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領域展開!AI大量投稿時代の信頼圏

多量のAI作品のあふれる世界で、信頼のもてる人達の場が必要じゃないかな

とつくってもらいました。

活動報告、兼、現場記録。


午前二時の新着ページは、白い。

画面の向こうで霧が流れ、タイトルと作者名が滲んで、行と行の境目が消えていく。更新通知は鳴りっぱなし。似たような熱量、似たような導入、似たような宣言。指先でスクロールするたび、誰かの声が誰かの声に重なって、顔のない行列になった。


私はその霧の中で、ひとつだけ違う揺れを見つける。


本文は整っている。整いすぎている。

けれど、行間に残る温度が噛み合っていない。昨日までの語尾と、今日の息継ぎがずれている。署名の形だけ真似たみたいな、薄い膜。偽の気配。触れると指先にざらつきが残る。


残穢だ。


私はキーボードから手を離し、深く息を吸った。

通知欄の点滅が、遠くなる。


「――帳、下ろす」


画面の端から黒い幕が走る。

新着の霧を切り分けるように、境界線が引かれた。外側の喧噪はまだうるさいのに、内側だけ音が低くなる。タイムラインは暴れているのに、ここだけ紙をめくる音が聞こえる。


私は机の上に指を置く。

紙の感触が、指先に立ち上がる。次の瞬間、私の前で文字列が重みを持った。


「領域展開――信頼圏」


一束目を引く。角の印が爪に触れて、書いた手の癖が返ってくる。

二束目へ手を伸ばすと、左手側で釘が鳴った。送信時刻の札が揺れ、細い糸が端末の痕へ走る。

床に落ちた影を追えば、配送経路の線が途中で折れ、公開欄から限定配信へ不自然に跳ねていた。

見上げると、札がひとつ、遅れて鳴る。――「未検証」。


文はここで、来歴ごと立つ。


「呼んだよ、監督」


返事はすぐ来ない。

机の端で、隔離箱の蓋がわずかに震えた。

白い紙片が一枚、また一枚とめくれ、空中で折れて耳になる。細い尾になる。硝子玉の目が、最後に青く灯る。


狐が、跳ねた。

私の式神。補助監督。


「北側の束、昨日との差分を」


狐は鼻先で原文をなぞり、残り香みたいな擦れを拾っていく。語順の入れ替え、句読点の癖、急に増えた断定。人が推敲して生まれる揺れと、外から貼り付いた揺れは、残り方が違う。

しっぽが止まり、硝子玉の目が一度だけ細くなる。狐は疑わしい断片をくわえ、隔離箱へ落とした。


カチン。

透明な箱に、細いひびみたいな文が沈む。


「これは保留。経路照合待ち」


了解、と私は頷く。

次の束。次の行。次の擦れ。

狐が残穢を読むたび、壁の糸が張り直され、札の鳴る順が変わる。

私は差分を拾い、箱の蓋を閉じる。開く。閉じる。


外ではまだ、霧が厚い。

新着欄には新しい行列が押し寄せ、名前とタイトルがぶつかって、また輪郭を失っていく。

でも帳の内側では、一本ずつ線が戻る。

誰が置いた文か。

どこを通ってここへ来たか。

どの札を付けて読めばいいか。


戦う相手は人じゃない。

人の形をした何かでもない。

視界を奪うノイズだ。


私は次の束を開く。

狐が残穢を読み、私は差分を確かめ、怪しい欠片を箱へ送る。

祓う。

ただ、祓う。

次の頁を開く。


やがて、最初に引っかかった一作が机の中央に残った。

署名は生きている。経路は切れていない。文脈札も噛み合っている。

私はそれをそっと持ち上げ、帳の境界まで運ぶ。


外の霧は完全には晴れていない。

それでも、手渡せる場所はできた。


「ここから先は、あなたが決めて」


私は作品を差し出す。

読むか、見送るか。信じるか、疑うか。

帳の縁で、狐の尾が一度だけ揺れた。


元ネタはあえていいませんが、思っていたんのとちがうかも

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