診察中でした
書き上げ直前に停電し、何故かデータの一部が消えました。
(;´д`){おのれおのれおのれぇ~おのれ台風めぇ~
「うん、問題なさそうですね」
リリーの左手を取り、脈拍を調べていた老人が顔を上げる。
初老とでも言うべきだろうか、頭部が少々薄くなりだした人物が頷いている。
アフィレス騎士伯家お抱え医師だと説明されていた。
「では、次に身体を診ますよ」
周りに居た人達の中で、老執事と言う感じの人が、他の男性達を連れて退出していく。
それを見届けてから、ゆっくりとお腹の辺りが捲られる。
思わず恥ずかしさから目を瞑る。
周りに居た人達、メイドやカタリーナの息を飲む音が聞こえた……気がした。
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、貧相な身体でごめんなさい』
目を『ぎゅっ』と瞑り、心の中で謝罪する。
リリー十三歳、本来であればそれなりに凹凸が出てくる年頃なのだが……残念な事に『真っ平ら』なお子さまボディーだった。
カタリーナやメイド達が息を飲んだのは、そんな身体を見たからだろうと思い、ついつい目を閉じていた。
ただ、流石はお抱え医師、周囲の事など気にもせず診察を続けていく。
心臓の辺りから両肺、そして鳩尾から内臓辺りへと指で押さえていく。
「ふむ、少々内臓が弱っている様ですが、まぁ若いんですし、食事を取れば大丈夫でしょう」
「そ……そうですか」
医者の言葉に『ほっ』と息を吐くカタリーナ。
心配していてくれたのだろう、リリーの心情的には申し訳ない気持ちで一杯だ。
「では、次に喉を見ましょうか」
医者がそう言うと、リリーの側に控えていたメイドが『そっ』と手を伸ばしてくる。
リリーが目を覚ました際、部屋に居た人だ。
彼女はリリーの背中から首筋へと手を添えて、ゆっくりと身体を起こしてくれる。
その後ろで待機していた別のメイドが、大量のクッションを背中側に置いていく。
自力で動く処か指一本動かせないリリーは、されるがままだ。
用意されたクッションに埋もれる様になりながらも、医者の言われるままに口を開ける。
「ふむ……」
口の中を見ていたと思ったら、後ろにいたメイドに空の器と熱湯、それと水を用意させ、手元の鞄から包みを出す。
小さなスプーンで包みから緑色の粉を掬うと、空の器に入れていく。
そこに熱湯を少量注ぎ込み混ぜると、室内に草の臭いが充満する。
「少々臭いはキツイかもしれませんが、身体には良いんですよ」
笑顔を見せながら、手元の器の中身を混ぜていく。
段々ととろみが出てきたそれに水を足していく。
最後に小瓶に入った黄色い液体を入れ、リリーの前に持ってくる。
「さて、薬の説明をさせていただきます」
「うっ……」
湯気と共に草の臭いが鼻を通る。
思わず『しかめっ面』になってしまう。
そんなリリーを見て『ふふふ』とカタリーナが笑う。
「大丈夫よリリーさん、私も小さい頃、この薬を飲んだ事があるから」
『カタリーナ様も?』
声が出ないので、少しだけ首を動かすリリー。
「こほん、え~リリー嬢、まずはこの薬液を一口含んでもらいますが、まだ飲みこんではいけません。良いですね?」
『飲んではいけない』という言葉に『きょとん』としなからも、少しだけ頷く。
「では、口の中に入れますよ」
スプーンに入った液体が舌の上に乗る。
僅かに『チクチク』とした感覚が口の中に広がるが、暫くすると収まってくる。
「どうです?痛みはまだありますか?」
先生の言葉に、少しだけ首を横に振って答える。
「では、少しずつ飲み込んでいきましょう。ゆっくりですよ」
言われた様に、少しずつ飲み込んでいく。
薬が喉の奥に流れ込むと、身体の奥から不思議な熱を感じる。
「大丈夫そうですね。では今の要領で全部飲み干しましょう」
にこやかに微笑みながら言う先生に対し、頬を引き吊らせながらも、リリーは少しずつ少しずつ薬を飲んでいくのたった。
『うぅぅ……せめてスープを……』
心の中では弱音を吐きまくるリリーだった。
ー別視線ーカタリーナの場合ー
十日ぶりに目を覚ましたリリーさんは、全体的に肉が落ちて、痛々しいです。
主治医がお腹を捲って診察しようとした際など、その『肋』の浮いた腰周りに、思わず涙が出そうになりました。
でも、問題無いと聞いて一安心です。
食事を取ればと言う事なので、シェフに言って沢山食べてもらいましょう。
えぇ、我が家にいる間は、色々食べさせますわ。
ーカタリーナ家のメイドAの場合ー
何て細い娘なのでしょう。
あのカタリーナ様が『自分の娘』だと言う程のお気に入りとは言え、この小ささ……。
この十日間、食事を取っていないとしてもこれは……。
決めました、お嬢様が居られる間、沢山食べていただきます。
えぇ、甘い物もジャンジャン持ってきますよ。
ーカタリーナ家のメイドBの場合ー
あぁ~こんなに痩せ細って……ベッティーナ様の所のメイド達から話は聞いていましたが……この儚げな感じ、分かりますわ、守ってあけなければと言う感覚。
あぁ~、早く元気になっていただき、色々と奉仕しないと(はぁはぁ)
次回も見て下さい。
(´・ω・)ノシ{出来るだけ早く書きます