第三十三話:平和な朝食
翌朝、カイルはエドガーとマリアの談笑する声で目が覚めた。
目をこすりながら食卓に向かうと、ノーランといっしょに何故かタティスまでいる。
マリアが食卓の方に戻って来た。
料理の載ったトレーを持っている。
「これ、エドガーさんが以前住んでいた地方の料理なんですって」
「みなさんの朝食にどうぞ、ですって」
ノーラン、タティス、カイルはその料理を覗き込んだ。
本格的な料理人が作った様な、お店で出てくるクオリティだ。
サクサクのデニッシュ系パンからは、ほんのりとバターの香りがする。
オムレツは、表面が滑らかで中が半熟。ハーブやチーズの香りがする。
「こりゃ美味そうだな、あ、マリア、俺のコーヒーは濃いめで頼むぜ」
タティスが真っ先にオムレツを食べていた。
「なんだ?エドガーって料理人だったのか?」
ノーランやカイルも食べてみた。
お店の味だった。
エドガーさん、昨晩のお礼のつもりなのかな…。
カイルはデニッシュを頬張りながら考えていた。
とりあえず、お母さんと話してる声は明るかった。
良かった。
タティスはオムレツを頬張りながらノーランに話しかける。
「お前、王室の技術顧問なんて引き受けちまって大丈夫なのか?」
「ふうむ…なりゆき上、仕方なかったんだ」
「技術顧問と言えば師団長のすぐ下のポジションだぞ?周りからヘヘーって頭下げられるお偉いさんになるってことだぞ?」
「あまり、性に合わんがな」
「俺もお前にため口なんてきけなくなるな」
「そこは今まで通りでいいじゃないか」
「そうはいかねえよ、なあカイル?」
「お父さんとタティスさんは親友なんだから、変える必要は無いと思うけど」
「だってお前、王室の顧問だぞ?」
カイルは、軽口を叩いているタティスが心の底から親友の出世を喜んでいることが伝わってきていた。
エドガーは自分の書斎で、埃をかぶっていた書籍の整理をしていた。
「まさかコイツらが再び日の目を見る時がくるとはな…」
分厚い専門書の数々だった。
筒に入った書状も出てきた。
エドガーは遠い目で、それを眺めていた。
その書状には「特級魔道工学士」「免状」と記載してあった。
階下からハンナの声が聞こえた。
「あ!お父さんが朝ごはん作ってくれたの?」
「いっしょに食べよう!」
エドガーは「わかった今行く」と返事しながら、免状をそっと筒に戻した。
御覧頂いた皆様に心より御礼申し上げます。
初回投稿から毎日投稿を続けておりますが、最終話まで毎日投稿で走り切るつもりです。
常時、原稿ストックを40本以上キープして公開を続けます。
「エタりません、完結までは。」
最終話までお付き合い頂けましたら幸いです。




