外伝1 私怨
紅霧異変解決前 霧の湖外縁部
霧と紅霧の満ちた空を見上げる。
太陽はまだ頭上に残っているはずだが、目視で確認することはできない。
真夏だというのにこの薄暗さ。
昼夜感覚が狂ってしまいそうだ。
幻術を纏ったまま茂みから顔を出す。
周囲を見回してみるが、妖精以外にはろくな生物がいなかった。
まあ、今のボクたちにとっては有難いわけだけど。
「志歩、大丈夫そう?」
背後から潜めた声で呼ばれる。
ボクは振り返って頷いた。
「大丈夫さディエナ。雑魚妖精しかいない」
「……そう」
それを聞いた彼女は、安心したように茂みから這い出てきた。
膝まで伸びる長い赤髪と、綺麗な赤眼。
幼くも美しい顔立ち。
小柄な体躯を包むノースリーブの赤いワンピース。
ディエナ。
四大精霊の一、炎精の少女。
炎熱を操る力を持つ。
ボクやマモルやアカリと同じく、現世から幻想郷に飛ばされてきた存在だ。
「本当に周りから見えてないのよね?」
「天狐の力を疑っているのかい?」
「信用ならないわよ、狐なんて」
ぷいとそっぽを向く彼女。
先端のみが透き通るその不思議な赤髪を、指先にくるりと巻いては流している。
どこか素直でないこの性格さえなければ、美女に化けた狐にも優る可愛らしさだというのに。
いいや、この性格こそが愛嬌なのかな。
アカリいわく、現世の人間はこういう子を“ツンデレ”と呼ぶらしい。
マモルがツンデレっ子好きだったりしたら、良い巡り合わせだ。
……まあ、マモルは誰にもやらないけどね。
あの人間はボクの大事な食料供給源なんだから。
ああ、何故ボクらがこそこそしているのかって?
復讐さ。
吸血鬼、レミリア・スカーレットを叩き潰す。
そのためにここまで来た。
先の吸血鬼異変で、ボクとディエナは罪を犯した。
首謀者レミリアからの強制従属契約をかけられ、ボクらは自我を失って人妖を殺し回ったんだ。
マモルたちが止めてくれなかったら死ぬまで暴れ続けていただろう。
その時の記憶が罪悪感と恐怖となって、今のボクらを苦しめている。
妖怪を殺し、里を破壊し、友達だったはずのマモルとアカリを傷つけ、でも情けをかけられこうして生き延び。
いっそ殺してくれれば良かったのにと思うのはもうやめた。
そもそも全部レミリアのせいだ。
彼女を葬れば多少は贖罪になるだろう。
どうせ一度死んだようなもの……今更吸血鬼如きで怖気付くことも無い。
吸血鬼一味は懲りずにまた異変を起こした。
これは挑発と見ていい。
同時にチャンスでもある。
異変解決を口実に彼女を潰せるのだから。
たかだか五百歳程度の蝙蝠娘が、千余年生きた天狐と悠久の炎精を挑発しようなど愚の骨頂。
身の程を知れ。
「というかディエナ、外では狐って呼ばないでっていつも言ってるじゃないか」
ディエナを指さして抗議する。
しれっとボクの嫌がることをする……これから死線を共に歩むことになるんだけどなあ。
ボクは吉凶を操る彗星の妖怪。
……を騙る、天に至った最強の狐、天狐だ。
何故隠しているのかって、そんなもの“醜いから”に決まってる。
輝く長い銀髪、銀眼、蒼く冷たく光る右前髪、それだけならいい。
狐のように縦長の瞳孔、鋭い犬歯、尖った狐耳、赤く禍々しい右眼、右眼の上下から身体中へ走る赤い紋様、青く鋭く伸びる爪……。
そんな姿、見て誰が喜ぶ。
不要に恐れられ、忌み嫌われ、遠ざけられるだけだ。
だから、髪と瞳の色だけを残してあとは全て幻術で隠している。
同時に種族名も伏せている。
当然、正体を知る知り合いにもそうお願いしている訳だが……。
「ボクに対する嫌がらせかい?」
「志歩だって、サラマンダーって呼ばないでってあたしが言うのを聞かないじゃない」
「キミが理由を話してくれないからだろう。それじゃ理解すらできないよ」
「ふん。されなくていいわよ」
彼女にだけは無視されている。
今回の攻撃には喜んで協力してくれた彼女だが、初めて会った時からボクに対しては冷たい。
元々人あたりの良い奴ではないが、ボクには特段の抵抗感があるようだ。
ちょっと傷つく。
まあいいか。
狭い幻想郷だ、早かれ遅かれ僕の正体は他人にもバレてしまうんだろう。
単なるボクのコンプレックスなわけだし、大した影響は出ないはずだ。
「冷たいなぁ。炎精なのに」
「彗星の具現に言われたくないわね」
「ボクは冷たくな……」
言い合いを中断する。
不思議そうな顔をしたディエナに、動くなとジェスチャーを送る。
妖力だ。
比較的強力な妖怪か何か。
だんだん近づいてくる。
ボクらの姿や気配や声は幻術で完全に消してある。
博麗の巫女ですら全く気付かない、天狐の幻術。
発見は不可能だ。
このままやり過ごしてしまおう。
草木の隙間から空を見る。
いた。
上空を巡航する白い人影。
まっすぐこちらへと飛んできている。
その進路に迷いはない。
まさか見えている?
