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浅間家のVRMMO  作者: 黒鉄 鋼


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仮想世界への誘い

「なぁ幸ニ(こうじ)、コレ一緒にやろうぜ」


 とある休日、リビングのソファでゴロゴロと怠惰に過ごしていると背後から突然そう声を掛けられる。

 身体を起こして声の主へと顔を向けるとスマフォの画面をこちらに向けている兄貴、恵一(けいいち)が立っていた。


 どれどれとスマフォに表示されている画面を見てみると【新作VRMMO!アルカディア・クロニクル、サービス開始!】と書かれたネットニュースが表示されていた。


 確かサービス開始したばかりのMMOタイトルがこんな名前だったと脳裏を過ぎる。


「珍しいじゃん兄貴からゲーム誘うなんて。しかもこのタイプ(VRMMO)のゲームなんてさ」


 普段はVRシューティング系のゲーム位しかしない兄貴がMMOを誘ってくるとは思わなかった。

 

 ―VRMMO、所謂仮想空間内で行うオンラインゲームの事を指すもので十年ぐらい前に完全VRが実現してから生まれたゲームジャンルだ。

 VRってのは専用の機器を頭に装着する事で脳内の神経伝達される電気信号を機器がキャッチしてVR内に投影させる云々で遊べる代物だ。


「最近シューティングばっかで飽きてな。何か別ジャンルのゲームやろうかと探してたら新作のMMOがサービス開始って知ってな」


 なるほど。確かに兄貴は基本的にシューティングしかやらないけど、ずっとやり続けてもマンネリ化するだろうな。特に今年は大したシューティングゲームは出てないし。しかし…


「MMOなんてほぼした事無いのに良くやろうと思ったな?」

「まぁいい刺激になると思って、それでついでにお前も誘おうと思ってな」


 なるほど、それで俺を誘ったわけか。俺と兄貴、別に兄弟仲が悪いって訳では無いがゲームの趣味が互いに違う為ゲームを一緒にやろうと誘う事が滅多に無かった。


 ついでではあるが、コチラとしても特段断る理由も無いから一緒にやってみるか。


「まぁこっちも暇してた所だし良いぜ。やろうか」

「お、なら早速ギア持ってくるわ」


 了承すると兄貴は直ぐ様その場を後にしてリビングから出ていく。さて、兄貴が戻って来るまでに俺も準備しますか。


 テーブルの上に置いてある2つのブレスレットを手に取り、腕に装着する。コイツは健康観測機器…通称ライフウォッチと呼ぶ代物で腕に付けるだけで心拍数や脈拍、体温等を観測してなにか異常が有れば救急に自動で連絡される代物だ。


 仮想空間にアクセスするVRゲームはゲームをしている間、現実の身体は動かす事が出来ない為このライフウォッチを装着する事が義務付けられている。なんでも昔、長時間のアクセスによって健康被害や死亡事故等が多発した結果らしい。

 

 ライフウォッチ装着後、少し経つと手元に赤色と黒色の2つのヘルメットの様な機械を持って兄貴が戻ってきた。


「ほらお前のギア。ダウンロードは直ぐに終わるし早速やろうぜ」


 兄貴が手にしているギアとは、正式にはNeural(ニューラル) Gaming(ゲーミング) Environment《エンバイロメント》 Access(アクセス) Rig(リグ)。略してN-GEAR。ギアって呼んだりする。


 このギアを頭に装着して起動させることで先程も言ったが脳内の電気信号を〜ってする為の機器だ。詳しくはもう少し細かいらしいが、ぶっちゃけた話、専門的過ぎてあまり分かってない。


「了解。取り敢えずキャラクリと、チュートリアル有るだろうしそれ終わったら合流で良いか?」

「あぁ、それで良い。どうせフレンド登録してるし詳しい合流地点とかは通話しながらで良いだろ」

「はいよ。なら早速やるとしますか」


 兄貴から俺用の赤色のギアを受け取る。頭を覆える程のサイズをしていながらも見た目以上に軽い材質で作られたそれはかなり軽い。

 ギアを頭に被りそのままソファの上で横になるが、長時間着けることになるだろうし首が痛まないようにクッションを敷いておく。

 コレで準備は出来た。後はギアを起動するのみ。


「そんじゃ先に始めとくぜ」

「あぁ、俺も直ぐに行く」


 起動ボタンを押してギアを立ち上げる。ブーン…と起動する際に出る音と共にギアのバイザー部分が光り始め…


 一瞬強い光が光った次の瞬間、先程までソファに寝転がっていた身体は真っ白な広い空間に立っていた。

 ここは様々なゲームを開始したり購入、ダウンロード等をする為のホーム画面…いや仮想空間だからホームワールドだ。


 殺風景な真っ白な空間だが、プレイヤー事に好きにカスタマイズ出来、人によってはカフェや水族館など様々な空間にする事も。俺は面倒くさいからやらないけどな。


「さてさて早速ゲームをダウンロードしますか。確かアルカディア・クロニクルってタイトルだったよな…?」

 

 ストアページを開いて検索する。アルカディア・クロニクル…あった。サービス開始したばかりの新作故か検索欄の一番上に出て来た。


「そういや兄貴からどういうゲームか聞くの忘れてたな…」


 珍しく兄貴からの誘いに大事なことを聞くのを忘れていた。どんなゲームでも性に合わなかったら意味無いし確認して置かなければ…


 ストアページの紹介と画像を見てみると剣と魔法の王道ファンタジー…に加えてちょっと機械とかのSF要素が加わってるみたいだ。


『広大な自然が広がるアルカディア大陸。ある時から大陸の各地にて発生する瘴気によって各地の怪物が活発化し始める。冒険者である貴方達は怪物を討伐し、瘴気の謎を解明し大陸を救う使命を持って旅に出るのだった…』


 ストアページの紹介文にはそう書かれてある。アルカディア・クロニクルのアルカディアは大陸の名前って事か。そんでもってプレイヤーはその瘴気とやらをどうにかするのがメインのストーリーらしい。


 ゲーム内の戦闘システムとかは実際にやってみないと分からないが、王道なファンタジー物ならそこまで当たり外れは無いだろう。


 そう言えば金はどうするんだ?ゲームによっては基本無料だったり買い切りだったりするが…そう思って見てみるとどうやら月額制らしい。値段は月1500円、標準的な値段と言える。コレなら毎月のバイト代で簡単に補えるな。


 確認しておくべき事もしたし、早速ダウンロードをしてキャラクリをするとしよう。


「取り敢えずダウンロードを開始させてっと…」

 

 ゲームのダウンロードの進捗を表すゲージがホームワールドの空中に現れる。ゲージの進み具合的に10分も掛からずダウンロードは完了するだろう。

 待ってる間、もう少しアルカディア・クロニクルに付いて調べておこう。

 

 

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