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釣り上げられました

投稿が遅れて申し訳ありません。


今回、少々「お下品」な所があります。



……いや、今回「も」?

「さて……どう言う事か説明してもらおうかい?」


怒りの表情でリリーの胸元を掴み上げているのはデボラだ。

額には青筋が立っている。

冒険者を引退したとは言え、鍛え上げた肉体は男性顔負けの迫力だ。


そんなデボラに吊り上げられているリリーは……身長も百五十程度で、百八十もあるデボラと比べるべきも無い。

オマケに首が微妙に締まってしまい、話をする所か息を吸うのも一苦労状態。


「あぐ……デ……ボラ……さん?!」

「ちょっ姉さん、首締まってる!!リリーが死ぬって!!」


そう言って、デボラの手を押さえる剣士のレオナと


「落ち着いて、リリーが!!リリーがぁぁぁぁー!!」


っと、叫びながらデボラの腰辺りにしがみついついる修道女のケーテ。

他の面々も口々に


「姉さん、ちょっと落ち着いて!!」

「ダメだ、鎮静の魔法かけろって!!」

「姉さんのレベルだと抵抗(レジスト)されますわ!!」

「もう、後頭部でも殴って気絶させるしか……」


と、何とも物騒な話が飛び交う。


遠くなる意識の中、リリーは思った……


『全部、あのギルドマスターのせいだ』


っと……



ーーー

事の始まりは、冒険者ギルドからリリーが戻って来てからだった。

リリー自身は、金クラス冒険者ベンノから


「明日の朝、一つ目の鐘が鳴る頃には冒険者ギルドに来る様に」


と命じられていた。

一つ目の鐘が鳴る頃は、早朝五時頃、日ノ出頃となる。


今回の討伐には、ギルドから回復アイテムや食料等、色々な物が支給される。

それらを参加者全員が持って行く事となる。

ただし、銅クラスの冒険者達は、予備品を持って行く役目もある為、早めに準備する事になっていた。


さらに移動には、オルボアの領主直々に軍用馬を提供されており、四頭立ての馬車六台で、街道を一気に進む事になる。

予定では、昼までにオルボアとオー・ルランの中間に到着する事になる。


そこから先は、金クラス冒険者を先鋒に森の中を進軍する事になっていた。


それらの決め事が終了して、デボラの宿屋に戻って来た頃には、周りは暗くなっていた。


「早く晩御飯を食べて……明日に備えないと」


リリーは、そう意気込んで食堂へと来た……のだが、そこでデボラから出た話が


「全員揃った所で仕事の話だよ。もう知ってるヤツも居ると思うが、オルボア近郊でゴブリンが大量発生してる。そこで明日、ギルドから大規模討伐隊が出る。私ら女性冒険者は、ギルドと領主様からの命で、教会に避難して来る一般人の警備に当たる事になる。分かってると思うがこれは強制だから、身体的問題が無い限り参加だからね」


っと言う事だった。

 

ここで言う身体的とは、冒険途中での負傷による不参加を言う。

現に、何人かの冒険者は、深い傷の為、不参加を表明していた。

さすがに戦えない冒険者まで駆り出す訳にもいかない。


今回の討伐に対して、ギルド側が先発隊としてゴブリン退治に出かけ、最悪の場合……つまり、オルボアや周辺の村や町へと、既にゴブリンが攻めて来ている可能性を考えて、騎士団をオルボア周辺に配備していた。

そして、万が一それらが突破された事を考えて、女性冒険者達を一般人の避難場所である各教会への警備へと充てる事とした。

実際には、オルボアの街には城壁がある為、不用意に門を開けない限り、内部に侵入される事は無い……ハズだった。

しかし、領主は『もしもの場合』を考えて、オルボア内で戦える戦力全てを投入する事を決定していた。


そして、初心者から中級者までが居るデボラの宿屋にも参加依頼が来ていたのだった。


デボラ以外の宿屋にも、同じ内容の依頼が来ている為、自分達「だけ」が高みの見物を決め込む訳にもいかず、デボラ自身も、自分の宿の客である冒険者達を守る為、参加する事にしていた。

ただし、デボラは「元」冒険者で、既に引退している為、ギルドからの強制ではなく、個人の意思による『善意の参加』となる。


そうして参加する事を伝えていたデボラだったが、何故か浮かない顔をするリリーを見ていた。


「なんだいリリー、怖じ気づいたのかい?」


初めての強制参加、それもモンスターとの戦闘に恐怖しているのかと思い、声をかけたのだったが……


「いえ……あの……デボラさん……私、明日……別の方に……その……参加するので……」

「はぁ?別って何だい?」


デボラに詰め寄られアタフタするリリー、正直に「明日の討伐隊に参加する」なんて言った日には、何を言われるか分からない。

かと言って、このままでは、リリー自身が「一人で」逃げようとしていると思われるのも、また困る訳で……


「えっと……その……ギルドからの……別の件で……」


もはや、リリーの頭の中は大混乱だった。

そして、運が悪い時は徹底して悪くなって行く訳で……


「リリーさんは居ます……って、あら、丁度良かった」


そこに表れたのはギルドの受け付け嬢ジーンだ。

どうやら仕事帰りらしく、何時もの「受け付け嬢」スタイルではなく、ごく普通のワンピース姿だった。

そしてジーンは、


「明日の討伐隊ですが、銅クラス参加者全員ギルド裏口に集まる要にして下さいって伝えに来ました」


何時もの「営業スマイル」全開でニッコリしながらリリーに伝える。

その言葉を聞いて「ぎっぎっぎっ」と音を立てて、ゆっくりとリリーを睨み付けるデボラ。

睨まれたリリーの顔は、最早冷や汗がダラダラであった。


「あら、お取り込み中だったかしら?ごめんなさいね、じゃあ」


言うだけ言うと「さっ」と右手を挙げて去っていくジーン。


「ちょっ……色々放り投げて……逃げるんですか?!」


リリーが左手を伸ばしてジーンに助けを求め様とするが、その右肩をガシッと掴まれる。


「さてリリー、討伐隊って何の事だい?」


右肩に力が入り、ジリジリと体をデボラの方へと向けられる。

既に、ジーンの姿は暗闇の向こうへと消えていた。


「ひぃっ?!」


リリーに向けられたデボラの顔は笑顔だ、だが、「目」だけは笑って無い、静かな怒りが渦巻く眼差し。

そして『ギラリ』と音が鳴ったかと思う程の眼光、デボラの『威圧』スキルだ。


普通の『威圧』スキルなら、精々一メートル程度に圧力をかける程度だが、デボラの『威圧』は、二メートルを越える。

さらに、気の弱い者なら、その眼孔だけで身動き取れなくしてしまう程だ。


そんなスキルを正面から受けたリリーはと言うと……


「ひぃぃ~」


半泣きで悲鳴を上げたと思ったら……足元に小さな水溜まりが出来ていた。


「ありゃ~」


額に手を当て天井を見るレオナ、急いでタオルを取りに行くケーテ、リリーの粗相を見て「はぁ~」っと熱い視線を送る神官見習いのジルリオーネ……っと、デボラの宿屋は、何とも言えない混乱状態へと突入していた。


今週中に、後二回は投稿する……予定です。


ω・)ノシ{予定は未定……でもやる……です。

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