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浅間家のVRMMO  作者: 黒鉄 鋼


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3/3

ゲーム開始

 スキル選択も終わり、ゲーム開始となったが何処かに転送されるとかは無く、ただ教会の中央で立ったままだ。

 特に何処かに行けだとかの指示も無いからどうしたものか…そう考えていた時、ギィ…と扉の開く音が教会内に響く。


「おや?もう既に新しい冒険者の方が来ていたとは」


 背後にあった大きな扉から一人の白髪をしている初老の男性が入ってきた。服装が聖職者とかが着る祭服だったか?を着ているし、恐らくこの教会の人だろう。


「いやはやお待たせして申し訳ない。早速儀式を始めましょうか」


 聖職者らしき男性の頭の上には青い逆三角形のアイコンが浮かんでいる。確か青いアイコンはNPCのアイコンになる筈だから、この人はNPCなのだろう。


「あの、儀式って?」


 名前も分からないNPCに儀式について尋ねる。チュートリアルの事を儀式と呼んでいるのだろうか?


「おや?旅立ちの儀式の事をご存じないので?」

「そうっすね。よく知らないままここに居るんで」 


 取り敢えずこのNPCのフラグを進行させていく。多分この受け答えで何かしらのチュートリアルが始まるだろうし。


「そうですか。ではご説明しましょう…っとその前に自己紹介が遅れましたね。私の名はウィリアム。ここ【翡翠の街】の教会の神父をしております」

「どうも。俺はボールチョコって言います」


 ウィリアムと名乗った神父に此方も自己紹介する。最近のゲームはNPCのAIも高度だからある程度会話に自由が効くし、ある程度のロールプレイをしておこう。

 

「はい。では早速儀式とその他にも色々とご説明しましょう」


 そうしてウィリアム神父は色々を話し始める。


―――――


 先ずですが、儀式についてご説明します。新たな冒険者となられるボールチョコさんのような方には教会で旅の神の加護を与え、様々な恩恵を受ける儀式です。


 旅の神とはその名を【ペレグラン】様と言い、遥か昔、我々人類のみならず神々すらも脅かすとある大災害によって絶命の危機に陥りました。

 その時、若い神だったペレグラン様が皆が平穏に暮らせる大地を見つけようと立ち上がり、羊飼いの杖とランプを手にし、腰には1本の剣を携えお供に1匹の狼を連れて旅に出ました。


 道中は大変危険な旅だったそうで怪物が蔓延る洞窟や毒の沼、幻覚を見せ惑わす砂漠など様々な世界を旅し、ようやくこのアルカディア大陸を見つけ我々人類、そして神々を呼び寄せ危機を救ったとされる神です。


 その後もペレグラン様は人類が道に迷わぬ様に空に旅にも使われたランプを掛けて夜道を照らして下さるようにし、ランプの炎が途絶えぬ様傍にはお供の狼を付け見張らせるようにしました。

それが空に一際輝き、動くことの無い北極星と言われております。


 その事から別名、放浪神や開拓の神、標の星など様々な呼び名がございます。


 話が逸れましたが、そのペレグラン様からの恩恵には様々な効果があり、旅の最中に手に入れたアイテムや素材を異空間に保管、取り出す事が出来るインベントリや状態を確認できるメニュー画面、一度訪れた街に瞬間移動するテレポート…更には旅の最中に死亡しても対価を払い蘇生する事も出来るのです。


 対価とは幾つかのお金…Cr(クラウン)と貴方が旅で得た経験の一部となります。


 他にも…



――――――――


「…と言うことです。以上が儀式についての説明になります」


 儀式についての説明が終わった。色々と話していたが簡単に言えばゲーム的都合を上手い具合に世界観に組み込む為の説明だった。途中神話の話がかなり長かったが、それはまぁ良い。


 メニュー画面だったりインベントリを開けたり、加護による恩恵って事で世界観に落とし込んでいた。少しメタい話にはなっていたが、個人的にデスペナを神への対価って設定にしたのは面白いなと思ったよ。


「特に質問が無ければ早速儀式に取り掛かりましょうか。そんなに時間も掛かりませんので」

「あぁそれじゃお願いします」


 儀式をお願いするとウイリアム神父は十字架の台座の前に立ち、手を組んで祈り始めた。


「旅の神ペレグランよ。此度新たな冒険者に加護をお与え下さい」


 祈りを捧げると巨大なステンドグラスから光が差し込み俺を照らし、キラキラとしたエフェクトが周囲から出て来た。


『旅の神ペレグランより、旅の加護を与えられました。それによって各種機能が解放されます』


エフェクトが消えたと同時にキャラクリの時にも聞こえた機械音声のアナウンスから色んな機能が解放されたことが知らされると同時にウィンドウが現れる。


『メニュー画面解放、ステータス画面解放、インベントリ機能解放、マップ機能解放、コミュニティ機能解放、図鑑機能解放、ヘルプ機能解放、設定機能解放。その他が解放されました』


ウィンドウには解放された機能について書かれている。コミュニティが解放されたみたいだし、ここから兄貴に連絡が取れる筈だからこの後すぐに使おう。ダウンロードしてから今まででかなりの時間が経っているし、兄貴を待たせているだろうから。


「これにて無事にペレグラン様より加護を授かる事が出来ました。」

「ありがとうございます」


 儀式の祈りが終わり、此方に振り返ったウイリアム神父は手を組んだままお辞儀をするので俺も返すように頭を下げる。


「それと此方、ペレグラン様からの御加護とは別に教会からのお力添えになります」


 そう言って何処からか取り出した袋を渡して来る。礼をしつつ受け取ると『冒険者装備一式、マイナーポーション×5、2000Crを受け取りした』とアナウンスが鳴る。


「おぉ、ありがとうございます!」

「いえいえ、なにぶん旅の始めは何かと物入りですからね」


 こう言うスタート用のアイテムだとか装備を貰えるのは普通だろうし、所詮NPCだが感謝の言葉は忘れない。装備は『手に入れた装備を直ぐに装備しますか?』とアナウンスから聞かれたからYESと選択して既に装備した。

