第一話 雨宿り
世界は退屈だ。そう思っていた……。
楽しいことも何もない人生が続いていた。
そんなとき、あの存在たちが来て、励ましてくれた。
ザーーーーーッと雨が降る。
梅雨でもないのに、大雨が降り続ける。
こんなときは、気分が落ち込んでしまう。
私は「常磐 凪」。
……普通の中学生。
……不思議な存在に好かれるだけの中学生。
「……傘、忘れちゃったな……。急に降るなんて……。……ん? ……傘?」
前から傘が歩いてきた。
いや、傘を持った少女だ。
「?」
少女がこちらを見た。
「……星型の瞳孔……守護者か」
この子は守護者。不思議な存在の総称だ。
時に人に味方し、時に攻撃する。そんな変わった存在たち。
まぁ、他にも変わった存在はいるのだけれど、それらは一般的に「幽霊」「妖怪」「亜人」「精霊」「妖精」「悪魔」「天使」「神」「想霊」「守護者」、そう呼ばれている。
この少女も守護者の一人だ。
それらがどの存在かは、瞳孔を見ればわかる。
守護者の瞳孔は星の形をしているからだ。
「はい、守護者ですよ? ……あの~? 傘、ないんですか~?」
少女が話しかけてきた。
少女は黒髪のおかっぱで、水色の長靴に水色の雨合羽、水色の子供用の傘を差している。
見ただけでは人間と見分けがつかない。
「えっと、私は傘の守護者『パラソル』です。傘をお貸ししましょうか?」
『傘の守護者【パラソル】』
『誕生年月 2005年6月』
『とても穏やかな性格で、防御に特化した技を持つ』
「いや、いいよ。急いでるってわけじゃないし……それに走って帰れば……」
そう言いかけた瞬間、
「それはダメです! 風邪を引いてしまいます!」
「……君も、心配してくれるんだね」
「? ……当たり前です!」
少女――パラソルは片手を傘から離した。
そして、そこから光が現れ、一つの傘が出現した。
「よかったら、どうぞ?」
「いや、いいって。気分は落ち込むけど、雨音は好きだから」
「そう、ですか。では、」
パラソルは私の隣に立った。
「なに?」
「いえ、別に♪」
「そう」
こうして誰かと並ぶのも、悪くないかも。
「あの、」
「なに?」
「お姉ちゃんは、守護者は嫌い、ですか?」
パラソルは心配そうな、悲しそうな目で私を見る。
「ううん、好きだよ。ただ、気分が上がらないだけ」
「そう、ですか……。私は2005年生まれだから、最近の子は守護者が怖いのかと思っちゃったよ」
「そんなことないと思うけど……」
守護者には年齢がなく、年も取らない。
だが、時代の情報に取り残されている者も少なくない。
「そうでしょうか。それなら嬉しいです♪ ……あ、雨が上がりましたね」
「ほんとだ。いつの間に……」
「あの! また会いましょう」
「……まぁ、会えたらね」
こうして私の、さまざまな不可思議な存在たちとの出会いが始まった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




