魔法使いの店 4
黒鋼杉は木材の中では凄まじい硬度を誇る。金属と打ち合っても罅すら入らない程度に。
幻想樹は魔力によって形作られた木だ。質量はほぼ0。僅かに含まれる木の成分を取り除くと魔力が吹き出し、その魔力を浴びせると魔法の伝導率が高まる。
雷纒葉はその名の通り雷属性の魔力を纏う葉っぱだ。繊維を取り出すと雷属性の魔法を強化してくれるようになる。
風樹の実も雷纒葉同様。こちらは絞り汁を塗り込むことで風属性の魔法を強化する触媒になる。
魔界の若芽だけは特別で単体ではなんの効果もない。だが他の触媒や素材と組み合わせることでそれぞれの効能を高める効果を持つ。
「よくもまぁ、これだけの素材を取ってきたもんだね」
「ちょっと張り切ったね。でも杖2本分なら足りないよりはいいかなって」
「だからって限度があるだろうが・・・はぁ、持ってきちまったもんは仕方ない。最高の逸品を作ってやるとするさね」
「よろしく!前金はいつも通り半分?」
「ああ、今回は金貨20枚だね」
「ん、じゃあこれで。どれくらいで出来る?」
「杖の方向性にもよるが、片方に集中するなら10日ってところかね。2本で20日じゃ」
「方向性はどっちも同じ様に。こう、予備を作る感じで頼むよ。長さは150センチくらいで」
「それなら同時に並行して作業せにゃならん。18日くらいで仕上がるじゃろ」
「18日ね。分かった。それでお願い」
「ああ、前に使っとった杖はどうする?」
「普通に使えそうなくらいの状態だね。持っていくよ」
「ほらよ」
ぽいっとかなり短くなった杖を投げられた。長杖からステッキ程度になってしまったが、長年使っていただけに手に馴染む。
「ありがと!じゃあ18日後に来るね」
「ああ、毎度あり」
からん♪
小僧がドアを丁寧に閉めるがドアベルは鳴ってしまう。そういう作りにしてるからね。
さぁ作業に取り掛かろうかね。