 まぁ装備といってもバンダナに革鎧、ブーツと革製のグローブと簡素な物だけどな。


「それではボールチョコさん。貴方のこれからの旅路が良い物である事を祈っております」

「ありがとうございました」


 最初のチュートリアルが終わったみたいだし、教会を出るとしよう。ウイリアム神父に見送られながら教会の外に繋がる扉を開ける。


 一瞬、扉を開けた瞬間に部屋の中の光量と外の光量の違いで視界が白くなる。が直ぐに収まるとそこには正にTHE・ファンタジーなレンガ造りの街並みが広がっていた。


「おー中々グラフィック綺麗じゃん!」


 レンガと木造で作られた建物が並び、時折何かしらの店なのだろうか?看板が掲げられている。道行く人達には先程キャラクリ時に出た色んな種族が入り乱れ、その頭の上には青と緑色の逆三角のアイコンが浮かんでいる。


 緑色の逆三角はプレイヤーのアイコンなのだが、教会の中にいた時には聞こえなかった喧騒が聞こえ、NPC、プレイヤーで賑わっている。

 どうやら既に他プレイヤーが居るマルチサーバーに居たみたいだ。


 恐らくだけど教会の扉を開けた瞬間にマルチサーバーに飛ばされたのだろう。


「うぉー!ここまで綺麗だと街の中見て回るだけでも楽しそうじゃん!」


 最近のゲームはグラフィックとかは既に最高品質でほぼ現実と大差無い。だから別に綺麗な光景とかは見慣れているがそれでもやっぱテンションが上がるってものよ。


「おっと、その前に兄貴と合流しないと…」


 街並みを見渡すのをやめて早速メニュー画面を開く。そこからコミュニティのページを開いてフレンドから兄貴のIDを探す…あった。見つけたIDから通話機能の電話マークを選択して連絡を取る。


『プルルルルル…ガチャ』


『よう幸二。通話して来たってことは教会の外にでたな?』

「オッス兄貴!丁度出た所。それで何処で合流するよ?」


 通話して直ぐに兄貴が出た。何処か合流出来る良いスポットがあると良いが…出来れば広場みたいな。


『おっとその前に、今何処のサーバーに居る?違うサーバーなら移動しなきゃだから』

「サーバー?ちょっと待って確認する」


 メニュー画面を操作して現在サーバーを探す。今のサーバーは…デルタサーバーにいるな。


「今俺デルタサーバーに居るわ。そっちは何処よ?」

『お、お前もデルタに居るのか。運が良いな。俺もデルタに居るからサーバー移動しなくて済みそうだ。それじゃ教会を出て左に道を進んでみろよ。少ししたら噴水が中央にある広場に出るぞ』

「広場ね。了解!ちょっと待ってな」


 同じサーバーだったらしく、サーバー移動の必要も無くなったから兄貴の案内のもと、言われた通りに道なりを左に進んで行く。やっぱサービス開始して間もないからかプレイヤーの数が多いのか人混みを掻き分けて行かなきゃいけない。


 そうして十数分後、何とか兄貴が言っていた広場らしき場所が見えた。


「ごめん人多過ぎて着くの遅くなった!今ついた」

『やっとか。待ちくたびれたぞ』

「ごめんって」

『まぁいい。それより広場に着いたんならさっきも言ったがでかい噴水が見えるだろ?その側に俺居るから』


 噴水…確かに兄貴の言う通り、広場の中央にはそれなりの大きさの噴水が見える。中央には水瓶を背負い、水瓶から水を注ぐ女性の像が建っている。


 噴水の側に居るって事だから周囲を探せば見つかるはず…


『俺の特徴言っていくから。先ず種族なんだが魔人(デモニア)の…「見つけた。今そっち行く」は?』


 視界に入った瞬間、兄貴を見つけた。何か兄貴が話していたが取り敢えず見つけた人物に近付いていく。


『お前な、見つけたってまだ特徴種族しか言ってないぞ。もしそれで別の人だったら…』

「よっ!兄貴」

「どうすんだ…って…マジかよ」


 そして目的の兄貴らしき人物の前に到着した。その人物は髪を白く染め上げ、瞳は赤…いや紅い上品な色合いをしている。そして特徴なのがこめかみから生えている捻れた山羊の様な角の人物。


「お前…よく俺が分かったな」


 驚きの顔をして、見上げている魔人(デモニア)のプレイヤーのアイコンが浮かんでいるその人物…兄貴が噴水の縁に腰を掛けてそこにいた。

NAME ボールチョコ 種族 鬼族(オーガ)

レベル 1Lv

HP100/100 MP100/100

STR 20 DEX 5 AGI 5 

DEF 15  INT 5 MND 5 


装備       

頭部 初心者冒険者のバンダナ    

胴体 初心者冒険の革鎧

腕  初心者冒険のグローブ    

脚  初心者冒険者のズボン

靴  初心者冒険者ののブーツ


武器

金属製の拳手甲(ナックルガントレット)

アクセサリー

スロット1無し スロット2無し スロット3無し

スキル

【不屈】lv1 【体術】lv1 【筋力増強】lv1 

【瞬発力増強】lv1 【瞑想】lv1 【底力】lv1

死亡回数 0回 

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