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仕事が忙しくて時間が取れません。

リリーは、ギルド職員のジーンさんから渡された書類を必死に埋めて行く。

っとは言っても……名前、年齢、生まれた場所等々の基本的な事しか書かないのだが……問題は


「えっと……黒騎士の……『クロ』さん……ですか?」


ジーンさんの困惑した声が響き渡る。


『まぁ……そうですよね……普通は』


何とも言えない顔をしているリリー、黒騎士さんの登録も一緒にしてたのですが……別に『適当に考えた結果』と言う訳では無く、祖父から渡された『旅の注意書』にそう書け……っと、ワザワザ記入してあったので


『本当なら、ジークフリードとかスキールニルとか……カッコいい名にしたかったのに』


旅の注意書には、しっかりと『これ以外はダメ』と書いてあるし……私の意思じゃ無いんですよ?

思わず額に手を当てて考え込むリリー。


「えっと……これではちょっと……登録は……」


言い淀むジーンを見ていたアベルは思い出したかのように


「そう言えばリリーちゃん、お爺さんの手紙は?」


そう言われれば、お爺さんから紹介状を貰ってたんでした。

腰のポーチから包みを出し、それをジーンに渡す、すると……


「これは?」

「え?あの……祖父から……その……渡されました……」


祖父からの紹介状を見たジーンは暫く考え込み


「……そう言えば、ギルドマスターへの用件もあったんですよね?」


そう言われ、思わずアベルと顔を見合わせるリリーだった。



ーーー

静かな部屋にノックの音が響く。


「おう?」

「ジーンです、少々問題事がありました」


問題事……こんな朝っぱらから勘弁して欲しい……っと、窓から差し込む日の光に目を細めながら男は呟く。


「入れ」


そう答えたのは50代の男性、頬に小さな傷があるが、目許が垂れているせいで優しいイメージをもたらす優男。もっとも、ギルド内では『その見た目に騙されるな』と……特に職員に……言われているのだが……

室内に入ったジーンは、軽く頭を下げた後


「1つは、西の街道でゴブリンが徒党を組んで襲って来たとの報告がありました」

「ほう?」


その男性は、ジーンの報告に身を乗り出す。


「で、ゴブリンキングでも出たのか?」


ゴブリンキング等が出たのであれば、それ相応の対応をしなければならない……のだが


「いえ、それが……餓えたゴブリンが30匹だけだったそうで」

「餓えたゴブリン?普通の?」

「はい」


その答えに、折角乗り出した身を椅子に投げ出し「なんだ詰まらん」とぼやく。その言葉を聞いたジーンは『詰まらなくて結構』っと心の中で悪態を付く。


「まぁ、数だけを考えれば脅威だな……対処するか」

「それともう1つ」


普通のゴブリンの話題に飽きたといった感じの男性に、リリーの持ってきた紹介状を渡す。


「ほう、これは?」

「はい、今、登録に来ている少女が持って来た代物なんですが……魔法での封印がされています」


手に持った紹介状を裏表と見回す。見た目には普通の封筒に見えるのだが……


「なるほど、相手に封を開けたくないと思わせる暗示付きか」


目を細めながら紹介状を見る。そして「なかなか面白い」と呟く。ジーンは、その笑顔を見ながら『苦虫を潰したかのような顔』をする。このギルドマスターは、自分が面白いと思う事には『無駄に』全力を尽くす人であり、結果……


「こっちに被害が来るのよね」

「何か言ったか?」

「イエ、ナニモ」


つい口に出ていたらしい、ジーンは思わず口に手を当てて視線を反らす。


「まぁいい会おう、今すぐ使える会議室はあるか?」

「1号室が掃除も終わってます」


即座に答えるジーンに、会議室に関係者全員を案内する様に伝える。

ジーンが部屋を出たのを確認すると……


「あの魔術式……見た事すら無いが……一体誰だ?」


元ゴールドプレート保持者の高位冒険者で、現在ギルドマスターをする男『ゲイル』は、心底楽しそうな顔で窓の外を見る。

取り合えず、土日に補充分を書く予定

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