第133話 俺に提案がある
「させるかよ!」
ドラゴン男の動きが見えなかったのではない。だからオレも動いていて。豪風はまだ残っているがうまく風に乗れた。
ガン! と言う強い音が鳴る。心樋を砕こうと鋭い牙が並ぶドラゴン男の口が閉ざされ、それをさせまいと縦にしドラゴン男の口内に突っ込んだ『ギフト・バレット』が鳴らせた音だ。
銃身を棒代わりにした事で『ギフト・バレット』が砕ける事はなく。
戦闘開始前にみんなの銃にかけられた石見の魔法、強度強化が働いているからだ。
「ふん」
ドラゴン男の喉の奥が赤く染まる。火炎が来る。
「こっちが速い!」
ドラゴン男の口を抑えたまま『ギフト・バレット』発砲。上方に撃たれた銃弾はドラゴン男の口を砕――けずに。
堅牢!
ゼロ距離で直撃させてもダメなのか!
だが悔やむ時間はない。すぐにオレは『ギフト・バレット』を外して心樋を抱きしめドラゴン男の口の上に脱出。
「がぁ!」
その直後火炎の息吹が放たれ、余波がオレの左足を焼いた。直接焼かれたのではないから灰にならずに済んだが……熱いし痛い。
そんなオレの足に、
「ア、治れ!」
心樋が魔法をかけるのと、
「喰らいやがれ!」
カノがドラゴン男の左目を狙い発砲するのとフォゼが右目を狙い発砲する音が重なった。
熊男とカマキリ女はユーリアとクノイストと睨み合い中。ドラゴン男を庇う素振りも見せない。
と言う事は……。
「効いてません!」
フォゼの叫び。
彼の言葉通りに、ドラゴン男は無傷で。
「これはどうかな?」
ユーリアがなにかをドラゴン男に投げつけた。フォトンソードだ。ドラゴン男の左翼の根元に投げつけられたが、これもやはり効果はなく。
「雷よ!」
ならばと石見が横殴りの稲妻をドラゴン男の顔面に。しかし。
「痒いくらいだな」
ダメか。
銃弾が効かない。フォトンソードも効かない。魔法も効かない。
では、どうする?
「まあまずはザコからだよね」
効かないなら効く相手から、とユーリアが熊男とカマキリ女を討とうとする。
「ワシ様をザコ扱いか! やれるならやってみろよ単独でな!」
「そんな挑発には乗らないよ。一人で相手にする理由、俺にはないから」
一対一の戦いは理想だ。が、今はそこにこだわっている場合でもないか。
けれど。
ドラゴン男をけん制しながら熊男とカマキリ女を狙えるだろうか?
「出来なければ敗けるぞ、やれ」
「クノイスト」
「人とグリムが手を組んでいるんだ。
これまで不可能だった事も可能になる。
倒すぞ」
「……ああ」
励まされてしまった。戦士を気取るつもりはないが情けない事だ。
が、うん、落ち込むのは後。気を引き締めろオレ。こいつらを倒すぞ。
「糸掛」
「うん?」
「クノイストの“カン”を信じて動くなら俺に提案がある」
「?」
ユーリアがオレになにやら耳打ちを。
敵に聞かれないよう小声で呟かれた内容は――え、マジで?
「ま、熊とカマキリをどうにかした後だけどね」
「……解った。やってみる」
「ん。それじゃあ――」
戦闘再開、だ。
まずは空に一射、ユーリアの光の銃弾が空へと撃ち出され、
「割れろ!」
なんと光の銃弾が分裂。光の雨となって熊男とカマキリ女に降り注ぎ、けれどドラゴン男が傘になって二人を庇う。
「行くぜ!」
熊男が拳を打ち合わせる。
「行くよ」
カマキリ女が鎌を振るう。
断裂された空気がオレたちに迫るもクノイストの銃弾によって威力は削減。だが消されたのはオレたちに直撃する断裂だけで周囲にいくつか切り傷が。
バランスは崩された。それでも。
オレとカノがカマキリ女に向けて発砲。断裂が消された事で出来た隙間を潜るように通ってカマキリ女に迫り、ドラゴン男の翼がそれを防ぐ。
「らぁ!」
熊男の球体が完成した。そして完成直後に、地面に向けて放った。ただ地面は割れない、影響がない? って事は――
「下から来るぞ!」




