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外電(テレックス)

一九八一年(昭和五十六年)十一月二十一日(土)

午後七時二十分。

厚生省 公衆衛生局・国際連絡室。


 テレックスが鳴った。


 金属音が室内に響く。


 涼子は、紙を引き抜く。


FROM: UK MINISTRY OF HEALTH

CC: WHO EUROPE DESK

TO: MHLW JAPAN

URGENT MEDICAL UPDATE


 息を止めるように、読む。


SUBJECT: FEMALE ATHLETE – FATAL CASE

CLINICAL SIMILARITY TO MALE SYNDROME


 箇条書き。


・二十八歳 女性陸上選手

・急速進行性肺炎

・紫色皮膚病変

・著明なリンパ球減少

・男性症例群と臨床像が一致


 そして最後。


PATIENT HAD HISTORY OF ANDROGENIC HORMONE ADMINISTRATION

(MEDICALLY SUPERVISED – DETAILS UNDER REVIEW)


 室内が静まる。


 女性だ。


 だが、条件が付いている。


 アンドロゲン。

 男性ホルモン。


 涼子はゆっくり言った。


「……“男性”ではない」


 誰も答えない。


 彼女は続ける。


「“男性ホルモン環境”です」


 その瞬間、

 “男女比”という言葉の意味が変わった。


 偶然ではない。

 偏見でもない。

 構造だ。


 涼子は資料を抱えて立ち上がる。


「医務局に回します。今夜中に」

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