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復讐讃歌 〜青き瞳が世界を塗り替えるまで〜  作者: 抹茶堂
序章「仮面を被りし者」
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復讐者

 俺にとって人生とは復讐以外の何物でもなかった。

 奴らを殺すために力をつけ、奴らにあらがうために破壊して、奴ら―――国家に復讐するためだけに無様で惨めで愚かな人生を生き抜いてきた。


 そう、復讐こそが俺の全てなのだ。

 だから今宵も、復讐の二文字を胸に抱きながら、ただひたすらに破壊する。壊して壊して壊して壊して壊して殺して殺して殺して殺して殺して崩して裂いて乱して燃やして、破壊の限りを尽くす。ただ、それだけだ。


 高層ビルの屋上から、夜の闇に沈んだ街を見下ろしながら、俺はその復讐心をできる限り燃えたぎらせて、今夜の計画を頭の中で整理していた。


目前にそびえ立つのは警邏第四番隊本部。

リグレジアの実権を握る王家の忠実なる僕であり法の番人である奴らこそが、国家に巣食う闇の一つ。治安維持組織、警邏だ。

警邏は国家権力の名の下に、王家に敵対する全てをあらゆる手段を用いて排除する。警邏の監視は国家の隅々まで行き届いており、少しでも国家への反逆を企むものなら、すぐさま警邏の冷酷無慈悲な制裁を受けることになり、その人生に処刑という名の終止符を打たれる運命をたどることになるだろう。そんな警邏の根城たる施設はいくつもあるが、この本部施設はエリア四を支配する第四番隊の最重要施設だ。今いる高層ビルも、高さ三百メートルはあるだろうが、警邏の本部だけあって、目の前の施設はそれを裕に超えていた。目測だがおそらく四百メートルはあるだろう。しかもやたら警備が厳重だ。地上には警邏隊員がうじゃうじゃいるし、本部のいたるところからサーチライトが放たれていて、外部の侵入を一切見逃さないといった様子だ。


 俺も高層ビルの屋上にいるとはいえ、高さは向こうより低いわけで、頻繁にサーチライトの巨大な光に照らされるため、迂闊に本部を偵察することもできない。一瞬の隙も許されない状況。


「まあ、どんなに堅く守ろうが関係ないんだが」


 誰に言うでもなく独り呟く。

 夜風が心地いい。涼しげな風が頬を撫でる。全身を覆う外套が風に揺らめき、パタパタと静かに音を立てる。

 

 俺は懐から仮面を取り出す。仮面にはとある紋章が描かれていた。血で描かれたせいで変色して赤黒くなっている不気味な紋章。それは俺の復讐の原点であり、憎しみの源泉だ。


「そろそろか。あいつも今は徘徊中のはずだ」


 仮面を顔に固定する。どんな衝撃を受けても外れないようにしっかりと。

 俺は屋上の淵に立ち、俺のすべてを奪った国家に向けて静かに宣言する。

厳かに。吐き出すように。ありったけの殺意と憎悪を込めて。


「―――復讐を開始する」


 そう呟き、飛び降り自殺者のように躊躇なく、俺は屋上から飛び降りた。


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