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第46話 カスタムのお誘い

「やっば、ちゃんとやってなかったから滅茶苦茶エイム悪いわ」


【元々がエイム強いから大丈夫でしょ】

【それな】


「これソロでランク行きたくないなぁ……」


【まぁソロは闇】

【ランクgogo!】

【週末は変な奴が多いよな】


 俺がエイムのウォーミングアップを終えて一人でランクに行くか迷っているとタイミングよくゲーム内チャットが飛んできた。


 あきなな:【ラギくん、一緒にランク行かない?】


「え、めっちゃタイミングよくあきななからチャット来たんだけど。これ配信見られてる?」


 あきななから来たチャットに【いいよ】と返信すると数秒も経たずにディストの通話がかかってきた。


『やほやほー』


「お疲れ様―」


『いやぁソロは怖いよね、分かるよラギくん。ってことで私が来ましたー! よし、行くぞランク!』


「テンション高いな。配信してる?」


『ん? うん、してるよ! 私もソロどうしようって迷ってた時にフレ欄みたらラギくんいて配信もしてたから誘ってみた!』


「まぁじゃあ早速行くか」


『うん! かーつーぞっ!』



 あきななも今日テスト終わってから一緒にボーリングしたはずなんだが、なんでこんなにテンション高くいられるんだ? 元気過ぎるだろ……。


 まだまだ有り余ってそうな底が見えない体力に俺は若干引いた。小野さんも元気そうだったし、女子って意外と体力あるよな。


 日頃からショッピングとかして鍛えてるのか……?


 そんな疑問を頭の片隅に置きながら、俺達はまたいつも通りリスナーさんと話しながら楽しく配信をした。


 流石に2時を回った頃、俺は結構疲れが来ていたので終える事に。あきななもソロは嫌だと言い一緒に終わる事になった。




 それぞれが配信で視聴者に挨拶をして閉じると七月さんは「ふぅぅー」とおもむろにため息を吐く。


『いやぁ今日もランク盛れてよかったよ。ラギくん強過ぎね?』


「いや、まぁ俺プラチナだし、ゴールドに撃ち負けてたら流石にね?」


『毎回MVP取っててまじ凄いね!』


「あはは、ありがと」


 褒められて嬉しくない事は無いが、勿論上には上がいるからこれで満足してちゃダメだ。


 俺にはあきななのような魅力的な声もなければ、トークスキルがある訳でもない。そんな俺だからせめてゲームだけでも上手でありたい。

 あきななにゲームスキルまで追い越されてしまったら俺は当分立ち直れないかもしれない。


 寧ろ引退まで考えるかも。


『あのさ、再来週の土曜日って空いてる?』


 遠慮がちに伺ってくる七月さんに俺は直ぐに返事をせず次の言葉を待つ。


『DMでさ、タケさんからよかったら一緒にエテのカスタム出ないかって誘われたんだけど、どうかなって』


「え? タケさんってあの顔出ししてる和田(わだ)タケルさん?」


『そう』


 和田タケルさんとは、チャンネル登録者10万人超えの顔出し配信者だ。ヴァルやエテは勿論、他のゲームも沢山やっていて有名なvtuberとかともコラボしていてリアクション芸が人気の人だ。


「え? 誘われたのはあきななだけでしょ?」


『いやそれが、二人一緒に出ないかって』


 俺の方には一切そんな連絡は来ていないのだが、本当なのだろうか?


 本当だとしたら、チャンスでしかない。一緒にカスタムに出たら絶対伸びるに決まっている。


『ラギくんが出ないなら私も出ないけど』


「え?! なんで?」


『だって、沢山の人から見られるのちょっと不安で……ラギくんがいてくれたら心強いなって』


「あーそういう……俺は別にいいけど」


『ほんと?! やったありがと! 伝えとくね。また連絡する!』


「うん」


 七月さんの声色が明るくなり、嬉しそうなのが伝わってきて俺も自然と口角が少し上がっていた。


 こんな俺の事を求めてくれている人がいるという事実が嬉しく思う。




 後から来た連絡を見ると、どうやら結構有名な人達が出るカスタムらしい事が分かった。


 参加する人は配信活動をしていたら知っているような人達ばかりだ。


 しかもちゃんと強い人達。


 こりゃ暫くヴァルは封印してエテの練習しなきゃな。下手過ぎて、タケさんにも迷惑かけれないし。

 下手したら、炎上する可能性だってあるからな。真面目に頑張らないと。






 次の日、タケさんからフォローが返ってきた事であきななを誘ったのは本当の事だったんだと実感が湧いて来ると同時に、まだ先の事とは言え少し緊張してきた。


 いや2週間後が本番だから全然先の事じゃねぇや……。



 その日は配信はせずに裏で少しだけエテをやったのだがこの前日和さんとレイさんとやっていたお陰で中々に良いプレイができた。





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