第十八話 騎士候補生との決闘 中
全然意識していませんでしたが気付いたら60話変えていました。
「っ!!」
さっきの一撃で確信した、この出力でも何とか応戦できる!!
だから後は俺の問題だ……!! 見極めろ、奴の斬撃を回避して、攻撃に転じるんだ!!
意を決し、唇を紡ぐようにして体中に力を籠める。
「ははぁ!! バカが!! 上だよ!!」
「は……!?」
ロズの言葉に俺は横目で少しだけ背後を確認する。
「落石波!!」
俺のいる位置より更に上空――――そこには、大量の石礫が存在した。
「落ちろ!!」
それに反応し、上空に浮遊していた石礫は全て俺に目掛けて落下する。
「がはぁ……!!」
一つ一つの大きさはさほど大きくは無い。だがその量と落下速度が俺を苦しめる。
塵も積もれば山となる……まさにそれを体現したような攻撃だ。
くそ……!! 跳躍して俺に向け攻撃の構えをしたのはフェイク……!! 全ては背後に発動した魔法に対する意識を逸らすため……!!
コイツ、しっかり頭を使いやがる……!!
ていうか……コイツ魔力特性二つ持ちかよ……!!
先ほどの魔法は風、そして今回の魔法は土の魔力特性の派生である『石』だ。
「そのまま潰されて死ねやぁ!!」
大量の石礫、当然それには質量が伴われ……かなりの重さである。
「ぐぅ……!!」
まずい!! このまま石礫の下敷きになって地面に激突したら……!!
考えろ……!! 考えろぉ……!!
ギリギリの状況、命にすら指が掛かりそうなこの現状に俺の頭はフル稼働する。
突破口を、切り開ける道を探すべく、全力で脳に栄養が行き渡る。
そして見つけた……ここからどう状況が変化するのか、それを見据えた先に存在した確かな未来を。
だけど……!!
「いつもこんなんしか思いつかねぇのか俺はぁぁぁぁ!!!」
そう叫びながら、俺は地面へと激突した。
ドゴォン!!! そんな激しい音が、訓練場中に響き渡る。
◇
「っしゃぁ!! 勝ちだ!! 俺のぉ!!」
滞空していた状態から地面へと着したロズは腕を上げ、勝利宣言をする。
しかしそれも束の間だった。
「っ!?」
土煙の中から投げられたナイフに素早く反応したロズは首を曲げてそれを回避する。
「まだ生きてるだと!? バカな!! だが!!」
生きている、土煙の中で姿の見えないスパーダに対してロズは思い直す。
あのナイフは奴が装備として腰のポーチから出したもんだ。
けど、あれじゃあどうしたって決定力に欠ける。俺を殺すつもりなら……奴はあの剣を使うはずだ!!
そう思った矢先、土煙を割くようにして……魔剣が飛来した。
「へへっ」
ロズは笑う。
何故ならその選択は彼にとって至上のモノでしか無かったからだ。
当然、ロズは避ける。
今ので場所が分かった!! これで確殺……奴は死ぬ!!
「死ねぇ!!」
土煙を掻き分けて、ロズはスパーダがいるであろう位置に向かって剣を振るう。
ブン!! 激しい風圧によってその場の土煙は吹き飛ばされた。
――――だが、
「は……?」
そこにスパーダの姿は無かった。
目の前のいると思い込んでいた人間の存在がいない……その事実が、ロズの脳内を激しく混乱させた。
……その直後である。
「おらぁ!!」
「なっ!? がはぁ……!!」
いつの間にか、ロゼの背後に回り込んでいたスパーダの拳が振り返り様の彼の顔面に直撃した。
◇
十秒前。
あぁ……やべぇなこれ……。
朦朧とする意識の中、俺は指先を震わせる。全身に広がる痛みが俺の意識を何とか保っていた。
痛み――――と言ったがそんな生易しいモノではない。
骨折、内臓破裂、裂傷、全身打撲、脳震盪、大量出血。
併発すれば死んでしまうような症状のオンパレードが俺を襲う。
「……っ!!」
―――ーしかし、ここからだ。
腕と足を重点的に回復させろ……それ以外は後回し……!!
