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クルト王子が突入しました?

短いですがご勘弁。( ノ;_ _)ノ

貴賓室へと通路を歩きながらクルトは考えていた。


『カール兄さんが言うには、今夜の貴賓室に居る人達は、僕と同じ年だって』


今まで王宮内で出会った人達は歳上ばかりだった。

唯一、異母兄妹である下の妹二人を除けば……世話をしてくれる執事やメイドですら歳上であった。


『同年代か……ちょっと楽しみだな』


たとえ貴族であっても同年代であれば、もしかしたら……


『友達になってくれるかな?』


さっきまで重かった足取りも軽くなる。



ーーー

「フォーエンローゼン王がご子息、クルト王子ご入室」


クルトの案内をしていた老執事が貴賓室の扉を開け、その老体に似合わぬ大声で王子入室を伝える。

クルトが少しワクワクしながら扉をくぐり室内に入る……が


「……」


周囲に居た貴族全員が顔を伏せ、男子は胸に手を当て、女子はスカートの端をつまみ上げる、宮廷でよく見る光景だった。違うのは、全員が王子と同じ年の少年少女と言う事。


クルトの目が先程までとは違い、暗い色へと変化したのを老執事がそっと見守る。


『クルト王子……』


王子が自分と同年代の少年少女に期待していた事は知っていた……が


『お痛わしや王子』


老執事はそっとため息を付く。



ーーー

『結局ココも王宮と同じ……か』


暗い表情で周囲を見渡したクルトが面を上げる様指示を出そうとした所


「?!」


部屋の奥、ベランダへと続く大窓の前に居る女の子に気付いた。

この聖王国では滅多に見られない黒髪、その伏した状態から見える北方系の様な白い肌、そして黒髪をさらに栄えさせる程の真っ白いドレス、その全てがクルトの目線を釘付けにした。


彼も王族の端くれ、東方からの黒髪黒目の外交官を見た事は多少ある。ただし、彼が見た事あるのは中年男性、髪の毛にも白いモノが混じったり、頭部が薄くなったりと完全な黒髪になどお目にかかる事が無かった。


そんな彼らとも違う漆黒の様な黒髪に息をする事すら忘れて凝視してしまう。


「お……王子?」


老執事が後ろから小声を掛けるもクルトは気づかず、それどころか


「王子?!」


部屋の中央を抜けて窓際のリリーの前へと進み出る。

小さく揺れ動くリリーを見下ろすようにしながら


「面を上げよ」


と、声を掛ける。

周囲の貴族達が顔を上げる気配があった。目の前の小柄な少女の肩が僅かに下がる。恐らく安心したのだろう、ゆっくりと顔を上げていく……が、


「?!」


目の前のクルトを見て大きく目を見開く、その黒い目で。


『黒髪に黒目』

「……」

『凄い、宮廷で見た外交官達よりも深い色だ』

「……」

『それにしても小さいな?本当に同年代なのか?』

「……」


リリーをジッと見ながら思案に暮れていると


「あ……あのぉ……」


想像してたよりも幼く小さな声が聞こえた。静かな貴賓室に響く小さな声、そして息を飲む貴族達。


『あぁ……心地好い』


クルトにとって初めての感情、十三年生きてきて初めての思い。目の前でオドオドしている黒髪の少女に目線は釘付けになっていた。


「貴女……」

「ひぃっ?!」


一歩下がられて気付く『しまった、怖がらせてしまったか?!』と。

軽く咳払いをし


「貴女のお名前をお聞きしても良いですか?」

「へっ?」


王宮で習った笑みを顔に張り付ける。

どんな人物てあっても安心させる顔、クルト自身が長年の王宮暮らしで身に付けたスマイル。

口かさの無い者達は『微笑みで媚びる王子』などと陰口を叩く……が、女性に対しては効果的……なハズであった、宮廷内であれば


「あ……あの……その……」


彼女の瞳からは徐々に涙が溢れ出す。


『あ……あれ?反応が違う?』


宮廷内で接する女性達と違う反応に心の中で動揺しながらも笑顔で対応するクルトであったが、目の前の少女の目はついに涙腺崩壊し、ポロポロと涙を流す


「ご……ごめんなさい……」


っと一言叫び全力で駆け出す……出入口へと


「あっ?!」


『待って』と声を掛ける間も無く通路を走り抜ける少女、その後ろ姿をただ呆然と見ているだけしか出来なかった。


室内に漂う何とも言えない空気、そんな中


「御時間です、名前を呼ばれた方から随時御案内させていただきます」


案内役と思われる男性が入り口にて声を上げる。

その言葉に室内の全員が「はっ?!」とした顔をする……が


「ど……どうしよう……」


窓際に取り残された様な状態になったクルトは途方に暮れていた。

走り去ってしまった少女を思いながら

ω・)ノシ

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