを言ったら出来ねえよ」
俺は、この中でだとダンドツで1番下の結末が見たい。なので、「そんなことを言ったら出来ねえよ」を選んだ。すると、「そんなことを言ったら出来ねえよ」と言いながらも、パッキーを食べ進める主人公。
「だったら、止めてくださいよ...って、あっー!あっー!」
そして、ちゅっと行ってしまった。
「井上くん、何してるの?」
(ん?何か声が聞こえるな?誰だ?)
俺はそう思ったので、ゲームを中断し、声のした方をみる。すると、そこには鈴本さんがいた。
「す、鈴本さん!?なんか物凄い邪気が出てるんですが。」
彼女にそう言ってみたが、
「何してるの?」
としか返してくれない。俺は仕方なく
「ギャルゲですが。」
と言った。もちろん、怒られた。私という女がいながら何でギャルゲーをしているだとか、そんなに溜まってたなら私が解消するからやめろとか言われた。当たり前だけど。
「井上くん、私をここまで怒らせた愚かな男の子はあなたが初めてよ?」
(鈴本さまぁ!)
「さぁて、どうしてくれようかしら?」
(あのときと、立場が逆転してる...。)
「売ろうかしら?懲らしめようかしら?壊そうかしら?」
(あぁ、もう終わった。)
鈴本さんと俺はは心の中で言い合いをする。
そして、この後、ギャルゲー『パッとしない女とパッとしない男のドタバタ物語』はあのゲーム屋に返品され、返金された全額は鈴本さんの物となってしまった。俺はもちろん、深く落ち込み、深く反省した。




