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母が王太子妃になりまして。  作者: もっちりワーるど
4/12

色々考えて婚約者を選んだので

自分の将来って、自分に責任があるから難しいですよね。


「イヴ様!」


「メリー。」


自室に戻ってくると、侍女のメリーが私の元にやってきた。

彼女は、母が王太子妃になることが認められた日に、私付きになった新人侍女だ。

赤毛のおさげをぴょこぴょこさせた、小柄な少女。年は、今年で13だと言っていた。


「王様王妃様方は、どんな御用でしたか?」


「メリー、その質問、あたしだからいいけど、他の人にはしちゃだめだよ?」


「?」


私の言葉に意味が分からないとでも言いたげな顔なので、私は苦笑しながら部屋のソファーに座った。


「主人の許しもなく、主人の事を聞くのはダメなの。一流の侍女になるんなら、覚えておいてね。」


「はい。」


メリーは素直に頷いて、笑顔になった。


「で、さっきの話しなんだけど。」


「結局話すんじゃないですか!」


「まぁね。ちょっと手伝って欲しいのよ。」


「手伝いですか?」


「この3人の調査。」



メリーに、私が持ってきた書類を渡すと、受け取ったメリーは書類を読んで目を輝かせた。


「カッコいい方たちですね!イヴ様~、結構面食いなんですね~ふふふ~。」


ニマニマしながら、私の顔を見るので、ため息をついて頬杖をついた。


「あたしがそんな人たちとお近づきになれるとでも思うわけ?」


「えーーー!!でも、王太子妃の娘さんですもん!これからカッコいい男性、沢山寄ってきますよ、きっと☆」


ばちんとウインクをされて、その裏表がない態度に、自然に口角が上がった。

…王太子妃の娘…か……。

話を戻すことにした。


「この人たちの事、もうちょっと詳しく調べてみてくれる?このプロフィールじゃ、人となりが全く分かんないの。些細なことも確実に調べてきて。好きな場所とか、癖とか。あぁ、交友関係もね。」


「分かりました。いつまでに調べ終えればいいですか?」


「早ければ早いほど。」


「分かりました。少し人員を使い調べます。」


「お願いね。」


メリーに頼むと、彼女は笑って頷きました。

そして、書類を私に返すと、お茶の用意をし始めた。

何故、調べる相手の書類をすぐ返したのかって?彼女の得意技は、瞬間トレースだからだ。

私と生活を共にし、信頼関係が出来てくると、彼女はこの能力を私に打ち明けてくれた。


私はメリーが入れてくれた紅茶を飲みながら、考える。




前世の私は、15歳の時、将来の事を考えたことはあったかな…。


たしか、漠然と教師っていいなって考えてたぐらい。

子どもが好きだし、成績も悪くはなかったし。

大学を選んで、進学して。

就職して、趣味が充実してきて。

友達がいて、お金も困らないぐらいはあって。



現世の私はどうしよう。

なにがしたいんだろう。



花屋をやってたけど、やりたいことかって言われたら違う。

幼い頃から図書館での勉強も、好きなことかと言われたらそれも違う。

全部、自分のことなのに、自分の為に生きていない。

だからと言って、したいこと、やりたいことは?って聞かれても、答えはない。夢も思いつかない。

前世はあんなにやりたいことが浮かんだのに。


宙ぶらりんの今の自分に軽く嫌気がさしたが、すぐに気持ちを切り替えた。




今のあたしは、世界が狭すぎる!

色々知ろう!この世界の事を!

いいチャンスだわ。

まずは、婚約してくれる相手を調べて、それからその人と交渉する。

話しがまとまったら、いい時期を見計らって、旅に出る。



未来の漠然とした展望を想いながら、メリーに返してもらった書類を眺める。


この人達は、どんな人なんだろう。

私の計画に合う人がいればいいのだけど。




それから、メリーの報告が届き、私は“彼”に決めた。



明日は、その彼と初めて会う日。







さぁ、次話でヒーローを決定しましょう!

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