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永遠の恋人 後編

最終話読んでみてください。少々、長いですが頑張ってください

Map not place 〜神に出逢った瞬間〜     永遠の恋人  後編


 

馬車に乗り込んで不安な気持ちを拭えずにただよりかかることしか出来なくて

言葉を言うのにもこんなに勇気が必要だなんて知らなかった


「ねぇ・・」

「?」

「上手くいけるの?あたし・・・」

「そんなこと俺に聞くな」

「この後行ったらすぐ挙式なんでしょ?」

「みたいだな」

「早く着いちゃうの?」

 

緋琅の袖の裾をぎゅっと握って不安な気持ちを堪えようとするけど発する声全部が震えてるのがわかる


「そんなに嫌なのか?」

「そりゃあね・・・」

「お前はそんなに不安を抱えることはない」


 

そう言ったの同時に緋琅は優しく麻帆の肩を落ち着かせるように抱いた

「不安だよ・・」

「お前の不安は今日の夜には消える」

「え・・?」

「すぐに笑えるから」


「一生一緒だから」

「でも・・・」

「もう何も言わなくていい・・寝てろ。2時間もすれば着く」


 

昨日とは逆に嫌に優しい緋琅。あんな態度取ってたくせに結局、一緒に来てくれた・・。昨夜は遅くに寮に帰ってなきながら荷を詰めたことを覚えてる

剛は何も言わずに寝たフリをしていてくれた


たった2時間という時間があたしのひとかけらの幸せでどんだけ自分が緋琅を想ってるかわかってしまう

 



「麻帆?」

「うん・・・?」

「降りるぞ」

「うん・・」


馬車を降りると、季節相応の寒さが出迎えた。そして表向きはただの神娘なのに・・なぜだか馬車で向かったのは式場だった

これじゃあ神娘になった意味がないような気がしてならなかった


「ここでお別れだな」

「緋琅は?」

「俺は神妃みたいな神々しい役じゃないからなこっちで昼寝でもしてる」

「帰りは?」

「お前の式を見届けたら帰るさ」

「うん・・」



緋琅は手をひらひら振って去ってたけど、こっちとしては縋ってしまいたくなる

仕方なく馬車の運転手の道案内について行くといわゆる三途の川みたいな綺麗な花畑で、そこに場違いのような大きな建物が建っていた

「綺麗なのに・・・」

 

綺麗なのに果てしなく憎い



「愛姫さま」

 

背後から気配もなく中年の女のような声が堕ちてる麻帆に届いた

「はい!?」

 

振り返ると声よりもずいぶんと年配だろうか、色白の病的な女性だった。質素な格好なその者は麻帆の手を引きながら走り出した

「こちらへ」

「えっはっ!?なんでなんで引っ張るの!?」

「お急ぎになってください」

「はぁ!?」


女は思わぬ速さで慣れたように城の中に麻帆を連れて行った。そして女がやっと麻帆の手を離す頃には麻帆の手首には紅い跡がついていた



「もう離してくださいっ」

「落ち着いてください」

 

女はさっきの態度からひるがえし、今度は床に平伏しながら話し始めた。しかし麻帆はどうにもへそを曲げたままでちゃんとその者の話に耳を傾けようとはしなかった


「私は明日久世紀最後の末裔・・瀬陽(ぜひ)と申します」

「・・明日久?そんなのあったような・・なかったような。ってか末裔!?」

「私の祖父は神であった圭神、その妃であったのが祖母の瑪音であります。しかし祖父母はもうこの世にはおりません。両親も昨年他界し私ももう病魔に犯されています」


 

そのくせにあんなに暴走してあたしをここに連れてきたわけ?ちょっと絶対嘘よ・・あと5億年くらい平気で生きそうじゃない

「愛姫さま。あなたはもう全てを解っておられる」


「神が誰かはわかりませんけど・・」

「しかし自分が何者かはわかっておられるんですよね」

「お嫁さんになるとか」

「えぇそうなんですが・・式の準備はもう整っているのですが」

「はぁ・・・」

 

どこまでも果てしなくいい加減で強引な話じゃない。じゃあ何?何の準備をしてるのよ!?

