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【書籍・漫画化】魔道具師リゼ、開業します~姉の代わりに魔道具を作っていたわたし、倒れたところを氷の公爵さまに保護されました~【七章進行中】  作者: くまだ乙夜
七章 復讐の天秤編

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257 リゼ、魔獣討伐クエストを受ける(1/3)

「そんなにくれんの? じゃー言うけど、なんでお前だけ魔術停止されてないの? いまんとこ魔石も生活魔法も必殺技も全滅だよなぁ?」

「精霊でハックした」

「お前専用かよ。チッ、つっかえねえなあ」

「他には? なければ帰れ」

「東の騎士団長知らねえ? バフ止まってから全然見かけてねえんだわ」

「知らん。他には?」

「じゃあ東の騎士団長についてなんか知ってることは?」


 東って、たしか、バリガントさんのところかな?


 わたしは手を挙げ、話に割って入る。


「こないだ魔道具修理しましたよぉ!」

「最後に会ったのいつ? そのあとどこいったか知ってる?」

「最後は、確か、曲のお披露目をしたあとだったかな? 行き先はちょっと……もう来ることないって言ってましたんで、来るかどうかも……あ、でも、おつりを多く預かってるんで、もし見かけたらうちに寄るよう伝えてほしいです!」

「そっかぁ~……」

「時間だ。帰れ」


 しょぼんとして黙ってしまったリオネルさんを、すかさずディオール様が席から追い立てようとしている。


 ……すごい冷たい。


 でも、ディオール様、これでリオネルさんは好きなタイプらしいし、よくわかんないなぁ。


「待てよ! 本題こっからだから! 北東の、うちっつうよりはギリギリで東のエスト騎士団の領で、ヤベーもん鬼湧きしてんの!」

「何がわいたんですか? 温泉とかですか?」

「あー、沸くならそういうのにしてほしいよねえ。でも残念、リゼさんにはとても見せられないようなえぐいもんがわいてんのよ」

「何なんだ、手短に話せ」


 リオネルさんは心底うんざりした様子で、オーバーリアクション気味に肩をすくめてみせる。


「祝福魔法停止の原因っぽいやつなんだわ」


 リオネルさんを追い払おうとしていたディオール様も、そこでぴたりと動きを止めた。


「ディオール、お前、ツラ貸せよ。掃討作戦するからさぁ。戦力が足りなすぎるんだよ」

「待て。何かと間違えたんじゃないのか? 祝福魔法(バフ)の停止の原因なんかそう簡単に転がってるわけないだろう」

「魔獣のゾンビ鬼湧きしててもそれ言える?」


 ディオール様が分かりやすく動揺して言葉に詰まったので、リオネルさんもつられてか、渋い顔になった。


「死霊術だよ、あんなもん使われちゃーそりゃあネメシスちゃんも怒りが有頂天になんじゃねえの? 知んねえけど。始末に困ってるから責任者探してんだけど、騎士団長が全然見つかんねーんだわ。やっぱり何かあったんだろうなぁ……もう死んでたりして?」

「死霊術だという確証はあるのか?」

「ゾンビだっつったじゃん」

「ゾンビだとしても死霊術とは限らないだろう。例えば、ゴーレムのコアのようなのを見なかったか? 赤く光る魔石の核がなかったか」


 それならわたしも見たことがある。


 前にディオール様と山で戦ったあれだ。


 あれがネメシス様を怒らせたってこと……?


 確かに、冒涜的ではあったかも。


「あったかもしんねえわ。なに? お前詳しいの? あれ何? 倒しても倒してもこっち来んだよ、もうお手上げ」


 リオネルさんは捨て鉢っぽい動作で両手を挙げて、ぶらぶらさせた。


「お前ちょっと来て大魔法打ってくんね? すぐ終わるだろ?」

「……あれは、氷でなんとかなるものではないんだ」

「じゃーどうすりゃいい? 誰か人貸してくれるよう王様に言ってくんねえ?」

「今は難しいと思うが」

「んだよ、ケチだなぁ。早く倒さないと、早晩王都にも雪崩打って押し寄せてくることになりかねねーよ? 今四方八方に救援打診してるけど、どこも自分の領の魔獣で手一杯だっつって全然聞いてくれねえしさあ、割と困ってるんだわ」


 ディオール様はじっと考え込んでいる様子だ。


 わたしはその隙に、リオネルさんに聞きたいことを聞いてみることにした。


「死霊術? って、魔道具と関係ないんじゃないですか? それもネメシス様のお怒り対象?」

「ん? あー、でも今回は魔術も停止されてるってことで大騒ぎでしょ? なら、死霊術の可能性あると思うけどねえ」

「その赤いやつって、わたし、前に戦ったことあるかもしれません」

「マジ?」


 少し待っててもらえるように頼んでから、わたしは自分のアトリエに入った。


 お祖母様の魔道具図鑑を持ってきて、リオネルさんに見せる。


 ――【ティアマトの血】


「これでないかと……」

「なになに? かわいい本だね」


 そう、見た目はかわいい絵本なのだ。


 でも、中身は全然かわいくなんてない。


 お祖母様の魔道具図鑑は、イラストと解説の文章が絵本みたいな仕上がりで、ちょっと見にはメルヘンな創作にも見える。


 でも、そこにはかなり具体的な製作のヒントが書かれているのだ。


 ストレートにそのものずばりなレシピが書かれていることは少ないけど、一度理解すると、作れそうなものばかり。


 そんな図鑑に、『ティアマトの血とは、カオスと海水から生まれる、生命を生み出す泥だ』と記されている。


「なるほどねぇ! あれ死霊術じゃなくて、魔道具かぁ! どーっりで神官連中の浄化の光が効かないと思った。光魔法はもう使えるようになったって聞いたから、これで勝てる! って思ってたのに、ボロッボロに負けてきたわけよ」


 リオネルさんはひとしきり現場の被害状況を教えてくれた。


 何でも、魔獣の死骸がくっついてできあがった変なゾンビがいっぱい土の中から起き上がって、ウロウロさまよっているらしい。


 倒すのはそれほど難しくないのに、何度破壊しても再生して起き上がる。


 それも、新しい身体が再生されるので、単に死骸を操ってるだけではない、もっと上位の魔法だろうという疑いはかかっていたのだそう。


 ただ、そのゾンビたちの目的というのがあまりよく分からないらしい。


 ウロウロしている以外は、何か、サーカスのような振る舞いも見せているのだという。


 まるで誰かがゾンビを操って、見世物をしているかのような……


 奇妙な動きをさせているので、術者は積み木で遊ぶ子どもか何かなのでは? とリオネルさんは疑っていたのだそう。


「変な魔道具を手に入れて、そうとは知らずに遊んでるって線もあんじゃねえかな。どう思う? リゼさん」

「そうですねぇ……誰か、使っている人がいることは確かなんでしょうけど……」


 ただ、魔獣がうろうろしているのは、単に『理性』の性能が低いだけ、ということも全然考えられる。


 この場合、赤い玉がその魔獣のパーツを動かすのにぴったり合致した、いい感じの【魔術式】を持っていなかったせいで、うまく動かせていない、といった方がいいのかもしれない。


「【ティアマトの血】には、もともと最低限の【魔術式】しか載っていないんですよ。おそらく、ゴーレムのような、無機物を動かす自律型の疑似知能のセット一式しか付与されていないせいで、変な動きをしているんじゃないかなと思います」


 リオネルさんは頼み込むような動作を見せた。


「俺、魔道具のことよく知んねえし、リゼさんちょっと手ぇ貸してくんない?」

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