満足にゼノディーヴァの力を使用できない現状、俺は必要な箇所のみを集中的に回復させる。
そして全身をギリギリ動ける程度まで回復させ状況を確かめる。
落下による激しい土煙……そして今ので奴は俺が死んだと確信している……。
だからまず……!!
俺はナイフを投げた。
俺が生きていると奴に知らせる。
そうすれば当然、奴は次の攻撃を想定しナイフが投げられた方向を警戒する。
次だ……!!
俺はゼノディーヴァを投げた。
だがこんな攻撃は避けられてしまう……が、これでいい。
瞬間、俺は左側に回るように走る。観客席から漏れる声が俺の音を掻き消した。
魔剣が俺の手元から離れたことで、奴は俺に攻撃手段が無いと錯覚する!!
そしてこの二度の投擲攻撃によって、落石波で俺がその場から動けないと考えるはずだ……!
俺に恨みを抱いているアイツは十中八九、魔法じゃなくその手でトドメをさそうとしてくるだろ……!!
予測は当たった。
慢心と油断、思考の果てに到達した行動の裏にあった真の目的を読み取れなかったロズに、俺は自身の拳を叩き込む。
「まだまだぁ!!」
一撃じゃ駄目だ!! 二発、三発!! 戦闘不能になるまで、殴り続ける!!
ロズとは違い俺は、彼を殺すつもりは毛頭無かった。
俺は何の恨みも持ち合わせていないし、奴の気持ちも良く分かる。こんなくだらない所で死ぬなんてバカが過ぎるだろ……!!
「あああぁぁぁ!!!」
だが、戦闘不能に仕切れなかった。
膨れた頬に痛みを感じながら、ロズは激昂しその場で剣を振り回す。
手元に剣の無い俺では対応ができない。
後ろに跳躍することで、俺はそれを回避しながら落ちていた魔剣を手に取った。
「てめぇ……!! まさか自分の武器を囮にして、身一つで殴り掛かってくるとはよぉ……!! 驚いたぜぇ……!! それに、さっきの攻撃……直撃だったはずだ……!! 何でその程度の傷で済んでやがる……?」
顔に手を当てながら歯ぎしりをして、ロズは俺を睨みつける。
「けどまぁ……もうそんなことはどうでもいい……!! 少し、てめぇを舐めてたぜ……!! だが……!!」
言いながら、ロズは両手で剣を高く掲げる。
「もう油断はしねぇ!! 全力で、てめぇを殺す……!!」
「なっ…‥!?」
ロズの剣、その刀身に石と風が集約し始めた。
「別々の属性魔法を掛け合わせて……?
「ははっ!! 調子のいいこと言ってんじゃねぇよ……!! まだまだこんなもんじゃねぇぞ!!」
両の口角を釣り上げたロズ。
次の瞬間、俺の目に映る光景は信じがたいものだった。
「マジかよ……」
石、風……そこに火が加わった。
ロズ・チェンバー……奴は魔力特性を三つ持っていたのだ。
「二つでも結構稀なのに……三つって……」
三大貴族の一つであるヴァロナント家に代々選ばれてきた騎士の家系だけはある。
性格面などは抜きにして、彼は才能の塊だった。
「食らいやがれ……!! 三位一体斬!!」
三つの属性の魔力が合わさり、大気……いや周辺の空間そのものが揺れている感覚さえ覚える。
振り下ろされた斬撃に、俺は応戦を余儀なくされる。
「魔王斬對慟!!!!」
もはや小細工や思考の擦り合いは必要ない。
そこにあるのは、純粋な力のぶつかり合い――――真っ向勝負である。
「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
激しい衝突音に掻き消えながらも、俺とロズの慟哭は止まらない。
「くっ……!!」
分が悪いのは、俺だった。
魔剣の力を引き出し切れていない、ゼノの魔力循環にラグがある。更に今の俺の身体は満身創痍……身体の回復に力を回している分攻撃の威力は下がっている。
そして相手は騎士候補生の中で一番強い男、それも魔力特性三つ持ち。
状況を数値で表すとするなら、六:四。
届かない――――後一つ、俺の足りないピースの存在が否応なく頭に浮かぶ。
頼む……!! ゼノ!!!
俺は心の中で、ゼノに呼び掛けた。
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◇◇◇
小話:
ようやく属性型の派生が出てきました。他にも属性ごとに色々な派生属性の魔力特性があります。