否、そんなはずはない。
幻術はさっきまでも、今も、正常に作動している。
作動しているのに。
「“正せ”」
人影が女声を発した。
瞬間、幻術が消え去った。
何の音も軋みも予兆もなく、一瞬で。
なんで。
どうして。
どうやって。
千余年かけて精巧複雑に作り上げた最強の幻術。
それを実現する、千余年かけて積み上げた強大な力。
ボクしか知らない術式、ボクにしかできない技巧。
それを……息を吹くように容易く……。
容易く、容易く、消し去った。
「正しくない現実、正しくない気質、正しくない力……」
人影の正体は白いバトルドレスの女。
美しい金の長髪と碧眼。
端正な顔を冷徹の表情で固め、にやりとも笑わず。
「私には見えるのですよ、狐」
ボクらの前に、降り立った。
* * *
「…………キミは、」
そこまでで言葉が途切れた。
動揺で気を取られ、呼気が足りなかったのだ。
「正義と月光の妖怪、照月零と申します。貴女方を探していました」
胸に片手をかざし、冷静に名乗る金髪碧眼の女。
何者だい? などと続けたかった訳では無い。
西洋の姫騎士のようなその神々しい姿、忘れるはずもない。
「ゴッデス……あなたがどうして幻想郷に」
ディエナが警戒しながら訊く。
レイと名乗った女は、それを聞いて片眉を僅かに上げた。
「ふむ、東雲明と同じことを訊くのですね。あの妖術師兄妹と行動を共にしていたわけですか」
「質問に答えて。あなたは“ニューヨーク”という異国の街にいたはず。どうしてここにいるの」
ディエナの赤眼が彼女を睨みつけた。
透き通る髪先が陽炎を纏う。
幻想郷に飛ばされる前、アカリの“スマホ”を通して見た謎の女。
ニューヨーク上空に突然現れ、異変首謀者である“黒服”の従者、ミラージュ・ナイトメアを撃退してみせた妖怪。
通称、ゴッデス。
間違いなく同一人物だ。
「“強者”と行動を共にしただけです。現世を覆し、吸血鬼を倒したあの強者と。貴女方もご存知でしょう?」
露骨な威嚇にもレイは動じない。
静かに睨み返しつつ言葉を返してきた。
ボクはディエナに代わり口を開く。
「共に行動? 黒服と? キミは彼とも従者とも敵対していたはずだ。どういう風の吹き回しだい?」
「幻想郷に来たのは賢者のお節介ですが……。敵対関係についてはもうありません。優勢だったはずの彼にどうしてもと頼まれたので停戦しました。そもそも現世を去った今、もう彼と敵対する理由もありませんし。……と、東雲明にお伝えした筈ですが」
レイはやや面倒そうに説明してくる。
アカリだと?
