その後があったようです
前回に入れ忘れた話です、ショートです。
「ゴンズ以外5名、都市下水道のモンスター討伐を命じる」
ギルドの掲示板には、デカデカと貼り紙がされていた。
それを読んだ面々の反応は……
「あいつらかよ、ざまぁ」
「あ~このクエ、面倒で有名なんだよな」
「時間掛かる上に臭いんだよな~」
等々と、余り良い反応は無かった。
「マジかよ、はぁ~」
一番最初に黒騎士からデコピンを食らった若い山賊……戦士が、深い溜め息を付く。
冒険者の誰もが嫌がる地下の下水道モンスター討伐、しかも拘束期間は一月と長く……せめてもの救いは
「報酬がそれなりに高い……ってトコかぁ~」
さらに深い溜め息を付くのだった。
ーーー
同じ頃、ギルド受付では
「はい、これが身分証になるわ、無くさないでね」
ジーンから手渡されたのは、銅製のプレートだった。平たいプレートの左右には、チェーンを付ける穴が開いている。表側には聖王国の紋章、裏には『オルボア』と書かれていた。
「注意点とかは、一通り説明したけど……大丈夫?」
「はい……大丈夫です」
答えるリリー、取り合えずは
「一般人の……迷惑になる行動をしないって……事ですよね?」
「えぇ、その考えで合ってるわ」
営業スマイルで答えるジーンだった。その笑顔を見ても
『会議室での冷めた目付きが本当のジーンさんなんでしょうね~』
引きつった顔をするリリーだった。
ーーー
その頃、会議室では……
「よく許可したなゲイル、お前の性格なら『あんな、あからさまに怪しいヤツ』を入れるとは思えなかったが?」
「ふん、怪しいのは確かだが、あのスキルは役に立つ、ただそれだけだ」
「ふ~ん」
部屋には、ギルドマスターのゲイルとベンノの二人だけが居た。
「そう言うお前はどうなんだベンノ、やけにあいつ等……あの小娘か?の肩を持つじゃねぇか、あぁ?」
「それこそお前と一緒だ、役に立つ気がした」
「で、どっちがだ?」
長椅子に深く腰掛けて呟くベンノと、足を組み見下ろすような体勢になってるゲイル。
ニヤリと笑うと
「「両方」」
同時に答えて笑いだす。
「あの黒いの、強襲に使えるな」
「お嬢ちゃんのスキルは、後方支援向きだな」
本人達の居ない所で、どんどん話が進んでいくのだった。
次は、もう少しだけ長い話を書く予定です。