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第四章 一つ目のルール。

 部活と帰宅で別れたその日三人はそれぞれする事がわかれて三人それぞれの一日が始まっていた。

セナは天宮先輩と今日の出来事を話し、ローレンは今日の美奈の弁当の美味しさが忘れられずに料理の修行、美奈だけは特にすることはなかった。

 料理がどんなに上手くても美奈が確実にローレンに勝っているわけではない事くらい自分でも理解している。美奈が気にするのはアメリカ人と日本人のハーフであるローレンの見た目の可愛さだけはもうどうする事も出来ない事実としてそこだけは負けを認めてはいた。だから何か実力で勝ろうと選んだものそれが料理だった。他に何かで勝てるものを考えるだけだった。

 何も言わずに勝手に始まるルールの無い勝負でどう勝利するか、これだけは二人の同じ悩みでもあった。勿論セナはそこに気づくことはない。逆に三人で仲良くしたいのがセナの悩みだった。

「先輩、どうしたら二人の幼馴染と仲良く過ごせますかね…」

「う~ん僕に言われてもだけどそれは永山君次第じゃないか?」

「僕次第ですかぁ…」

「永山君にとっては一番の悩みかもしれないけど答えはすぐそこにあると思うよ?僕から言えるのはこのくらいかな、僕がその答えを決めてしまうとあの二人に悪いからね」

「なるほど、僕が見つけないとなんですね」

日が暮れる頃になってセナも帰り道につくことになる。

「まあ好きなだけ悩んで考えればいいさ、全ては君の人生だかね、またね!」

「はい、さよならです」

天宮先輩から残された最後の一言がセナの悩みを加速させるだけだった。


 悩みは人それぞれ。ローレンと美奈の考えは近いところもあるが、もちろんセナ、ローレン、美奈、悩みは違う。

ローレンと美奈の悩みは乙女の悩み。そこは何が何でも変わらぬ二人の事実。そしてセナがそこを理解できていないのも何が何でも変わらぬ事実。

セナは性格から久しぶりに会えた二人と仲良くしたい。男子ではあるが頭の中ではどちらかとエッチな事がしたいなどかすりも考えていなかった…。クラスの他の男子達はセナを見て羨ましく思うだけだった、今すぐにでもエッチな事ができるだろうと言うだけの考えで。


 幼い頃のローレンと美奈それぞれセナとの始まりは違った。保育園の頃のローレンはただの友達だった。後から入った美奈とは仲良くなってからしつこく告白され続け「はい。」か「Yes」で答えるしかなかったのがセナと美奈の始まり。

 小学生になってからすぐ美奈が転校して三人はばらばらになったが親の繋がりでセナとローレンはたまに会うことがあった。そして小学四年生の頃にローレンと二人でいる時にたまたま二人でベッドに入ってしまったのがお互いの始まりだった。何も見えない暗い部屋の中でいきなりローレンに右手を掴まれてパンツの中まで手を突っ込まれて、耳元で小声で「さわっていいよ」と言われた。最早これは「さわっていいよ」の許可ではなく「さわって」と言われてるお願いにしか思えないが、小四の男子の頭はいっぱいいっぱいで爆発寸前だった。ローレンは覚えているか分からないがセナにとってはどうしても忘れる事のできない初めての経験として残ってしまっていた。ローレンにあの時の事を覚えているか聞きたいくらいだが聞けるわけもなかった。

セナはこれだけは過激過ぎて美奈には絶対言えなかった。ルールなんかそもそも無いのに「ルール違反よ!」とガチギレしそうだった。こちらまで右手が切り落とされそうな感じがした。

