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アミルからの手紙②

そうして私たちはポンさんの家に向かった。



「初めまして、ユリィちゃん、ジェイクくん。やっと会えて嬉しいわ」


紹介されたポンさんの奥さん、ブルーナさんはこの国の人だった。ダークブロンドで恐らくポンさんより歳上のキリッとした美人だ。


優しそうな男性と強気そうな女性の組み合わせって多いなと思った。


「あっちから覗いてるのが、ロミーとアニーだよ」

ポンさんが手で示す方向に、小さな女の子の顔が2つ、ドアの隙間から見えていた。

ポンさんとブルーナさんの血が混じってエキゾチックな魅力がある。私より歳下の子を見るのはほとんどないので、その可愛さに心臓を鷲掴みにされた。


「こんにちはーおいでおいでー怖くないよー」


しゃがみこんで手を差し出し、敵意が無いアピールをする。


「ユリィ、それなんか違うと思う」


ジェイクが私の横に立ち、彼女たちに微笑みかける。


「ロミー、アニー、僕と遊ぶ?」


「あそぶ!」

「わたしも!」


ロミーとアニーは即座に笑顔になり、ジェイクに抱きついてキャッキャとどこかに連れていく。

ジェイクの持って生まれた優しい雰囲気が少女たちの心を解かしたのだろう。人には天分というものがある。私は行き場をなくした自分の手のひらをじっと見つめた。


「ユリィちゃん、こっちで庭でも見る?」

ポンさんが同情して声をかけてくれた。


「庭……」


「ボクの国から持ってきた植物もあるから、良かったら株分けしようか?」


「ほ、本当ですか!ありがとうございます!!」


植物はいい。誰をも拒むことなく受け入れてくれるから。



その後はブルーナさんの作る、ルサーファ風料理をみんなで食べた。スパイスを巧みに使っていて、つい食べ過ぎてしまうおいしさだった。


◆◆◆


ジェイクとの別れを惜しむロミーとアニーを振り切り、私たちは村に帰った。

たくさんの人と知り合うのは楽しい。

出会いが新しい出会いを呼び、それぞれで繋がっていくのも面白い。



私は自室で虫の図鑑を開く。数ヶ月前、アミルが王立図書館で借りていって、長い旅を経てようやくこの国に帰って来られた本だ。

返しておいて欲しいと手紙にはあったが、何となく持ってきてしまった。


ページをめくっていくと、精細な筆致のホタルの絵に手が止まる。何度も開いたのか、手で抑えなくてもいい程開き癖が出来ていた。


アミルも何度も見たのだろうか。

空虚な思いを消すように、私は新しい便箋を取り出して手紙を書く。

───アミルが医者になりたいなんて初めて知ったけど、すごく応援してる。お互いがんばろうね。


思いつくままに書いて封筒に入れてしまう。


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