「あとは愛姫さまの準備のみでございます」

「あぁ・・そうなんですか。あの・・いいんですか?」

「何がでしょうか?」

「あたしは神娘に合格したのでここにいるのであって・・・えっと」

「しかし貴女は知っているのですから・・いまさら考える必要はございません」

 

ないんだ・・・ってかここって超いい加減でしょ・・絶対。この分だと神もそうとういい加減だわ・・100%


「そしてあちらの部屋でドレスを着替えていただきます」

「はぁ・・」


 



衣装室らしきとこには多くの女官がばたばたと忙しなく働いていた。麻帆は瀬陽に強引に椅子に座らせられた。そして瀬陽がパンパンと手を叩くと先程まで動いていた女官はその音を聞くと麻帆の元にやってきた。

そして何やら麻帆の顔に化粧をする女官や式で着る服をいそいそと用意したりで何やら先程よりも女官たちは忙しなく動き始めた


「化粧・・するんですか?」

「ええ・・あちらの服を着ていただきます」


 

全てが強引で、全てが流される


「千年前から代々伝わっているこの服を」

 

そう言って渡された服は普通にウエディングドレス。ここって幻の島じゃなかったっけ?だいたい千年前って言ったらアメリカはなかっただろうし

日本は平安時代でしょ?それに大国の中国はチャイナドレスとか?・・・何?何?もうわけわからない


いつの間にか伸びていた長い髪。その髪をアップされてやけに重いピアスを付けられて。その上やりたい放題付けたい放題の純白のドレス胸元には大きな花、そして綺麗な細かい柄のレース。重いドレスはどう考えても引きずらずにはいれなくて、その上無駄にレースが多いベール

百合の華みたいのが多くあしらってある長いリボンが巻いてあるブーケ


「神の方はもう準備が出来ています」

「・・・なんか納得いかないんだけど」

 

そう呟いても、日本語だったからなのか誰も気に留めなかった。瀬陽の発されたある言葉で麻帆は100%納得は出来なくなっていた

「愛姫さま。式場に着きましたら、私が愛姫さまを神の待つ場所まで案内いたします」

「はぁ」

「しかし神と契りをするまでは目を開けてはなりません」

「じゃあ歩けないじゃないですか」

「ですから私がそこまで連れて行くと言いましたでしょう」

「あぁ・・・はぁ」


「帰りはどうするんですか」

「そこはもう神に任せてありますので」


「ほんとうに適当なんですね」

 

毒たっぷりでそう日本語で吐く。もちろん向こうには何もわかりはしないけど・・・そうはわかっていても言ってしまうのは仕方ないことでしょ?



その後、あたしは瞳を開けて教会の扉の前まで来た。そして瀬陽はここで瞳を閉じてくださいと言った。あたしの視界が暗くなるのと同時に目の前の扉が重い音をしながら動いたことがわかった

そして瀬陽に手を引かれながら歩いた・・・。ってかここっていわゆるバージンロードってやつでしょ?そんなとここの変なおばさんと歩かなきゃなんて至上最悪ね・・ほんと涙が出てくる


誰かが何かを言ってる・・その頃にはもう瀬陽は姿を消していた

それは牧師の誓いの言葉かもしれなくてだけど望みの結婚とかじゃないあたしにはただの大切でも何でもない言葉で聞き流して、抑えられない腹立たしさ・・・緋琅に会いたい

 

肩に触れられて頬にキスされた瞬間、あたしはどうしてもやっぱり拒絶してしまった。だって・・・あたしは緋琅をやっぱり忘れられないから

「あのっあたしやっぱり結婚なんて出来ません!あたしには好きな人がいるんです」

 

自分の肩に触れている神の手を払って、麻帆は教会に響く大声でそう叫んだ

 

