スタート
短いです。とても待たせてしまったのに短いです。
内容も薄いです。何故こうなった。
ネタが思いつかないのです。
チュン、チュン。
小鳥の鳴く声がする。
海人は耳を疑う。彼の部屋では小鳥の声など聞こえないためだ。
目を開けると、見知らぬ天井があった。
「……?」
体を起こそうとするが気合が足りず、首だけを左に動かした。
見た先には襖があった。海人の家にもあるが、自分の部屋と繋がる襖などない。
反対側に動かす。
そこには開放された障子と薄暗い空があった。
「!?」
今度こそ体が起きる。
自分の部屋には襖も障子もない。窓はあり外は見えるがカーテンがある。カーテンを閉め忘れることもなければ、カーテンを取ることもない。
海人はぐるりと周りを見る。
海人が寝ている布団はベットの上ではなく、畳の上だ。体の正面にも襖があった。後ろには年代物の置物や、『客間』と墨で力強く書かれた巻物があった。部屋の大きさは畳三畳ぐらいだった。
海人は立ち上がって開放された障子のほうに行き、腰掛けた。
庭かどうかはわからないが、それなりに広いスペースに盆栽が並べられていた。
しばらく風に当たっていた。
ふと気づいて服装を見る。
どうやら着物のようだ。このご時世には珍しい。海人の服装は盆栽の近くに干してあった。つまり夜からあそこに干してあるようだ。乾くのだろうか。
干してある自分の服を見ていたら足音が聞こえてきた。足音のした方向に顔を向けてみる。
そこには道案内した少女が着物姿で立っていた。
「君は……」
「よかった。起きたんですね」
そういって笑顔を見せる。
「あ、あぁ……」
その笑顔に一瞬見とれてしまった海人だが、何とか返事を返す。どうやらここは彼女の家のようだ。
「お父さんとお母さんに、君が起きたって言って来るね」
そういうと彼女はそのまま引き返していった。
海人は客人らしく客間で待つことにした。
しばらくして、少女の父らしき人がやってきた。母らしき人物はいない。
海人はその顔に見覚えがあった。それもそのはず。その男は海人の前でデバイスを落としていった人物だったのだから。
男は胡座になり、海人に自己紹介をする。
「私は春巻銀二。隣にいるのが娘の琴美だ」
「よろしく」
琴美は微笑んだが、銀二は愛想笑いもなかった。
「お前は?」
「広崎海人。精霊人間高校の一年生です」
「広崎って……! もしかして広崎達也会長の弟ですか!?」
琴美が前かがみになって聞いてきた。海人は少し目のやりばに困る。
「琴美、あとにしてくれ。今は大事な話があるんだ」
琴美が渋々元の体勢にに戻る。海人はホッ、とした。しかしすぐに気を引き締め、銀二の次の言葉を待つ。
「広崎君。君は何故、あの公園で倒れていたんだ?」
ストレートに聞いてくる銀二。海人は起こったことをすべて話した。たとえ信じてもらえなくても。
「はい、それは―――――――――――――」
自分の家の玄関から始まった出来事を海人はすべて話した。
これを聞いた銀二は呆れるでも、驚くもしなかった。ただ一言、
「よし、病院に行こう。今電話を――――――――」
「待ってください! 予想はしてましたが、実際に言われるとすごい惨めになります!」
案の上の反応だった。しかし銀二はすぐに態度を改め、海人に問いかけた。
「冗談だ。本来なら拾った時点で病院に行かせるからな。こっからが本題だ。広崎――――いや、海人君、君は黄金のような色の何かを気を失う前に見たんだね?」
「はい、その通りです。その後、背中の痛みも消えました」
この答えを聞いた銀二は目つきを鋭くしさらに問う。
「君はそのとき、デバイスを持っていたかね?」
「はい。上着のポケットにあなたが落とした物を一つ」
「私が落とした物?」
銀二にはぶつかりそうになった時のことがわからないらしい。そのことを説明すると、
