力は無限か
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『何落ち込んでんのか知らないけどさ、真央は真央らしくやっていけば良いんじゃない? どうせ焦ってもどうにもならないんだしさ』
その言葉を言った颯太と今の玉房が重なった。
何を考えているんだ、私は。
この男と颯太がいくら似ているからといって重ねてしまうなど、あってはならないのに。
「それにさ、例え異空間で力を使えるようになったとしても現実でもその力が同じように使えるとは言えないし、そもそも力使うとき万が一に備えて制御できる俺がその場にいなきゃいけないんでしょ?無理無理。翠の側にいつもいるとか考えられないし」
気付いたときには抑えられていた手ではなく、足が出ていた。
「痛ぁ?!」
「私だってお前とずっといるなんて考えただけでも虫酸が走る」
「手の次は足なの?!しかも今日は呼ばれて来たのに蹴られるとか酷くない?」
「お前のせいだ、お前の。はぁ……お前に頼んだ私が悪かった。2度と頼らないから安心しろ」
一瞬でも感傷に浸りかけたが、玉房の言葉で我に帰ってこれた。
この男、颯太より性格が悪いぞ。
それにしても玉房がダメとなるとどうするか。
玉房には力を使わずに出来ることをやれば良いと言われたが、やはりあるのに使わないわけにはいかないだろう。
どうしたものかと悩んでいると。
「………あのさ、翠はこの力が無限大のものだと思ってたりする?」
「あ?」
急にそんなことを言い出した。
純粋な人間設定なら有限かとも思うが、今は違うのだから無限に近いのではないのか。
「俺や鵜羽、龍流たちの力は、正直微々たるもので何かしらの障害をきたすようなものは何もないのだけど、翠のような莫大な力は無限ではなくて、体に異常をきたすものだよ。体だけなら良いけど、存在そのものを消す可能性だってゼロじゃない」
存在そのものが消える、ということは死を意味するわけか。
この力がなくなるのは良いことだが、存在そのものがなくなるのは嫌だな。
「だから何が言いたいかと言うと」
蹴られた腕を擦りながら玉房はボソッと呟いた。
「死にたくないならその力は使わない方が良い」




