後日談 プロポーズと、もふもふ聖獣
隣国の美しい王宮の庭園で、私は光り輝く日差しのもと、至福の時間を過ごしていた。
私のすぐ右隣には、この国の守護神と称される巨大な聖獣……白銀の毛並みを誇る『フェルリン』がでんっと横たわっている。
初対面の際、神聖な威圧感を撒き散らしていたフェルリンだったが、私が『威圧感、概念抹消』と一言呟いて無力化して以来、すっかり私を「お気に入りのお昼寝相手」と認めてくれたらしい。
「ふぁあ……フェルリンの毛並み、最高にフワフワですわ……」
私が白銀の毛に顔を埋めてうっとりしていると、フェルリンは「グルル……」と喉を鳴らし、大きな尻尾で私を優しく包み込んでくれた。
前の国での不眠不休なブラック政務が嘘のような、天国のような心地よさだ。
「……フェルリンだけに甘えるなんて、ズルいな」
不満げな声とともに、左側からぬくもりと良い香りが押し寄せてきた。
見上げれば、仕事を終えたユリウス様が私の左側にすべり込み、そのまま肩に頭をのせてきた。
「ユ、ユリウス様……っ!? 皇太子殿下が庭園で地べたに座り込むなんて……!」
右からは巨大な聖獣のもふもふとした最高の感触。
左からは美形すぎる皇太子の温かな体温と、鼓動の音。
(っ〜〜! 挟まれていて、身動きが取れませんわ……!)
「良いんだよ。聖獣に先を越されたんだ、僕も混ぜてほしいな」
甘えるように囁くユリウス様は、私の左手をそっと取り上げると、ポケットから取り出した小さな箱を開けた。
日の光を受けてキラリと輝くのは、大粒のダイヤモンドが施された指輪……それを私の薬指にすべり込ませた。
「エレナ。前の国での苦労は、僕が一生かけて甘やかして打ち消してあげる。……僕の生涯の妻として、ずっと僕の隣にいてくれませんか?」
「ユリウス様……」
「僕の愛と、このプロポーズだけは……何があっても『抹消』させないよ?」
「……もう、ずるいですわ。そんなの……抹消できるはずがありません」
私の返答に、ユリウス様が嬉しそうに私を強く抱きしめる。
フェルリンも負けじと対抗するように大きな尾を揺らし、私たちをまるごと包み込んでくれた。
望まぬ婚約してたから、言えませんでしたけど……
ずっと前から、貴方のことが好きでした♡