「おお、あのときか。あの後、デバイスがなくなった時にはどうしようかと思ったな。……って、もしかしてあのデバイスか! まさか!」
そういうと銀二はいきなり部屋から素足で庭に出て、海人の上着のポケットをあさりだした。
しばらくして、銀二が戻ってきた。しかし、その顔はさっきよりも険しい。
「もう一度聞く。持っていたデバイスは私が落とした物だけだったか?」
海人は威圧感に押されながらも何とか口にする。
「は、はい。近くに壊れた違法改造デバイスがありましたが、持っていたのはそのデバイスだけです」
「なんてことだ!!!」
いきなり銀二が畳に拳を叩きつける。隣では、琴美が、まさか・・・・・・と言った表情で海人を見つめていた。
「ど、どうしたんですか、いきなり」
いきなりの行動に海人はやや引き気味だ。しかし、そんなことはお構いせず銀二は海人に再度尋ねる。
「もう一度だけ聞く。ポケットの中には私が落としたデバイスが入っていたんだな?」
「さっきからそういってるじゃないですか。一体何なんですか。そのデバイスに何かあったんですか」
さすがに海人の我慢も限界が近いようだ。
銀二は決意し、海人に話し出す。
「海人君、君は『契約者』になったんだ。黄金の色の何かが出てきたとき、何か声が聞こえなかったかね?」
「聞こえました。確かに契約何とか、と言っていました」
「君は『覇王』と契約した。『覇王』と契約した者には莫大な力が与えられる。背中の痛みが消えたのはそのせいだ。『覇王』と契約した者には強靭な生命力と驚異的な回復力も与えられる。普通の刃物で刺されたぐらいの傷ならすぐに回復するだろう。インフルエンザには今後一切かからないだろう。ただし、例外もある」
「例外?」
「心臓や脳に物理的な致命傷を負った場合や魔法を使っている場合だ。心臓や脳に致命傷を負った場合、契約者を生かすために莫大な力をすべて当てる。安静にしていれば二、三で直るがな。その間は魔法が一切使えない。それに痛みも続くから地獄を見るだろう」
聞いた海人は顔を青くする。生きることが出来るのはうれしいが、死ぬほどの痛みを味わうのは誰だっていやに決まっている。
「もう一つ、魔法を使っている時に傷を負うと直るまでに普通の人ぐらいの時間がかかる。そのときに心臓や脳に致命傷を負えば普通の人間と同じように死ぬ。理由はわからない。魔法を使うときには注意しろ」
日常生活には何の支障も無い。むしろ怪我が速く治るからどちらかといえば便利である。
「また魔法を使うときにも注意しろ。莫大な力を手にしたため魔法の威力が桁違いに上がっている。レベル一の魔法がレベル七になるぐらいにな」
「なっ!」
これでは海人は魔法体験場に行くことは出来なくなった。レベル一がレベル七になるほどなんて考えただけでも恐ろしい。
「訓練を積めば加減も出来るようになる。そして新米の契約者を成長させるのが俺らの勤めだ」
「じゃあ……」
「そうだ。俺がお前を強くする。今後お前は様々な奴らに追われることになる。お前の力を欲する者、お前の力を妬む者、お前から『覇王』を奪おうとする者など、お前を狙う奴らは世界中にいる。そいつらから契約者を守ると同時に、強くするのが俺らの役目だ。数は少ないが、世界中に仲間はいる。一種の保護組織だな」
彼らに名前は無い。だが彼らの結束は固い。
「と言うわけで、お前をこれから鍛えるのは俺だ。改めて、俺は春巻銀二。お前の指導官だ」
「私は春巻琴美。アシスタントさせてもらいます」
「俺は広崎海人。これから指導、よろしくお願いします」
改めて自己紹介をした三人。
海人が『覇王の契約者』として一歩踏み出した瞬間だった。
こんなつまらない回を読んでいただきありがとうございます。
次回の更新がもしかしたら二、三ヶ月ぐらい後になるかもしれません。やる気しだいではこのままということもあるかもしれません。
すみません。




