プロローグ
「あぁ、暇だな。」
この部屋に不釣り合いなソファーに寝そべりながら愚痴る男の名は若菜渉。この部活の部長である。
成績優秀、スポーツ万能、イケメン。神はこの男にどれだけの力を与えるのか。おまけに人からの信頼も厚く、数分過ごせば誰とでも仲良くなれるほどの対話術ももっている。ある意味チート的な人間だ。そんな彼が椅子に座り本を読んでいる僕に話しかけてくる。なぜか、僕…春結帆影もこの部活の部員なのだ。客観的にみて僕を一言で表すなら普通だろう。彼がチートだからじゃない、本当に普通なのだ。だからここは適当に。
「そうだねぇ。」
と本を捲りながら答える。この会話は今日だけで3回目だ。今日もこんな感じで1日が終わる…
ガラガラ
「やぁ諸君、相変わらず暇そうだねぇ。」
前言撤回。この人が来るとろくなことがない。この人は顧問の小林栞奈先生。いいとこのお嬢様らしいが生徒の評判もよく、明るい先生だ。その分謎も多いが。
「なぁに、先生。俺たち忙しいんだけど?」
渉…それは無理があるぞ。でもこの先生は面倒をもってくることが多い。だからそれには僕も賛成だ。
「あら、残念。依頼があってきたんだけど。」
依頼って言葉に渉がぴくっと反応する。もちろん僕もだ。
「シザクラ村ってとこに先生の旧友がいるんだけど、その子に部活の話をしたら是非来て欲しいんですって。詳しい話は直接話すってことらしいけど。」
チラチラ僕らの表情を見ながら話す先生。たいした性格してるよ、渉を見るとこっちを向いたので頷いておく。僕らの決意は決まった。
「よっしゃ、桜禮高校探偵クラブ、任務開始だぁ!」
そう、僕ら2人は探偵クラブの部員。たいした事件は解決したことはないけど、ミステリー好きな2人は意気揚々と部室を飛び出した。今日が2人で過ごす最後の部室だとも知らずに…。