今の美奈がキレたらただの面倒事にしかならないのが見ていてよーく理解できていた。

小学生までの美奈はキレる事がなかったからこそセナはもう美奈はもう別人だと思っていた。ローレンにはどうあっても変わらぬライバル。


 次の日の待ち合わせはセナが一番、次にローレンが来た。

「セナ、おはよぉ…^^」

「おん、おはよ、何かぎこちないけどどしたの?」

両手を隠したままの挨拶が何か不思議だった。

「そ、そう?ぎこちないかな…^^」

「うん、いつもより笑顔固く見えるよ?」

「セナ、知ってる?乙女には聞いていい事と聞いちゃいけない事があるんだよ~^^」

「更にぎこちなくなったね」

「う、うるっさいわねぇ!別にいいでしょうが!いつも通りの普通よ!」

怒った。そして隠してた手が見えた。

「手絆創膏でいっぱいじゃん、だからぎこちなかったんだね」

「だからうるっさいわね!別にこんなの何でもないわよ!」

「一応つけといた方がいいよ?」

「こんなのつけてたらアイツに笑われるだけよ!要らないわ!」

「あらら、取らない方がいいのに…」

二人で話してると思っていたら後ろから煽る様な声が聞こえてきた。

「あ~ら、おてて傷だらけなのに本当にとっちゃっていいの?セナの忠告聞いといた方が身のためよ?」

「わお、美奈いたんだ おはよ」

「あんた何時から居たのよ…」

「ごきげんよう、さ~て何時からでしょうねぇw」

「言いなさい!」

「何で言わなきゃいけないのかしら?w」

「いいから言いなさい!」

「いいわ教えてあげる正確にはセナが来る十分程前からそこのコンビニでおにぎりを食べていたわ」

セナは膝カックンをくらった気がした、この人高らかに何言ってんだぁ…。

「美奈は朝ごはん家で食べなかったの?」

「朝ごはんは家で食べて来なさい!」

「今日は食べれなかったの、料理もできないあなたに私の朝ごはんの食べる場所を決められる筋合いなんてないわよw」

こんな理由でも言われた側は悔しくてたまらない。

「私はこの傷が料理の傷なんて一言も言ってませーん勝手に決めないでくれる?」

「そえばそうだね、その傷どしたの?」

「だからセナ、乙女には聞いちゃいけない事があるって言ったでしょ?^^」

「大丈夫かなと思って」

「心配してくれてるのね…ありがとう、大丈夫だから^^」

嬉しいけど嬉しくないセナの心配には何も言えなかった。

「セナが心配してくれてるんだし吐いたらいんじゃないの?その傷の理由を」

美奈はセナの心配を利用してガンガン攻めて来る。

言いたくない。いや、そもそも言えるわけがないこの女の前でこの傷の理由なんかを…。

 しばらく場が凍りついた。先ず口を開いたのはセナだった。

「とりあえず今日も行こうか、ここでずっとこうしてたら遅刻しちゃうよ」

「そ、そうだね!早く行きましょう!」

セナに救われた。一安心。

「何でいっつも集まってからあそこで立ち止まるのさ、学校行きたくないのは分かるけど遅刻したらダメでしょ」

「そ、そうだよね!セナの言う通りだ!行こ行こ!よーし今日も学校いくぞー!」

「ローレンって学校楽しんだね、僕は行きたくないよ?」

ローレンは美奈さえいなければ毎日でも登校してもいいと思っている。セナは普通に友達がまだできず楽しい事が少ないから行きたくない。

「美奈は学校楽しいの?」

「まぁ、嫌いじゃないか?新しく高校生になってセナに会えたし楽しいと思うけど?」

けっこう素直な答えが返ってきた。その答えでセナは三人でいたいと思う気持ちが強くなるだけだった。

「なるほどなるほど…美奈にしては素直な返事ですな」

「何か頭にくるわね…まぁ、そうかもしれないけど」


 今日は割と平和な登校だった。

二人の荒れた喧嘩を見ることなく教室へ到着。一緒にいる時間が増えて割と二人も慣れてきたのかもしれない。

唯一荒れるのは昼休みだった。ここだたけは避けられない確実と言えるタイミングだった。

「セナー!今日もお弁当作って来たから一緒に食べましょ!」

「待って、今日は私がセナとお昼食べるから」