さっきから気になっていたが、何故そこでアカリが出てくる。
「いいや初耳だよ。キミ、まさかアカリに会ってたのかい?」
「ええ、命名決闘法が完成したあたりで。……やはり周囲に黙っていましたか。正しくない人間です」
呆れ顔のレイ。
あれほど忠告したのに、等と呟いている。
正しくない……か。
肝心な事をよく黙っているアカリのあの性格を見抜いているのだろうか。
だとしたら、面識があるというのは事実かもしれない。
命名決闘法完成前後……。
丁度あの頃だ、アカリの顔色が優れなくて声をかけたのは。
身体が妖怪になっていってる気がする、等と説明していたっけ。
あの時はようやく自覚したのかと安心していたが、なんのことはない。
この女が入れ知恵したのだろう。
シノノメ兄妹の妖怪化は、博麗巫女や大妖怪でなければ見抜けない。
だがレイムはただ監視しているだけ、あの鴉天狗の新聞記者は傍観しているだけ、ボクはアカリが自覚してから手を差し伸べただけ。
アカリに対して早期に入れ知恵できるのは、当時ボクらの認知していない大妖怪だけ。
つまり彼女だけだ。
照月零。
妖力量からして大妖怪とまでは呼べまいが、ボクの幻術を一瞬で破るような実力だ。
部分的には大妖怪クラスだろう。
「それで、何の用。あたしたち今から忙しいんだけど」
ディエナが再び零に問う。
ここはもう紅魔館の近くだ。
あまり時間を食いたくない。
「おや、ご用事がおありでしたか」
「そうよ。だからどいて。邪魔するならあなたも敵よ」
「そうですか」
レイは微笑む。
右手がゆっくりとディエナを指し。
「それは残念です」
その手に純白の聖槍が出現した。
驚愕に固まったディエナの眼前に槍先が据えられる。
「ディエナ、天祈志歩、貴女方を力づくでも連れて来いと言われています。私に従いなさい。紅魔館前で荒事はしたくありません」
張り詰めた妖力からして間違いなく本気。
退くつもりは無いようだ。
彼女は一瞬紅魔館を睨んだ。
隠しきれない嫌悪感が滲んでいる。
彼女もボクらと同じく吸血鬼異変の被害者なのだろうか。
「誰の指図だい。賢者か、黒服か。まさか吸血鬼じゃないだろうね」
「賢者の采配で動いている強者からの要請です。今の私は賢者の実働部隊としてここにいます。その意味がお分かりですね?」
毅然とした回答。
強者は賢者の実働部隊で、レイは強者の協力者らしい。
ということは、彼女もまた吸血鬼異変解決に協力したのだろう。
おそらくは賢者と強者の仲間として。
レミリアとの仲が良いわけがない。
嫌悪感を示す理由はそれか。
しかし、賢者か。
その名前が出てくるとなると。
「……なるほど、ボクらに拒否権は無いわけだね」
「ご名答です」
「分かったよ。降参だ」
肩を竦めてレイを見る。
彼女は頷いて瞑目し、聖槍を下ろした。
賢者の意向に逆らうことは、すなわち幻想郷に逆らうことだ。
自我が奪われていたとはいえ吸血鬼異変で逆らってしまった手前だ。
もう無茶はできない。
従うしかないだろう。
「で、ボクらは何をすればいいんだい?」
ボクはため息混じりに再び口を開く。
肝心なのは脅した理由だ。
くだらない内容だったらタダじゃおかないぞ。
レミリアへの復讐よりも崇高で意義のある用だろうな。
「貴女方は吸血鬼異変における罪人です。贖罪として、その身体を幻想郷のため捧げるのです」
レイは聖槍を持ったまま宙に浮かび上がる。
ディエナがイラついた様子で口を出した。
「何よそれ、はっきり言いなさいよ。働いて欲しいの? 死んでほしいの?」
「そうですね、死ぬかもしれません。そのくらい危険な場所に赴くことになりますので。……さあ、行きますよ」
言うが早いか、彼女は身を翻した。
慌ててその背中を追う。
ディエナも不満げな顔で付いてきた。
まさか、彼女自ら率いるのか。
死地へ率先して飛び込むなど……。
賢者の采配とはそれほどまでに絶対的なのか。
というより、吸血鬼異変が終息した今になって“死ぬかもしれないほど危険な場所”とは一体。
方角からして妖怪の山に突撃する訳でも無さそうだし。
皆目見当もつかない。
「レイ。その危険な行先ってのは」
飛行しながら問う。
彼女は横目でボクを見る。
「“地底”です」
酷く冷徹に達観した目だった。
名前:天祈 志歩
初登場:一章第二十一話 彗星
種族:妖獣(天狐)
性別:女
