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ペルソナ  作者: ウミネコ
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第二章『皇製薬会社の闇』第九話

「石杖……君。どうしてここに?」

 裁也は結維を一瞥したが、彼女の質問には答えなかった。

 ミカドを見据えたまま裁也は、

「もう一回訊くぞ。ミカド、どうしてお前がここにいる?」

 と、狼狽えている彼に訊いた。

「あわわわわっ……! タ、タッチャン、こ、これは……!」

 タッチャン?

 結維は裁也とミカドを交互に見る。

「? 何、二人は知り合いなの?」

 まあな、と裁也が答えるとミカドは、

「じゃ、じゃあ姐さん! オレは、今日はこれで失礼します!」

 と言って、そそくさと退出していった。

 まるで嵐のように去っていく彼を、結維は遠巻きに見ていた。

 カフェに裁也と結維が残る。

「……で、石杖君? どうして貴方がここにいるわけ?」

「……別に。偶然だよ」

 邪魔したな、と言って裁也も去っていく。

 一人残された結維は、ミカドの分の料理も食べる羽目になった……。



 翌日の昼休み。

 結維の携帯に、身知らぬ番号からの着信。

 誰だろうと思って出ると、

『姐さん!』

 と、声が聞こえた。

「ミカド君!? よく私の番号解ったわね!」

『へへっ。言ったでしょ? オレ、IT系強いって。実力派ッス!』

「そ、そうなんだ……」

 結維は若干、ミカドに怖いものを感じたが、自分の取り越し苦労だと思い、彼に電話をかけてきた理由を訊ねた。

「で、どしたの? 急に」

『ああっ! ヒドイッスよ! 姐さんがゼロの事、知りたいって言ってたから、オレ、わざわざ危険を承知で電話をかけたのに!』

「危険って、何が?」

『それは……』

 結維が訊くと、ミカドは押し黙った。

 やや間が空くと、声が聞こえてくる。

『……姐さん。近くに、タッチャンはいます?』

「タッチャン? ――ああ、石杖君の事か」

 結維は屋上をグリルと見回す。

 ……あ。いた。

 クラスメイトと混じり、昼食をとっているが視線はこちらをロックオンしている。

「近く、じゃないけど……いるね。周りの皆は気付いてないみたいだけど、時たまこっちを鋭い目つきで見てる」

『むむぅ……。流石の兄貴だ。じゃあ、この会話も危ないッスね』

「え、そうなの? 遠くにいるから聞こえてないと思うけど……」

 疑問を投げると、ミカドは電話口で『チッチッチッ』と舌打ちする。

『結維の姐さん、裁也の兄ィをナメたらいけやせんぜ。あの人、猛獣並みの勘の鋭さを持ち合わせているんスから』

「そうなの?」

『そうですよ。この電話も、相手が誰か分からないだろうけど、おおよその見当はつけてますよ、きっと。――あの人は、貴女に関しちゃ、とんでもない嗅覚をお持ちだから』

「ふーん……。ねえ、彼って、そんなに私の事愛してるの?」

『へっ……? 愛……?』

「そうよ。彼、私の事ばかり見てるんだもの。興味のない人間にはそんな事しないでしょ、普通。だから、石杖君って私の事愛してるのかなって」

 言った瞬間、通話口から『アーッハッハッハッハ!!』と、爆笑が聴こえてきた。

 思わず結維は、電話から耳を離す。

 笑いは数十秒間続き、収まった頃に結維は言った。

「……ねえ、今のそんなに面白い事?」

『……ヒィ……ヒィッ……! だ、だって、タッチャンが、姐さんを愛してるって……! お、面白すぎですよ! いやぁ、やっぱり姐さんは最高だ! アハハッ!』

「むぅ」

 ムスッと結維は拗ねる。

「もう、じゃあ用ないなら切るよ! 午後まだ授業あるんだから!」

『ああッ! ま、待って! 用ならあるんすよ!』

「何っ!?」

『――ゼロの事、教えるんで、放課後、予定空けといて下さい』

「え……? いいの?」

『まっ、約束ですからね。オレが入手した極秘情報、お教えしやすよ。それと――』

「?」

 まだ何か用があるのかと、結維は黙って先を促す。

『――タッチャンが結維姐さんに抱いてる感情は〝愛〟じゃありません。〝贖罪〟です』

「えっ……? それって――」

 訊ねようとすると『じゃ、また後で電話しやす』と電話が切られる。

「ちょ、ちょっと!? もしもし!? もしもーし!? ……何よ、一体……」

 結維は裁也をチラッと一瞥する。

 彼は渋面を作って結維に寄越した。

 ――愛ではなく、贖罪――

 結維はギュッと携帯を握り締める。

 屋上を一陣の風が、通り過ぎていった。

……平日に投稿するのも難しくなってきました。

なるべく上げるようにしますので、時折遊びに来てください。

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