なのに神はそんなことおかまいなしにあたしを抱き上げた・・そういわゆるお姫様抱っこっていうやつで

「あのっだから」

「俺じゃないのか?」

「えっ・・?」

 

聞き慣れたその人の声で、麻帆は恐々しながら瞳を開けた

「・・・・ひろ・・・?」

「かもしんない」

「・・・・かもじゃ・・な・・いよ」

「驚いた?お姫様?」

「・・・・降ろして」

「何?」


「あたしのことずーっと騙してたわけ?」

「別に好きで騙してたわけじゃない」

「うそ・・絶対に騙してたでしょ?」

「そんなことない」

「じゃあ何!?愛姫ってつけたのも?」

「あぁ・・俺」


「オカリナも?」

「あぁ・・昔母さんが吹いてた」

「じゃあまさかユウさんも知ってたの?」

「あぁ」

「だからあんなにあたしに神の話振ってたわけね」

「それは俺のせいじゃない」



「帰る」

「はぁ?」

 

もう全部いや。あーもう馬鹿みたい・・も〜緋琅に会えたのはいいけど・・もうやだっやだっやだっ!そしてあたしはなんでだかその場にいたくはなくてなんとなく・・重いウエディングドレスのまま教会を飛び出した

 


しばらく赤い絨毯の廊下を走ってるとだんだん息が切れてきた。そして何も考えずに走ったせいか先程は来なかった綺麗な中庭にたどり着いた


そこはたくさんの花が咲き誇り、泉のような池からは噴水が噴出していて・・・ヨーロッパにありそうなそこは今の麻帆には似合わなかった

 

碧い空と綺麗な中庭。そして真白いドレスを着た迷子・・・そして迷子を捜しにきた茶髪の王子


「ってかもうどこよ・・ここ?綺麗が今のあたしにはかなり腹立つんだけど」

 

独りでそう呟いた迷子はとぼとぼ壮大な中庭を彷徨い始めた。そして綺麗な碧い泉に麻帆は持っていた百合のブーケを投げつけた

 

水面に浮かぶ百合の花弁。そして麻帆は池の縁に足をかけた

そして15センチほどの幅のその縁を麻帆は慣れないハイヒールで進んでいく


「もう全部いやっもう最悪・・・」

「落ちるぞ」

「やだっやだっ来ないで」

 

頭のベールを振り乱しながら横を歩く王子に文句を言い続ける迷子=姫

「お前あのブーケ投げるなんてありえないだろう」

           

「それだったらあたしを騙したのもありえないし」

「お前落とすぞ」

「ふ〜ん落とせば?落としてみなさいよ」


「本当に強情お姫さんなことだな」

「ふんっ」

「来い・・・本当に落ちるぞ」

 

手を広げてるけど・・それにはいはいって飛びつきたくない。昨日までのあたしだったら飛びついてた・・けどあたしだってそんな馬鹿じゃないもん

「やだ」

「なんで?」

「だって・・・むかつくもん」

「そう?お前の望みどおりに一緒にいるんだから感謝しろよ」

「しない絶対しない」

「ほんと・・そろそろ妥協したらどうだ?」

「ふんっドラマみたいに上手くはいかないんだから」

「どのドラマを参考にしてるんだよ」

 

しばらく麻帆が歩いてると縁の曲がり角になった。こける兆しもない麻帆に見かねて緋琅は強引に麻帆を自分の元に引いた

「やだっ」

「いいから・・・」


緋琅に抱きしめられて、やっぱり納得いかなくて緋琅の耳元で呟いた

「ドラマみたいにはいかないからね」

「ほぉ・・・ならドラマのような展開にしてやろうか?」

「なになに?」

「じゃあ誘拐してやろうか?」

「はい?」

緋琅が麻帆を抱き上げて城の中の自室に入った。そして大きな白い天蓋のベットに麻帆を投げた緋琅

「ここって緋琅の部屋なの?」

「あぁ100以上もあるうちのひとつだ」

「その言い方ってなんかムカつく長者っぽい」

「うるさい女は黙らしてやるよ」

「ちょなにするかな〜」

「やらしいこと・・・」



「腰・・・痛い」

 

