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84話 アメリカのSSランクパーティーとバチバチになりましたけど!?



 メアリーに一通り豪邸内を案内されたんだが、色々とヤバい……

 家の中に映画館がある理由も分からんし、庭にバスケットコートとテニスコートが二面ずつある理由も分からん。

 プールなんて4つもあるようだ……っていうか、日本の家に比べて全ての部屋がデカいし、天井も高くて少し落ち着かない。



 ザッと建物内を案内された後、ドデカ過ぎるリビングダイニングに『VISITORS』の最高戦力であるSSランクパーティーの『STRANGERS WITH ATTITUDES(略称S.W.A)』のメンバーが集まっているというので、俺、雪乃ちゃん、彩音はリビングへと向かう。

 俺は桐斗の事は姉夫婦にお願いしているので、問題は無い。

 一応、俺達の家族用にラミレスが用意してくれている専属のレベリング済SPも、俺達の邪魔にならないよう遠巻きに護衛してくれているしな。


 英語の喋れない俺の為に、同時翻訳が付与された不思議マジックアイテムを渡してくれたメアリー。

 美人で巨乳なだけでなく、随分と気の利く女性のようだ。

 コレでアメリカ人のべしゃりが日本語として理解できるし、俺の発した言葉はどういう仕組みなのか英語に変換されて発される。

 何故こんな便利魔導具を面談の時にして来なかったのかと聞くと、コレは超貴重な魔導具な為、国外への持ち出しは固く禁じられているという。



「やぁ、ユーキ。ステイツへようこそ。

俺は『VISITORS』所属のSSランクパーティー、『STRANGERS WITH ATTITUDES(略称S.W.A)』のベイツだ。

パーティーでは前衛で剣士をしている」


「そうか。『ガチ勢』で荷物持ちをしているユーキ・カミシロだ。

よろしく…


…所で、ベイツの探索者前の職業は何だ?」


「ん?探索者になる前か?

バーガーショップの店員だが」


「ふぅん…道理で立ち姿が隙だらけな訳だ」


「?立っているだけで、隙だらけも何も……うぉぉっ!」



ズテーン!



 ベイツがド派手にすっ転んだ。

 俺が彼の足を払ったのだ。


 ベイツは表情を険しくしながら立ち上がる。

 俺はまた足を払う。

 彼がまたひっくり返る。



「テメェ!ユーキ!

俺達はコレから協力するんじゃねえのか!?クソが!」


「あはははは!ベイツも転ばされた!

私もトーキョーでユーキに36回転ばされたわ!」



 ベイツが俺に殺気を放った瞬間、メアリーが楽しげに笑いながら俺に転かされた事をカミングアウトした。



「申し訳ないな、ベイツ。

先ずは君らの基本的な体捌きを試させて貰った。

君は普通の素人よりも動けるようだが、バランスがめちゃくちゃ悪い……」



シュッ……パシリ!



 ベイツに話しかけている最中、猫耳付きのヘッドホンをした眼帯美少女が見え見えの予備動作でナイフを投げて来た。

 セミロングのパツキンにはピンクと水色のメッシュが入っており、ミニスカから伸びるほんの少しムチっとした太ももが何とも魅力的なアメリカン美少女である。


 俺は投げられたナイフの持ち手をパシリと掴むと、眼帯少女を窘める。



「君、今のが不意打ちのつもりなら、相当ぬるいぞ?

予備動作、初動、スローイングの動作の全てが大きい。

投げる時に足を踏み出すのも頂けない。

不意打ちならこうしないと」



シュッ…カコン!



「……!!」



 俺がノーモーションで異空間収納から取り出したピンポン玉を投げると、眼帯少女はおでこにピンポン玉が当たるまで反応出来なかった。


 他の2人のメンバーも目を見開いて微動だに出来ずにいる。

 俺のノーモーションピンポン玉投げを目で追いきれなかったのか……やれやれ。



「眼帯娘ちゃん。君や他の連中の欠点は、無意識下でも素早いシフトウェイトが可能な体勢を取れるよう、基礎訓練をしていない事だ。

常に最小モーションでの攻撃が可能な体勢でいれば…」



ヒュンッ…パシリ!



「ハイ遅いぃいい!動作も見え見えぇぇえ!

小学生でもキャッチ出来るぅぅう!

ザコ!お前、マジでザコ!」



 性懲りも無く不意打ちナイフ投げをした眼帯娘ちゃん。

 俺は先程より大きなモーションでパシリとキャッチすると、メチャクチャ煽って見せた。



「つうか、SSランクパーティーがここまで体の動かし方が悪いとか笑えねえなぁ?

