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馬車を引きました

どこで文章を切ったら良いのか分からない今日この頃。

そして、今週末って事は、次の日に出しても……OK?

『今の状況を……誰か説明してくれ』


護衛隊リーダーのアベルは心の中で叫んでいた。

いや、メンバー全員同じような事を心の中で思っていた……のかもしれない。

彼らが護衛する馬車、二台ある内の一つを……


『何故か、全長二メートルの黒い騎士が引いていた』


なんでだよ?!



ーーー

「馬が殺られてる?」


ゴブリンの襲撃から少したって、アベルは少女リリーにパンを渡してた。

その間に他のメンバーは、大きめの穴を空け、その中に回収出来るだけの死体を集めていた。

ゴブリンであれ人であれ、死体を放置しているとアンデッド化してしまう。

その為旅先では、余程緊急で無い限り、死体処置を義務付けられている。


アベル達も、ゴブリンだけでは無く、仲間であった戦士の亡骸を出来るだけ集めて焼き払う。

アンデッド化よりも、弔う意味で……


そんな中、商人の一人が発した言葉が、馬の件だった。

先頭の馬車を放棄した際、寄って来たゴブリン達に喰われていた。


「つまり、あのゴブリン達は餓鬼状態だった訳か?」


死んだ戦士も、体の殆どを喰い尽くされていた。

ならば、あれだけ必死に襲いかかって来た事も納得できる……が


「そもそも、餓鬼状態になった原因は何だ?」


もしかしたら、森の奥で異常繁殖……そんな不吉な考えがアベルの脳裏に浮かぶ。

どちらにしても


「どうにかして街まで戻らないと……荷物を放棄するか、一台の馬車に移す事は可能ですか?」


馬が後続の一匹しかいない以上、荷を減らすか放棄するしか手段は無い。


「一台の馬車に移すなんて無理だ、それに放棄すると赤字になっちまう!!」


商人の男が青い顔をする。

分かっている、商人にとっては荷物を捨てるなど考えつかない。さらに彼ら商人にすれば、先頭の馬車の放棄を指示したアベル達を非難するような態度になってしまう、例えあの場合、それが最善だったとしても……それが商人と言うものだから。


『これは、護衛費を諦めるしか手が無いか……』


アベルとしては、護衛の達成費を下げる交渉で何とか妥協するしかないと考えていた。

村か街に戻って馬の手配をしようにも、ココは村からも街からも中間に辺り、どちらに行っても往復で1~2日掛かってしまう。

その間、こんな所て野宿など、襲って下さいと言うようなものだ。



ーーー

「あ……あの~……」


パンをかじっていた少女リリーがオズオズと手を挙げる。

少女の後ろには、黒騎士が微動だせず立っているのだが……


「馬車を……運べば……良いのです……か?」


その場の全員の視線がリリーに集まる……後ろの黒騎士には絶対に目を向けない……とって喰われる訳でも無い……ハズ?


「パンの……お礼に……その……何とか……出来ま……」


リリーの消え入りそうな言葉に、商人達は喜色、アベル達は微妙な顔をする。

商人側は『荷物を失う事無く何とかなりそうだ』との希望、アベル達は『この珍妙(主に騎士)な旅人への警戒』で、それぞれの顔となってしまうのたが。



ーーー

「まさか、黒騎士……様に馬車を引かせる事になるとはね」


乾いた笑みを張り付けたアベル、彼は黒騎士が引く馬車の御者席に、リリーと一緒に乗っていた。ちなみに、彼の仲間は一人を除いて徒歩だったのだが……


「あの……皆さん……荷台に乗っても大丈夫……ですよ?」


リリーが心配そうに言うのだが


「いやいや、俺ら護衛だから」

「そ……そうそう、周囲の警戒もあるし」

「……これも仕事だから」


魔力を使い切った魔法使い以外全員から断られる事に。

ちなみに、何故御者席にリリーとアベルが乗ってるかと言うと……


「人が引く馬車なんて無理だぁ」


っと言う御者さんと


「わ……私もちょっと……」


頬を引き吊らせた商人さんに断られ、仕方なくリーダーのアベルと黒騎士の仲間(っと見られている)リリーが操縦する事に。 

まぁ、実際の所、黒騎士が道に沿って勝手に進んで行くので操縦する必要は無いのだが……



ーーー

「そう言えば、まだ名乗ってなかったね?僕はアベル、冒険者だ」

「あっ、はい……私はリリー……あっちは黒騎士さん……です」


うつ向きながらも挨拶するリリー、一瞬、黒騎士がこっちを睨んだ……ような気がする。


「えっと……君達も冒険者なのかい?」


こんな辺境を旅してるとなると、普通は冒険者と思われるのだが……どうにもこの二人は違う気がした。アベルの冒険者としての勘のようなモノだったが


「いえ、冒険者じゃ無いです……その……お使いです」

「お使い?」

「はい、おじい……祖父に頼まれて、東へ行く……途中です」

「東って事は、僕達と同じオルボア行きかい?それとも聖都?」


恐らく西の集落から来たのだろう、ならば行き先は西部最大の街か首都のどちらか?そう予想したアベルだったが


「あっ、いえ……その……もっと東です」

「もっと東?」


首都である聖都より東となると、「魔法都市オードナルド」か「国境都市オーブ」しか無い、そこまで考えながらも、この二人の素性が今いち分からない。


『遠出をしてきた割には、旅慣れてないって言うか……』


アベルにしてみれば、この得体の知れない二人が気になって仕方がなかった。


「そう言えば、どうして森の中に居たんだい?」


そう、そもそも街道を通らず森の中から出て来るなど、本来あり得ない事だった。


「あっ、その……」


何故か顔を真っ赤にするリリーだったのだが


「あの……笑わない……ですか?」

「?」


『森の中を移動する事が笑う事?どう言う事だ?』


アベルには想像つかない事だったが


「あぁ、笑わないよ、神に誓って」


胸に手を当てて答る、それを見て決心したかの様に話出すリリー


「食料が無くなったので、その……木の実とか探しながら移動して……たんです」

「……」


まぁ……あり得ない話じゃない……うん、食料が無くなったら現地調達……普通だけど……


「ぷっ」


まさか、あれ程強い二人が食料難で森の中に居たとは思えず、吹き出してしまう。


「~~~!!」


真っ赤な顔をうつ向かせるリリーを見ながら、アベルは思った。


『あぁ、そうか、旅なれてないんじゃ無くて、初めての旅なのか』


そう考えれば、携帯食料を持たない事も、魔物が彷徨く森の中を移動してようとも『なるほど』となってしまう。


『冒険者ですらない新米旅人』


それがアベルの出した答だった。

読んでくれてる人が居るか分からないですが頑張る

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