あぁ・・恥ずかしい。結婚したからってそういうことしていいなんて誰がいつ言ったのよ・・・ほんと。初夜っていうよりこれじゃ初昼じゃない

 

だいたいあたしを襲った本人はどっか行っちゃったし



「えー麻帆ちゃんのこと!?」

「そんな大きい声出すな」

「本人はどこにいるの?」

「気絶してた・・なんか結婚焦ったかなぁ」

「少しは麻帆ちゃんのこと考えてやれよな」

「・・・考えとく」

「だいたい麻帆ちゃんだってまだ若いんだろうしさ」

「あぁ15だもんな」

「・・・・・」

「ん?」

「お前ってロリコンだったんだな」

「そうじゃない・・・」

「あっお客さんお客さん」



「カウンターにどうぞ」

 

ユウの案内でカウンターにやってきたのは緋琅がよく知る女とまったく知らない男だった

「あゆ・・・」

「緋琅!?麻帆は?」

「ワケありで寝てる・・そいつは?」

「こいつは來・・知ってた?麻帆が寮にいたとき一緒に住んでたんだって」

「・・・・麻帆になんかしたか?」

「キスした・・」

「・・まぁいい。もう俺の女だし」

「「!?」」

「あぁ俺神だから」

「「・・・・嘘」」

「あっまたお客さんじゃん」



「・・・見つけた」

 

その声にビクっとしたのはもちろん緋琅。剛と歩沙がメニューを眺めるなか慣れたようにその客はカウンターで注文をした

「コフィンもらえますか?」

「・・麻帆〜久しぶり〜」

「あゆさん〜」

「おい麻帆・・」

「・・・・ありがとユウさん」

「麻帆〜?」

「なに?強姦魔?」

「お前夫にそういうこと言うか!?」


「「夫―――!?」」

「あ〜おいしい」

「えっと店員さん。この麻帆が呑んどるやつは強いん?」

「店内で最強だよ」

「へぇ〜じゃあ俺は弱めなヤツ頼むわ」

「じゃあ『レイ』ってやつでも呑んでみてよ・・そちらのお姉さんは?」

「一応そこの二人と違って成人だから麻帆のよりは弱いやつ・・ってか麻帆はなんでそんなに強いのよ」

「わかんない・・・」

「じゃあお姉さんには『エアレイド』」



 ―――1時間後


「・・・すーすー」

「うっうっ・・」

 

うなだれて眠っているのは、麻帆と歩沙・・そして個室に行って寝ている剛。それを眺める緋琅とユウ


「乾杯しようか?」

「そうだな・・」

「じゃあお前の結婚を祝して」


「「乾杯!!」」






 Ending 神流の騙し方



「ってことでした」

「それでこうなったんだ」

「でもお父さん最低だったしね」


「だよね〜あれだもんね・・緋琅ってなんであんなんだろうね?」


 ガチャ


「うわっ出たよ強姦魔」

「てめぇ親父に何ていう口聞いてんだよ」

「あはは〜」


「でも緋琅気をつけなよ。この二人あんたのこと超敵視してるから」

「そうかもな・・・麻帆。だったら親は呑みに行くか」

「どこに?」

「エストランゼ」

「うん・・じゃね。そこのお子様諸君」


「俺の年で結婚・・」

「お兄ちゃんの年で出産だもんね」

「通りで図太いわけだ」




 杞皇15年冬のことでした





 



えっとあの中庭のシーンはどう処理すればいいのかかなり悩みました。本当に麻帆をこかして緋琅と抱き合うっていうのも考えたんですが、それでもちょっとドラマっぽいだろうと思ったのであんな感じになってしまいました。今まで読んでいただきほんとうにありがとございました・・・。これからも遅い遅い更新ですが色んな作品を書いていきたいなと思います

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