先ずは俺と雪乃ちゃんが……」


「…って言った…」



 俺が思い切り上から『S.W.A』のメンバーに手解きの打診をしようとすると、眼帯娘ちゃんがブツブツと呟き出した。

 アメリカにもこの手のオタっぽいインキャが居るんだな…



「ふぇぇえ〜ん!ザコって言ったぁぁぁ!ミュイはザコじゃないのにぃぃい!」



 何だコイツ!?ギャン泣きしたぞ?

 床にへたり込んで泣くとか、ガキじゃないんだから勘弁してくれ。

 それに、黒いレースの下着も丸見えだぞ!?



「それは申し訳なかった。

ザコじゃなくてクソザコだったな」


「いゃぁぁぁあ!!ミュイはベイツから強いって褒められたのにぃぃぃい!」


「もう、分かった、分かった!はいはい、つよいつよい。

もう、面倒いからこの眼帯娘は放置で。

で、さっきから俺に殺気をぶつけてる君、軽く遊んでやるから庭へ移動しよう」



 面倒臭い眼帯娘を放置する事に決めた俺は、ベイツに足払いした時から俺に殺気をぶつけて来ていた大柄小太りのスキンヘッドに声を掛けた。

 変わらずピリピリとした空気が漂う中、メアリーが俺の前に進み出て口を開く。



「ユーキ、庭は綺麗に手入れしているから、メチャクチャにされると庭師が可哀想よ。

それよりも地下のトレーニング場に行きましょう」



 確かにこんな豪邸の庭となると、管理が相当大変だろう。

 此処に来る時にチラッと庭を見たが、庭に植えられている木々は綺麗に整えられた感が有ったし、芝生も刈りそろえられていた。

 噴水やプールなどに被害が及ぶのも避けたい所だ。



 俺はメアリーの提案に従う事にした。

 この別荘には頑強な訓練場が併設されていると言うので、メアリーや『S.W.A』のメンバーの後について行く。

 因みに、ミュイとか言う猫耳ヘッドホン眼帯娘は未だ泣いているようで、パーティーのもう1人のムッチリした体型の女性に慰められている。


 さて、事前にメアリーに頼まれていた『S.W.A』の基礎トレに向けて、先ずは全てのメンバーに危機感を持って貰いますか。



◆◇◆◇◆



「何だ?このスポンジで出来た棒は?」



 俺が手渡した蛍光イエローのスポーツチャンバラ用の長剣を見て、スキンヘッドは訝しげに問いかけて来た。。



「それはスポーツチャンバラという競技で使う長剣だ。

3日後に一緒にダンジョン攻略をするのに、模擬戦なんかで怪我をさせてしまう訳にいかんからな」



 俺の言葉を聞き、スキンヘッドの小肥満は顳顬をヒクつかせてやがる…

 俺と対峙するのに怒りに駆られた状態は頂けない。

此処は少し低姿勢に行かねば。



「済まない。君が怪我をすると決め付けている訳ではないんだ。

万一の事があったらマズいから、コレを使って模擬戦をしよう。

ルールは簡単。先にこの長剣で相手の体の何処かを切り付けた方が勝ち。

審判はメアリーにお願いしよう」



 俺が詫びた事でスキンヘッドは少し落ち着いたようだ。

 しかしスキンヘッドのヤツ、体に力を入れ過ぎてんな…



「では始め!」



 メアリーの合図と共に、俺は長剣を上にフワリと放り投げた。

 スキンヘッドは投げられた剣に視線を向けた。



 隙あり!…つうか、隙しかねえ!



 俺は直ぐにスキンヘッドのサイドに回り込み様に、ヤツの足を払った。



ビダーーン!!



 ド派手にすっ転ぶスキンヘッド。

 俺は弧を描いて落ちて来た長剣を掴み、慌てて起き上がろうとするスキンヘッドのハゲ頭を長剣で一閃。



スパーーーン!!



 一瞬訪れる静寂。そして…



「しょ、勝負あり!」



 遅れてメアリーの試合終了コールが響いた。



「ま、待てや!卑怯だぞテメエ!」



 スキンヘッドが顔を真っ赤にして物言いを入れて来やがった。



「何が卑怯なんだ?

剣を放り投げたらダメなんて事前に決めて無かったし、剣以外で相手の身体に触れてはいけないという取り決めも無かっただろ?

それより、模擬戦中に相手から目を逸らした自分の不甲斐なさを恥じるのが先だろ?」



 俺の反論にスキンヘッドが先程よりも一段階、顔の赤みを増してプルプルと震えている。



 ともあれ、ヤツが納得が行かないようなので、スキンヘッドと再試合をする事に。

 そして、今度は小細工無しに瞬殺してあげたのだった。



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