年齢:千歳以上
身長:普通
髪の長さ:肩~
髪の色:銀(右前のみ青)
瞳の色:左銀・右赤
能力:吉凶を増幅させる程度の能力
彗星の妖怪として生きている妖狐。
妖狐といっても並外れており、彼女は千年以上生きて天の域に至った狐、天狐である。
天狐としての姿が醜いために人妖に忌み嫌われた過去を持つ。
ゆえに普段は幻術で身体的特徴を隠し、ただの彗星の妖怪として過ごしている。
物事の吉と凶を一時的に増幅させる能力を持つ。
この物語における、いわゆる悪戯っ子キャラ・僕っ娘キャラ。
服装は灰色がかった無地の浴衣に青い帯。
一部が肩下まである銀髪で、右前髪だけが青色となっている。
左目の色も銀であるが、右目だけは赤色でいわゆるオッドアイ。
性格は明るいが、長寿の妖狐としての冷徹な面もたびたび見え隠れする。
口調や特異な見た目、効果を読みにくい能力のせいもあり、傍からだと本心や強さは推測し難い。
(第一章)
現世にて、森の中で遭難した東雲明の前に彗星の妖怪として姿を現し、友人となる。
明に妖術の素質があることを見抜き、扱えるよう手解きしたのも彼女である。
その後東雲衛たちとの合流を果たし、一連の騒動の原因を探るため行動を開始する。
だがたどり着いた先の神社で大妖怪に襲われ、東雲兄妹を逃すためその場にとどまる。
以来生死も行方も不明であった。
(第三章)
吸血鬼異変で戦場となった人間の里に突如襲来し、東雲衛らに対して攻撃を仕掛ける。
吸血鬼による強制従属契約で自我を失っており、かつての友である衛の呼び掛けにも殆ど応じなかった。
最終的に衛と霊夢によって倒され、封印を施された上で神社で保護されることとなる。
翌朝、神社で目が覚めた際には自我が戻っていた。
だが無自覚のうちに幻術が薄れており、見舞いに来た衛に狐だと知られてしまう。
仕方なく天狐としての姿を衛に晒すが、彼は特にこれといった嫌悪感も示さず、友人であり続けると約束してくれた。
その後はスペルカードルール作成に協力したり、神社への食料供給係として働いたりと、他の人間に対しても友好的に接している。
一方で、経験からくる推測力と観察眼を活用して裏で動いてもいる。
東雲兄妹の妖怪化の兆候を早期に見抜いており、友人として二人に対して干渉している。
これは吉凶増幅能力を活用し、東雲兄妹の人間種としての“吉”を増幅させて妖怪化を抑制し続けるというものである。
しかし非常に多くの妖力を割いている上、衛に対しては何故か効果が薄くなるため、衛本人から“精気”を吸い取って妖力の足しにしている。
人間男性の精気を吸い取ることで力を付けてきた妖狐ゆえの技である。
(今章)
衛らが紅霧異変解決に乗り出す直前。
彼女は現世から行動を共にしていたディエナと共に、吸血鬼への復讐のため密かに行動を開始する。
だがこれを予測していた強者の協力者、照月零に阻止され、予定変更を余儀なくされる。
名前:ディエナ
初登場:一章第十九話 炎精
種族:精霊(炎精)
性別:女
年齢:不明
身長:低
髪の長さ:膝
髪の色:赤(先端のみ透明)
瞳の色:赤
能力:炎熱を操る程度の能力
四大精霊のうち、炎と熱を操る精霊、炎精の少女。
火蜥蜴、サラマンダーとも呼ばれる。
純粋に炎を生み出せるほか、物体の熱量を自在に操る能力を持つ。
寿命の概念の無い種族であるため、年齢不詳。
また理由は不明だが、自分の種族を妖精と偽っている。
この物語における、いわゆるロリキャラ・ツンデレキャラ。
赤い袖なしワンピースを纏うのみの軽装。
膝裏辺りまで伸びた赤髪は、毛先20センチ程だけが無色透明となっている。
幼くも可憐で美しい容貌を持つ。
性格は、人間側にも妖怪側にもなびかないクールな一匹狼。
少々当たりが強く素直でないが、基本的には話の分かる相手である。
(第一章)
現世にて、真冬の川に落下した東雲衛を救助し、行動を共にするようになる。
衛に妖術の素質があることを見抜き、扱えるよう手解きしたのも彼女である。
その後東雲明たちとの合流を果たし、一連の騒動の原因を探るため行動を開始する。
だがたどり着いた先の神社で大妖怪に襲われ、東雲兄妹を逃すため志歩と共にその場にとどまる。
以来生死も行方も不明であった。
(第三章)
吸血鬼異変で戦場となった人間の里に突如襲来し、東雲明らに対して攻撃を仕掛ける。
