父子―佐和―
正直、死の感覚がなかった。あのチンピラの彼女がどのように死んだのか、わからないから。
「てっめ!なめてんのか!お前が殺したんだ。お前が、みきを・・・」
「うっせぇ!てめぇ以上に早紀のほうが精神キチーんだよ!早紀が信じらんねーならとっとと死にやがれ」
俺はついカッとなって叫んだ。馬鹿だ。一番キツいのが早紀とか自分でいっといながら、大声なんか出して。
「早紀・・・」
俺は隣で震えている早紀に目線を移した。
「・・・私、殺人者、だよね?」
「違う!早紀は殺してなんかない!自分に自信を持て!」
「う、うん・・・」
今の早紀に、生気が感じられない。・・・俺は、死んでもいい。早紀が助かるならば。
「いきます・・・・・・」
やっぱり、集中力が低下してる。弓を持つ手が震えている。その振るえが弓にまで伝わって、狙いが定まっていない。しかも、上下に揺れている。不適格要素満載だ。
「・・・・・・」
全員が何も発しない。ちんぴらの男も今は静かだ。後ろの女の子が少し泣いているのが聞こえているくらいだ。
ヒュンッ。 バリンッ。―――青・・・。
「うわぁ!」
後ろ・・・!
佐和といった女の子のお父さんの顔に、透明なヘルメットのようなものが被さった。上には太目のホースがついていた。
「お父、さん?」
「佐和・・・ごめん。・・・・・・早紀さん、・・・」
お父さんの呼びかけに、早紀は応答をしない。
「・・・早紀さんの彼氏さん」
「はい」
動揺を隠し切れないのを分かっていながらも、俺は隠しとおそうとした。
「佐和を、生かしてください・・・。よろしく、お願いします、ね」
プシュー・・・。紫色の煙が噴出した。
「うっ・・・う、ぇ」
プシュー・・・プシュー・・・・・・・。 長い。こんなにも、苦しい時間を、長く感じることが人間は可能なのか? ガクッ。
「・・・」
お父さんは、力なくプラスチックのヘルメットの壁に頭を当てた。
二人目も、死んだ。
拙いですが、短いのでイライラはしなかったかと・・・。えっ?しました?すみません。




