第111話 ユーリア! お前か!
フォゼ、『レディ・ポイズン』一射。
毒の銃弾がサンズに向かい、しかし音波によって防がれ砕け散る。だが。
「っ⁉」
サンズが喉を抑えた。
「貴方の周囲の空気を腐らせました。移動しても貴方を追尾する形で。
降参するなら右腕を上げてください。すぐに解放しますか――」
言葉は最後まで続かなかった。信じられない事が起きたから。
なんと、サンズの首が飛んだのだ。
「今のは!」
サンズの首を飛ばしたのは光。光の銃弾だった。
見た覚えがある。
血に塗れた死の島で。
「ユーリア! お前か!」
グリム。ユーリアと言うグリム。やつの持つ魔力そのものを放てる金糸雀色の銃『レイ・ガン』、それの一撃に違いなかった。
心がざわつく。
ユーリアは危険度Sのグリムだ。準魔法士の使う銃に加えて高位魔法を使用する。
強敵である。
光の銃弾が飛んできた方向に集中し気配を探ってみるもユーリアを見つけられない。やつは姿を隠し、移動しながらこちらに狙いをつけているのだろう。
オレを、オレたちを敵として見ているのは当然。いつどこから撃たれるのか解らないのは単純に恐怖を生む。恐怖は震えを呼んで銃を握る手に影響してしまう。
カツを入れろよ、自分に。
ごとん、と音を立ててサンズの体が落ちる。
「っち!」
舌を打つロスアンダム。
ジャイルに向けて左腕で殴打を繰り出し、その体から離れた。
ピクリとも動かないジャイル。
オレはすぐに駆け寄って呼吸を確かめるべく首に指を当てるが……ダメだ。もう死んでいる。
「くそっ」
「らぁ!」
毒づくオレを相手にはせずロスアンダムの気合の声が響く。
光の銃弾がロスアンダムに撃たれ、バトルオーラを纏った殴打でこれを弾いたのだ。
それもただ弾いたのではない。弾かれた光の銃弾は――タータルの胸を貫いた。間違いなく心臓を。
「痺れろ!」
もうタータルはダメだと認識したのだろうか。治癒を止めて石見はロスアンダムに魔法を使う。
石見から放たれた雷は、
「効くか――ぐぅ!」
ロスアンダムのバトルオーラに防がれるも空から落ちたもう一つの雷撃が直撃する。石見自身から放たれたのは囮。空からのが本命の一撃だったのだ。
「だがよ!」
バトルオーラがやつを守っている。致命の一撃とはいかなかったか。
「貴様も同じだ!」
カノからの銃弾を避けてやり過ごす。
が。
「なにぃ⁉」
やり過ごしたはずの銃弾が背後から左肩を貫いて。
「マインだってな! ただ撃つだけでグダグダやってないんだよ!
『ブリンク』の銃弾は永遠に速度を増す! そいつを意識的に加速させ! 光を超えて! 時間を超える!」
あいついつの間にんな事出来るように。仲間には教えとけよな。
文句を言いたくなったがそれでもなんとなく笑ってしまう。
しかし撃ったカノは辛そうだ。かつてオレが『ギフト・バレット』の炸裂を空間やら魔力やらに対応させた時、一日一撃が限度だった頃があった。魔力をごっそり持っていかれていたから。
今のカノはそんな状況なのだ。
それでもカノは。
「行くぜ!」
次弾を放つ。