吸血鬼による強制従属契約で自我を失っており、かつての友である明の呼び掛けにも殆ど応じなかった。
最終的に東雲兄妹や霊夢ら人間によって倒され、封印を施された上で神社で保護されることとなる。
翌朝、神社で目が覚めた際には自我が戻っていた。
昨日の記憶から恐慌状態に陥り取り乱すが、衛が優しくあやしたお陰で平静を取り戻す。
この時点で霊夢と魔理沙は、ディエナが妖精ではなく精霊であることに気付いており、後から聞いた衛は驚きと疑問を持つことになる。
だが偽った理由を本人に尋ねても絶対に答えは返って来ないため、周囲の人妖は最早この問いをタブー視している。
本人はスペルカードルール作成に協力したり、能力を活かして火の元担当として働いたりと友好的である。
(今章)
衛らが紅霧異変解決に乗り出す直前。
彼女は現世から行動を共にしていた天祈志歩と共に、吸血鬼への復讐のため密かに行動を開始する。
だがこれを予測していた強者の協力者、照月零に阻止され、予定変更を余儀なくされる。
名前:照月 零
初登場:一章第十六話 聖槍
種族:妖怪
性別:女
年齢:500歳前後
身長:高
髪の長さ:腰
髪の色:金
瞳の色:青
能力:正す程度の能力
月の光や絶対正義の具現として生まれたとされる妖怪。
この物語における、いわゆる正義の味方キャラ。
ロングスカートの白いドレスを身に纏っている。
妖力で構成された、地槍という名の純白の聖槍を扱う。
正義感が強く、秩序を乱すモノを許さない厳しい性格。
誰に対しても敬語を使うが、当たりが強いために優しくは感じられない。
現世が人類科学文明に支配された時代、夜を照らす電灯などにより月光が忘れられた。
また、度重なる戦乱などにより絶対正義も忘れ去られた。
存在意義を失った彼女は次第に実体を保てなくなっていき、百年前には自我すら失った。
(第一章)
黒服による明無夜軍が始まると同時に、望まず復活を果たした。
黒服やその従者ミラージュ及び暗鬼が世界秩序を乱していると判断し敵視、その排除に動く。
ニューヨークにてミラージュを撃退後、黒服を倒すべく東京へと向かうが、規格外の大妖怪たる彼には全く歯が立たず、戦闘不能となる。
直後に現れた幻想郷の賢者によって黒服とミラージュが苦戦を強いられているのを見た彼女は、残された力を振り絞り、ミラージュに奇襲をかけて重傷を負わせることに成功する。
しかしそれが黒服を激怒させてしまい、報復攻撃により致命傷を負う。
彼女は行動不能のまま賢者によって異空間に引きずり込まれ、意識を失った。
(第二章)
彼女は竹林の中で目を覚ます。
日が暮れるまで周囲を彷徨い、鈴蘭の咲く丘まで来たところで、彼女を探しに来た黒服と鉢合わせる。
彼女は黒服を見るやすぐさま戦闘態勢に入るが、何も出来ないまま拘束される。
彼から、ここが幻想郷と呼ばれる世界である事、我々現世にいた妖怪は時間を遡ってこの幻想郷に来た事、来るべき変革の戦いに備えて我々は協力すべきである事、などを聞かされ、渋々彼に従うこととする。
(第三章)
吸血鬼異変が発生し、黒服やその従者ミラージュと共に鎮圧に向かう。
首謀者レミリア・スカーレットに対する足止めに進み出、ミラージュや黒服が支援に駆けつけるまで一進一退の死闘を繰り広げた。
彼女はかつてスカーレット家と戦って敗北した経験があり、図らずも再戦を挑む形となった。
時間を遡る禁忌を犯したうえ、無限ループを避けるために異なる世界線を選んでこの幻想郷に来たはずの零ら時空逆抗者。
本来であればこのレミリアは平行世界の別人であるはずだが、何故かかつて会ったレミリアと同一人物であった。
これは吸血鬼一味が時空逆抗者と同じ足取りで幻想郷に来ていた為であり、レミリアが時空逆抗の事象に気付く原因にもなってしまった。
なぜこれらが賢者の計算外となってしまったのかは不明である。
吸血鬼異変がレミリアらの敗北及び時空逆抗者の勝利で終結したために、時空逆抗については口外されずに済んでいる。
(今章)
東雲衛らが紅霧異変解決に乗り出す直前。
賢者の采配と強者の要請を受け、吸血鬼異変における罪人、天祈志歩とディエナの身柄を確保しに向かう。
二名は吸血鬼への復讐を図っているものと予測し、紅魔館周辺で待ち伏せしていた。
目的は、贖罪という名目で二人を危険地帯への同行者とする事である。




