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北の山の洞窟②

私が決めかねてジェイクに尋ねると、すぐに返答があった。


「真ん中に進もう」

「い、意外と決断力がある…」

「近寄ってランタンの光で見たとき、壁がキラキラしてたからだよ」


確かに近寄ってよく見てみると、削られた壁に青っぽい鉱石が混じっている。ただの石ではなく、こういう鉱石を『発掘』したら何が出てくるのか、好奇心もあったが今は奥にひたすら進む。


時々現れる、珍しいモンスターや植物をジェイクに解説してもらいながら、歩き続けた。


「そういえばあの食堂の店名、何にしたらいいと思う?」

また左手に毛の感触があったが、もう気にしないでふつうに会話する。


「紅珊瑚かな」

ジェイクは今度も返事が早い。でも言われるとそれ以外にないと思った。



「それ、すごくいい名前だと思う!そうだよね、ジェイクが紅珊瑚の採掘を考案してくれて、アミルとアミルのお父さんが来てくれて、それからこんなに発展したんだもんね」


「あ、ううん…紅珊瑚はユリィの瞳みたいだからいいかなと思っただけ」


「………じゃあ、宿屋は私が決めるね」


「何にするの?」


「リリアレス。私の一番好きなお花の名前」



私のベルトに抵抗があって、後ろから掴んでいるジェイクの足が止まったのを感じた。


「それって…ユリィ…いつの間に調べたの?」


「ジェイクもやっぱり調べてたの?」


「僕は調べたよ、王立図書館の本で。あとから毒でもあったらどうしようかと思って」


リリアレスは、私の誕生日にジェイクからもらった赤いお花だ。あのときは二人して名前もわからなかった。

だけど、王立図書館という場所を与えられてそれぞれ調べてたんだと思うと嬉しくなる。


「私ももちろん最初に王立図書館に行ったときに借りてきた本で。だって、大事なお花だから。殖やして来年にはリリアレスのお花畑にしたいの」


「あのときは歴史とモンスターをもっと勉強したいって、そういう本を借りてなかった?!」


「ふつうに植物図鑑も借りてたよ」


「気がつかなかった…」


「借りっぱなしだからそろそろ図書館に本を返さなきゃ。ジェイク、お願いね」


「はあ、ユリィ…」


だけど食堂も宿屋も私に関係ある名前になってしまった。ナルシストっぽいかなあ?

次の施設は私と関係ない名前にしよう。


真っ暗な道なのでどれくらい進んだのかわからないまま歩き続けた。子供の私たちも狭いと思う程次第に道が細く、天井も低くなり、ついに行き止まりになってしまった。


「岩盤が固すぎて削れなかったのかな?」

ジェイクが呟く。

ごつごつした岩肌は何もかも拒むような漆黒だ。


「私にとってはこれ、すごくいい」

私は、岩盤にミスリルの短剣を突き立てる。すると短剣はポキリと折れて光の泡になるが瞬時に新しい短剣が出現した。これは5回だったか、発掘済みだけど更に強化できてうれしい。


「えい、えい」

時刻は丁度丑三つ時だろうか。

私は壁に向かって短剣を穿ち続けた。特に呪いたい相手はいないけど──。


更にレイピアも発掘強化しておこう。

これは最近出来たばかりで、まだ一度も発掘強化していないから割り箸でも折ってるんじゃないかという軽さで済む。


「今日は調子いい!」

「良かったね」


ジェイクはランタンを持って、私を見守っている。

足元には、岩盤が『発掘』されて盗賊の宝物庫かと思うほど金銀宝石が積み上がっている。


「ふう…ちょっと疲れた」

「はい、パンだよ」


ジェイクが差し出してくれたパンを私は出来るだけ細かくちぎって口に入れる。力が戻ってくる。


短剣はもう限界っぽいのでレイピアを突き立てる行為を繰り返す。


「!!」


突き立てた感触が変わったのを感じる。向こう側に空間がある。


「ジェイク、少し下がってて」


ポキッとレイピアを折り、新しいレイピアでもう一度刺突する。

そのとき、黒い岩盤が音を立てて崩れ始めたので後ろに退避する。


土や砂が落ち着いたのを確認してから私とジェイクは岩を踏み、向こう側に進んだ。


「わあ……」

「クリスタル……?」


そこは床や壁から巨大で透明な結晶が、柱のように伸びた空間だった。あちこちから乱雑な方向に生えているので斜めになって歩くうちに上下がわからなくなりそうになる。


「すごいね」

「何でできてるんだろう、僕もまだ知らない」


触ってみると、ほのかに温かく、弱い光を放っている。生きているみたいな鉱石だ。

私とジェイクはしばらく言葉もなく、幻想的な光景に見入っていた。

自分が子供だから、というのを置いても人間の小ささを痛感する。巨大な鉱石のお腹の中にすっぽり入ってしまったように感じた。



──いや、この湿った空気は何か生き物の気配では?

暗闇に目を凝らすと、僅かに動く影が見えた。



ついにPV数が一万を超えました。

皆様に見守られてなんとか書けています。


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