表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ペルソナ  作者: ウミネコ
PR
27/77

第二章『皇製薬会社の闇』第八話

「いやぁ~、災難だったスねぇ~」

「ええ、そうね。ありがとう。おかげで助かったわ」

「いえいえ、結維姐さんに感謝されるだけでも、恐縮っすよ」

 結維とミカドはいま、駅前のカフェにいる。

 あの時、ミカドが機転を効かせなければ結維は今頃、警察に厄介になっていた可能性が高い。

 親や学校への連絡も入り、最悪の展開、ネットシンガーYUIとしての活動も断たれていたかもしれない。

 そう考えると、目の前の少年に感謝しきれない。

「そういえば、ミカド……君だっけ? よくあの場であんな事、考えついたわね。凄いわ」

「いやぁ、自分、YUIのファンなんで、こりゃあヤバイって思いましたよ。あとはもう、でまかせッス。でもでも、あの若い警官があねさんのファンで良かったっスね」

「そうねぇ……。本当に、偶然ってあるんだなって思ったわ……」

 結維は先程の出来事を振り返る。

 ミカドが、YUIだYUIだと騒ぐので、あの若い新人警官も自分もファンだと言ったのだ。

 そこからミカドが交渉を開始。

 YUIのサインをあげるから連行だけはしないでくれと警官に懇願した。

 結維もそれぐらいだったら、お安いご用だったので、結局三人で中年警官を説得。

 その警官も、娘さんが身内にいるようで、時折、YUIの名前は聞いてたとの事。

 サインを貰えるなら娘も喜ぶと判断したのか、今回は厳重注意で済ますという、寛大な処置で終わった。

 そこから互いの自己紹介をし、助けてくれたお礼をという形で、現在に至る。

 注文したアイスコーヒーを飲みながら、結維はミカドに質問する。

「そういえばミカド君。君、何歳?」

「何スか? 急にどうしたんスか?」

「いや、興味本位なんだけど。結構、遅い時間だから、親とか心配してないかなって」

「ああ、大丈夫ッス。うちの家族、放任主義なんで、多少遅くとも興味ないようだから全然オッケースよ!」

「そ、そうなの……?」

「そうッスよ! それより結維姐さんは? 姐さんも、家族の方、心配してないっスか?」

「う~ん……、実はちょっとヤバイかもしれない」

「ええッ――!? マジッスか!?」

「うん。私の家、一人っ子だから心配してるかも」

「……? 一人っ子、なんすか? ホントに?」

「? ええ、そうだけど……。どうして?」

「え……あ、いや、ただ雰囲気が何となく、お姉さんとかいるのかなぁ……って。ヘヘッ、それだけっスよ」

 アハハハ、と乾いた笑いをするミカド。

 明らかに動揺している彼だったが、結維は深く追求しなかった。

 微妙に気まずくなる空気を察してか、ミカドが、「あ! そうだ!」と言う。

「姐さん、コレ、お近づきの印に」

「ん? 何々?」

 スッとミカドから差し出される一枚の名刺。

 そこにはすめらぎ製薬株式会社取締役、皇帝人すめらぎみかどと記載されていた。

「へぇ~! スゴイ! ミカド君、皇製薬会社の重役なの?」

「エッヘン! 実はそうなんス。オレ、こう見えても優秀なんスよ~。って、姐さん、よく皇の会社知ってましたね」

「あ、うん。私が所属してる事務所の株主さんだからね、何となく出資者の人って自然と覚えちゃうのよ」

「そうだったんスか? 意外なとこで繋がってましたね~、オレら」

 そうだね、と言って結維は頷く。

 皇製薬株式会社。国内において最大規模のドラッグストアを抱えており、その店舗数も全国に広がっている。

 プライベートブランドを展開し、独自の施設で新薬の研究もし、病院で臨床実験を行っているという噂だ。

 皇製薬のすごい所はそれだけではない。

 皇グループは幅広い事業を展開しており、医療業界はその一端らしい。

 芸能界や警察、各種のエネルギー事業、果ては裏の世界にも精通しているという話で、政治家との癒着も強いらしい。

 噂だと、日本を牛耳っているのは皇の一族だという話なのだが……。

「うんうん。皇君って、いいとこの坊っちゃんなんだね~」

「あ、その言い方は酷いッスよ。出来れば、普通にミカドって呼んでもらいたいッス。――上の名前、嫌いなんで」

 ミカドの表情に、一瞬だが翳りが落ちる。

 結維は、金持ちには金持ちなりの悩みがあるのだろうと察し、解った、と頷いた。

「じゃあ、これからもミカド君って呼ぶね」

「おおっ! 結維姐さん、ありがとうございまっス!」

「うんうん。何か、可愛い弟が出来たみたいだわ」

「マジっすか? うわぁ、嬉しいなぁ! オレ、IT関係強いッスから、困った事あったら何でも言って下さい!」

「本当? じゃあ、いま世間を賑やかしてるゼロの事でも聞いてみよっかなぁ?」

「ゼロ? ゼロっすね! いいッスよ! 任せて下さい! ……オレ独自のルートで調べた結果によると――」



「こんな所で何してるんだ、ミカド」



「――ッ!?」

 ビクッと全身を竦ませ、背後を振り向く。

 そこには何故か、石杖裁也が怒気を孕んだ瞳で、ミカドを見下ろしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