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第53話 みんな大好き恋の話


『てかてか、恋愛とかどうなの二人は? やっぱ華の高校生、青春真っ只中だし何かそういう話ないのないの~?』


【絡み方がおっさんのそれで草】


 というコメントに俺も心の中で同意しながら、こういう手の話題は女子のあきななに振られると思っていたのだがタケさんは俺の名前を呼んできた。


『ね~ラギくん?』


「え、俺!? 俺っすか!?」


 完全に油断していた俺は思わず変な声を上げてしまい少し恥ずかしくなる。


『うんうん、好きな人とかいないの?』


「えー、好きな人とかは特にいないですよ」


『私もこの前聞いたけど彼女も出来た事ないって言ってたもんね』


「いやそういうあきななこそ彼氏出来た事ないんだよね?」


『あーうん、そうなんだよねー』


『え! そうなの!? 二人共勿体ないなぁ。学生の内に恋愛はしといた方がいいぞー』


【出たおじさんの説教】

【あきなないた事ないの!? まじか】

【恋愛はしとけ】



 ここで話を終わらせる事はできる。でもそれでは盛り上がりに欠ける。この手の話題は意外と男女問わず皆好きだ。そういうので盛り上げないと俺がここにいる価値がない。それに俺も少しは爪痕は残したい。


 そういう思いから俺は口を開き、この話題を続ける事にした。


「好きな人とかそういうのはないですけど、今日同じクラスの女の子と二人でボーリングには行きましたね」


『えっっ!!?』


『おぉっ!!?』



【!?!?!?!?!?】

【は???】

【裏切者】

【しね】


 タケさんよりもあきななの方が少しだけ先に反応したのが少しおかしくて微笑する。


 やっぱり女子の方がこういうのは好きなんだな。


 実は同じ学校で同じクラスの俺がいつの間にか女子と二人きりで遊んだという事を知って驚いているのもあるかもしれないが。


 てか俺のコメント欄の荒れようが凄い。そこまで言う!?


 あきななやタケさんのコメントの速度が先程よりも上がっていて盛り上がっているのがみて分かる。


 男性陣らしき人達からは暴言だったり羨ましい系のコメントが、女性の視聴者からは続きを促したり質問のようなコメントが流れていた。


 目論見通り盛り上がってくれているみたいで何よりだ。



「まぁボーリングしたり卓球したりご飯食べたりしただけですよ?」


『えっえっめっちゃ青春じゃんいいねぇ! なんでその子とボーリング行くことになったの?』


『誘われたの? 誘ったの?』


 七月さんはきっとクラスの誰と行ったのか気になっているんだろうが、今は配信中だから聞けずじれったい思いをしているのかやけに食い気味だ。


「誘われてだね。俺はてっきり他の人もいると思ってたんだけど、いざ行ってみると二人きりだったんだよね」


『えぇぇ! なんて誘われたの!?』


『あはは、あきななちゃん凄い食いつきっぷりだね……』


 今まで会話の主導権を握って場を回してくれていたタケさんも思わず苦笑いしている。


「この前その子も含めた数人でテスト終わりにボーリング行ったんですよ。その子運動神経良くて結構負けず嫌いなところあって、その日俺がスコアでその子に勝っちゃったんですよね。そしたら解散してから夜lime(ライム)が来てリベンジさせろー! って感じで誘われたんすよ。で、特に予定も無かったし他にも人いるだろうと思って行ったら二人きりだったってオチです」


『ほーん?』


『おぉぉぉ!! いいねいいねぇ青春だねぇ! 絶対その子ラギくんの事好きじゃない!?』


【は? lime交換してたのかよ】

【意外とラギって陽キャ側だった……?】

【活発女子すこ】


「いや、多分それは無いと思いますよ。まじで純粋にリベンジみたいな感じでそういう雰囲気じゃなかったんで」


 まぁ途中から少し小野さんの様子がおかしくなったり、最後の方は人に話すのは少し恥ずかしいような会話をしていたし、デートみたいとはお互い思ったけど。そこまで言う必要はないだろう。


 聞いておきながら何故か適当な相槌をしているあきななを疑問に持つ。しかもその時ゲームのキャラは全く動いていなかった。


 すると表にして少し離れたところに置いていたスマホに通知が来ているのが見えた。その瞬間にあきななの操作するキャラは再び動き出す。


 もしかしてあきななが何か送って来たのか? 


 そう思い、俺も安全な所に移動して急いで通知の内容を確認する。


 明奈:【今の話の子ってもしかしてこはる?】


 配信中でもやはり気になり確かめたくなったのか七月さんからそういう文面が送られてきていた。


 七緒:【そうだよ】


 バトルロイヤル中にあまり長い時間止まっとくのも行けないので俺は急いで返信をして動き出す。

 マップを開き次の安置を見ている風にしていたのであまり不自然さは無いだろう。


 タケさんも『そっかそっかぁ。でもいいなぁ。女子と二人きりで出掛けて何かするっていう経験中々ないよね。俺達なら猶更家に引きこもってゲームばっかだもんなー』と視聴者の人と話していたので適当に相槌を打って誤魔化す。


 明奈:【ふーん】


『ふーん、二人きりで行ったんだ。いいなぁ……』


 スマホに来た通知とほぼ同時にタイミングであきなながふと呟いた。


『ん? 嫉妬?』


『い、いや違いますよ!? ただそんなデートみたいなことしてて羨ましいなーって!』


【嫉妬か】

【世界はそれを嫉妬と呼ぶんだぜー!】

【一緒に運動するデートって女子からしたらどうなん?】


『私もそういうデートみたいな事してみたいなーって。したことないから』


【したことないっ!?】

【あきななちゃん、俺達ならいつでも空いてるぜ】

【俺がデートしてやんよ】

【コメ欄ヤバい奴多くて草】




 その会話の後直ぐに戦闘が始まり、話に夢中だった俺達の物資は弱く速攻で負けた。



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