邦海の女装癖(?)
日曜日。
邦海は事前に教えてもらっていた家に来てチャイムを鳴らすと、出てきたのは紗夏衣よりも少し背の高い男性だった。
「あ、さなさ…相馬さんに呼ばれたんですけど。」
「聞いてる。あいつ俺の部屋陣取ってるからどかしてきてくれ。」
そういうと家の中に入れてくれた。
そして「俺の部屋は2階の右奥、紗夏衣のは左奥だから」というと階段を指して、自分は違うところへ向かった。
それに関しては特に気にせず、邦海は2階へと上がっていった。
そして教えてもらった通り右奥の部屋に入ると急に壁ドンされた。
「…はい?」
「私の部屋入ってないよね?」
そういう紗夏衣は軽くにらんでいて、まるで怒っているようだ。
何もしていないのに。
「え、入ってないです。」
「命かけれる?」
「え、あ、は、はい…。」
「ん、じゃあいいよ。」
のちにこの時の紗夏衣が一番怖かったと邦海は語る…。
○
所変わりし誠介宅。
誠介は朝早くから友人を呼び、ゲームで遊んでいた。
勿論その中に邦海も含まれる…が、彼はまだ来ていない。
「遅い…色んな意味で。」
カーレースをしていた俊太が眉間にしわを寄せながら呟いた。
「お前が早すぎるんだよ。」
「これまたいろんな意味でか。」
そんな話をしていると、玄関のドアが勢いよく開いた。
邦海本人が来た…と思われたが、そこにいたのは少女だった。
「え、一条こんな可愛い子呼んでたのかよ。」
「呼んでねぇ…森と邦海と、あと星梨奈かな。」
「星梨奈は…こんな髪型じゃねーしもう来てるよな?」
彼女は白色のワンピースに髪型はツインテール、軽く化粧しているようだ。
困惑しまくる2人を見て彼女は苦笑いを浮かべた。
「凄いね、分からないんだ。」
彼女の隠しきれていないイントネーションでピンときた俊太はにやにやして近寄っていくと、いきなり壁ドンをした。
「え?」
「ナンパされたいのか、それ。」
「い、いや違うけど…。」
その言葉でピンときた誠介は急に片方の口角を上げた。
「これはこれは…随分と可愛らしいお嬢さんだこと。」
「!?」
予想していなかった突然の誉め言葉に少女…邦海は肩を震わせた。
「本当、可愛いなぁ。」
「ちょ…。」
「うんうん、世界で一番かわいいよ。」
「あ、や…。」
「照れるなって。」
誠介と便乗した俊太によって虐められていると、寝室から星梨奈が出てきた。
「あれ…その可愛い子誰?誠介の知り合い?」
とどめを刺された邦海は元々の目的を忘れ、悲鳴を上げて叫んだ。
「もう絶対に女装なんてしたらへん!」
これにて『紅月』本編は完結です!ここまで読んでくださった方、またリアルタイムで更新を心待ちにしてくださっていた方本当にありがとうございます!
前回同様おまけと番外編を投稿させていただきます、そちらも読んでいただけると幸いです。(読まなくても内容が分からない、ということはございません。)
次回は、『藍火』です(次話にも書きますが)。これからもよろしくお願いします!
また、次話投稿をしたあと勝手ながら一週間休ませていただきます、ご了承くださいませ。