「はぁ?何言ってんの?私がお弁当作ってんだからセナは私のもよ?」

セナも「はぁ?何言ってんの?」と言いたかったけど先ずはローレンが言い返した。

「あんたこそ何言ってんのよ、セナはあんただけのものじゃないわよ?」

セナは心ので頷く。「うんうんその通り、てか物じゃないしなぁ…ローレンもそこ間違えないで欲しいな」

「じゃあそしたら今日はセナは何を食べろって言いうの?」

「いや、何でも選択肢はあるけど?」

「セナは黙ってて、私のお弁当でも食べてなさい」

「あ、はい。選ぶ権利僕にはないのね…いただきます。」

でも確かにその通りかもしれない、せっかく作ってもらったお弁当を無駄にはできない。でもローレンは何を一緒に食べるつもりだったのか、ここも気になる。

美奈のお弁当を口にしようとした瞬間思わず叫んでしまった。

「セナ!今日は私の作ったお弁当を食べて!」

ローレンの叫び声が教室の中のみんなを驚かせていた。自分で気がついた頃にはローレンは顔が真っ赤になっていた。

「え、ローレンもお弁当作って来たの?」

「へぇ~なるほどね、素直に言えばいいのにやっぱりそれで手が傷だらけだったのねw」

「傷なんかどうでもいいでしょ、早くセナをこちらに渡しなさい」

またローレンまで何言ってんだ…。セナは困惑するだけだった。

「わ、わかったよ…ローレンのお弁当も食べるよ」

「も、じゃなくて今日は私のお弁当だけを食べて!」

ローレンの叫びに美奈はキレ気味になる。

「はぁ!?じゃあ私の今日のお弁当は誰が食べるのよ!」

「一人で食べればいいんじゃない?今日は作り過ぎたみたいで残念ね^^」

何か今日はローレンが優位に立った表情をしている。セナからしたらどちらか選んだとしても選ばれなかった方は可哀想だから食べてはあげたい。

「さぁセナこっちに来て、頑張って作って来たのだから食べて!」

「わ、分かりました…」

流石に自分のために傷だらけにまでなってお弁当を作ってくれたローレンを見捨てることはできなかった。

「待って!セナ!行かないで!私のお弁当を食べてよ!セナァ゛ァ゛ァ゛!!」

美奈の叫びもまたクラス中に響き渡って皆を驚かせていた。セナにとっては苦しいだけの残響。ローレンにとってはとても心地の良い楽器の音の様な物だった。この月とすっぽんの差はクラスの皆にも見てわかった。

そして何よりも問題なのはローレンのお弁当。この味で全てが決まる訳ではないがローレンもセナもドキドキが治まらなかった。

「さぁ食べて!召し上がれ^^」

「いただきます。」

昨日とは真逆で機嫌の差があった。今日はローレンが勝ち誇った顔をしている。

「ほんほんけっこう美味しいね、ローレンも料理けっこうできるんだね」

「でしょ!私だってやればできるんだから!」

美奈は完全に魂が抜けた人形になっていた。

 

 今日の最後にセナが二人の為に一言。確実なルールが一つできた。

「二人ともこれから僕の分のお弁当作って来るの禁止ね、苦しい思いさせたくないから二人が作って来た日は食堂行くから」

ローレンは可愛くぷくーっと頬を膨らませて返事を返す。美奈は完全に魂の抜けた人形でゾンビの様な返事。

「はぁーい」

「はぁぁい…」


やはり美奈も見捨てることはできず、今日の美奈のお弁当はセナの晩御飯となり美奈の人形化は止めることはできた。


どうも!五回目の投稿となります!悪魔ネコです!今回も読んでいただいた方、今回から読んでいただいた方、どちらの方もありがとうございます!

今回は前回に似た話となりました。なかなか書いてて楽しかったです。読んでいただいた方に楽しんでいただければ幸いです!

今回はPCの調子が悪くて投稿するまで時間がかかってしまいました申し訳ないです。話は考えながらそのままカタカタ打っていくので一度進むと出来上がるまでは早い方です。

是非次回もお楽しみいただければと思います!コメントがあれば是非お書きください、次回の参考にさせていただきます!

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