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ペルソナ  作者: ウミネコ
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第二章『皇製薬会社の闇』第十七話

 入った先は薄暗い明かりが灯っていた。

 ブーン、と奇妙な電子音が鳴って、カプセル状の寝台がいくつも並んでいる。

 裁也はこの奇妙な部屋を、恐る恐る歩きながら奥へと進んでいく。

 カプセルの中には、青白い液体が充満しており、人間が浸されていた。

 どう見てもまだ生きているように見えるが、死んでいるのだろうか?

 まるでSFの映画に出てくる、人間を眠らせ続ける冷凍カプセルのようだ。

 ――ここは墓場だ。

 入っている棺桶が、土中か水中かの違いだけで、ここは紛うことなき墓地だと裁也は感じた。

 不気味な思いに囚われ、異界に足を踏み入れた裁也。

 全く理由の解らない新世界を、慎重に、手探りで進む。

 何が起きてもおかしくない。

 そう思った矢先、ヒュンッ、と裁也の頭上を何かが擦過した。

 バリン、と大きな音を立て、カプセルを割った。

 ――矢か。

 ジェラルミン性の矢がカプセルに突き刺さっていた。

 カプセルから液体が溢れだしたと思うと、矢が連続して飛来してきた。

 どうやら裁也は招かれざる客のようだ。

 しかも飛んでくる矢からは、殺意がこもっている。

 裁也はしゃがみ、獣が這うように疾走した。

 カプセルを盾とし、次々と場所を移動していく。

 駆けながら裁也は敵の戦力を分析する。

 敵はおそらくゼロじゃない。

 この場所を知られたくない、何者かの仕業だ。

 そして敵は単体。一人のみだ。

 複数いれば、矢の数も多くなるが一定本数しか飛んでこない。

 飛来する矢の方角もバラバラで、敵も移動しながら裁也を狙っているようだ。

 ――なら、敵をあぶり出すまで!

 裁也は立ち上がり、分子刀を構える。

 そして不可視の刀身を最大限伸長し、一気に横に薙ぎ払った。

 波状となった斬撃は、一斉にカプセルを切断し、中身の液体を床にぶちまける。

「…………ッ!」

 敵の戸惑いの吐息が聞こえた。

 液体の一部が、相手の衣服に付着し、居場所を示す目印となる。

 見えない敵は、それに気づかないようで、次々と矢を放ってきた。

 ――居場所が分かれば、もうこっちのものだ。

 タイミングを見計らい、裁也は飛び出した。

 地面に転がっている矢を手に取り、一足飛びで移動していく。

 連射される矢を辛うじて避けていき、目標に向かって駆ける。

 矢が正面から来たので、射線を捉えた。

 青白い液体を目印として、裁也は持っていた矢を投擲した。

「――あぐっ!」

 放った裁也の手から、獲物を捉えた実感が伝わる。

 うめき声を好機と見て、裁也は一挙に敵との間合いを詰めていく。

 足をやったようで、敵はその場所から移動しない。

 床を蹴り、カプセルを踏み台として、裁也は宙へと飛ぶ。

 苦し紛れに放たれた敵の矢はあらぬ方角へと飛び、裁也は敵ともつれ合った。

 マウントを取り、凝視すると、因縁の相手の姿格好。

 裁也は怒りに身を委ね、黒仮面を掴み地面に叩きつけた。

 頭を打った相手は、昏倒したようで、腕を天へと伸ばした後、パタッと落とした。

 ――この忌々しい仮面を剥いでやるッ……!

 裁也はゼロもどきが意識を完全に失った事を確認し、フェイスヘルムを脱ぎとった。

 そして目を凝らし、ゼロの正体を見定める。

「…………ミカ、ド?」

 そう。

 相手は行方をくらませていたミカドだった。

 ――ミカドが、ゼロだった……?

 いや、そんな馬鹿な、と自問自答する。

 だがコイツは間違いなく、裁也と結維が捜していた皇帝人だ。それは間違いない。

 真偽を確かめたいが、ミカドは気を失っていて、時折、うめき声を漏らすだけだった。

「……ミカドはゼロじゃない。アイツはもっと身長があったし、ヤツ独自のプレッシャーも感じなかった……」

 となると、敵はまだいる。

 裁也が周囲を見回した瞬間――



「その通りよッ!!」



 と、甲高い声が響いた。

 次いで、ライトアップ。

 スター一人に焦点を当てるように、連続してライトが点灯していく。

 そして明るく、この場にそぐわないポップな音楽が流れてくる。

 裁也は、光の明るさに顔をしかめ、半眼で突然登場した人物を見る。

 竜ヶ峰高校の制服を着ていて、腰まである長い黒髪。

 端正な顔立ちを、これから起こる遊園地のアトラクションを楽しむ子供の様にしている。

 堂々とした振る舞いは、彼女が普段人の上に立つ人間だと示唆していた。

 裁也は色んな意味で、これから名乗るだろう少女の名を、生涯忘れる事はないと思った。

「私は皇月夜すめらぎつくよ! 皇の一族を束ねる、天才美少女なんだから!」

 アイドルのように、ピースマークでポーズを取る自称天才美少女。

 日本を牛耳るトップ皇月夜と、掃除屋であるフィクサー石杖裁也は、こうして出逢った。

この作品の敵はゼロ。

僕の作品ストックもゼロ。

……土日、書き溜めてまた更新します……。

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